【 陶酔 】
「ァ・・・・・・・」
二回目の情交の後に、魏延は自分の指先を見て我に返った。
指先は手入れの悪い爪と強い握力の所為での皮膚を裂き、血に塗れていた。
慌てての肩口を見れば、腕の付け根に一点ずつ親指の跡がある。
背側には四点ずつ血の跡があるのだろう。
「」
「んー?あぁ、これか?」
右の前の血を指先で掬って、ぺろっと舐める。
傷は舐めときゃ治る、と言うのを思い出して、魏延は起き上がっての肩を舐めた。
「ン」
「可ぁ愛いねぇ」
ぺろぺろと犬の様に舐め取って、血が止まるまで舐める。
二点舐め終ると、背中側に回って肩口を舐めた。
「ン・・・・・・・・」
「ふふ、誘ってるのかぇ?」
「違ゥ・・・・・・」
そんな訳無いだろうとばかりに言い放って、魏延は傷口を舐めるのに熱中していった。
の血は甘く、美酒の様に魏延を酔わす。
傷が深くて血が中々止まらない事をいい事に赤い美酒を啜る。
だが血が止まりきる前に、魏延は一度唇を離した。
「誘ってなどいない」と言い切ったくせに、身体が熱を持ち始めたのだ。
だが勿論言い出せる筈も無い。
もう一度唇をつけて血を舐め取っていると、自身の男根が立ち上がってくるのを感じた。
そっと隠す様に片手を脚の間に着くが、には直ぐばれた。
「どうしたのかぇ?」
「別・・・・ニ・・・・・・・何モ・・・・ナイ・・・」
「ここをこんなにしておいて」
「アッ」
くるりと後ろを向いて、魏延の男根を掴む。
既に二戦終えて衣服も纏わぬ二人の間には隠せるものなど何もない。
魏延の腕は空しくも退けられて、の白い手指と対照的な赤黒い肉が覗いた。
「ンハッ、ア・・・・・」
既に三度ほど射精したそれは白い蜜に塗れていて、の指が動くのを助ける。
にゅるにゅると扱かれて、魏延は甘く喘いだ。
「ァ、ァア・・・・・・!」
巧みな指運びで扱かれて、魏延は身体を撓らせた。
だが、甘美な血に陶酔した魏延は抵抗を忘れてしまった。
落ち着きのある低めの声が、柔らかに鳴く。
がちがちに硬くなった雄があと少しで弾けるという時に手を離されて、魏延の肩は切なく震えた。
「・・・・・・・」
「ふふっ、分かっているだろぅ?」
「ン・・・・・・・・」
魏延がゆっくりと身体を横たえ、脚を開く。
二度三度と交わった最奥からは、の残滓が溢れていた。
その喩え様もなく淫らな光景に、がにたりと笑う。
「俺の子種で腹の中をいっぱいにしてやろう。上手くいけば孕むかも知れんぞ」
くっくっと笑って、硬く屹立した男根を差し入れてくる。
熱い楔に絡んだ体液は過剰に集まった血液の熱で乾いていて、頼る処は魏延の中から溢れる体液だけだ。
だがそれは余りにも多く、濃く、の男根を飲み込ませるのに十分働いた。
拓かれる身体に苦痛を感じたのは最初だけで、後は甘美な毒の様に快楽が回る。
「ンァ・・・・・・・!」
ズズッと引き出されて、魏延は小さく喘いだ。
内臓が引っ繰り返される様な強烈な違和感と、粘膜をこそがれる心地良さ。
カリが腸内の襞に引っ掛かってゴリゴリと擦られるのも、腰が砕けそうに気持ちが良い。
「ンンッ」
前立腺に先が当たって、魏延の最奥がきゅっと締まる。
は低く呻いたが堪えて、何度もそこを外して魏延の中を擦り立てた。
「アァ!ゥァ、アゥゥ!」
「もっと鳴いても構わんぞ」
俺は一向に気にならん、寧ろ愉しい。
そう言って、は魏延の前立腺を鋭く突いた。
過ぎた快楽に悲鳴が潰れて魏延の喉が妙な音を立てた。
「残念、だったな。潰してしまったか・・・・・・」
は腹に掛った体液に粘りがもう少ないことを感じながら、自身の体液を魏延の中に注いだ。
魏延は身体をひくつかせてその刺激に耐えている。
彼は腹の中に種付けされるのに酷く感じてしまうらしい。
「は・・・・・・お前、血に酔ったね」
「オ前ノ血・・・・・酒ミタイダ・・・・・・」
「これはこれで好いがね。毎回そうでもつまらん。俺の血は暫くお預けだ」
「ム・・・・ワカッタ・・・・・」
ここで忘れてはいけないのは何でこんな事になったかだ。
魏延が酔った。
の血を舐めた。
に傷を付けてしまった。
の肩を掴んでしまった。
だ。
「今度は寝台に腕をくくりつけてしまおうか」
「!」
さて、困った事になった。
を傷つけたくはないし傷を作れば血が流れる。
こうなったらとことん理性を総動員して手は敷布を掴んでいるしかない。
だが、は魏延の顔を覗き込んで意地悪気に、妖艶に笑うのだ。
「されどしがみつかれるのも心地好いがね」
***後書***
ナナシ様よりリクエスト、血を舐めて欲情する魏延でしたー!
魏延って本当に無抵抗。
でも譲らない所は譲らないし頑固、そして喧嘩もします。たまにはね。
今度喧嘩のお話書きたいけど難しそうだなぁ・・・・・。