【 好奇心猫をも殺す 】



常々姜維は不思議だった。

何故が『男役』なのだろう?

が魏延の腕の中で愛撫されている方がよほどしっくりくる。

そう趙雲に洩らすと、彼は顎先に手をあてた。


「確、かに・・・・・そうだな。何故だろうな」

「そういうどうでもいい事はよそでやれ!」


真面目に対応してしまった趙雲に、馬超が嫌そうな顔をする。

まぁ男同士の情事などあまり想像したくないのは分かるが。


「気にならないならいいんですが、私最近寝られない始末で・・・・・」

「いや、確かに気になる」

「そう何度も言われると気になるだろうが!」

((やっぱりなぁ))


結局三人して相談した結果、魏延の寝台の下に隠れて様子を見ようかという結論に達した。

馬超は

「くそ・・・・ここは正義を曲げてしまうしかないのか・・・・」

と意味不明な事を言っていたので放っておいたが。


「では、四半刻程後に忍び込むという事で」





「?」

魏延は部屋に帰って違和感に首を傾げた。

自分でもでも無い香・・・・の様なものを感じたのだ。

だが相手も相手。

息を詰めて気配を殺す。

結局魏延は気の所為と言う事にして寝台に腰をおろした。

武器を磨くのはもう済ませたので、今日の鍛錬結果を振り返ってみる。

悪くない。

と一緒に居るようになってから、守るという事も覚えた。

単騎で突っ走って死にかける事もなくなった。

魏延が僅かに笑む。

向かいの小さな鏡でそれを確認し、進入者達は珍しいものを見たと思った。


コンコン、コツ・・・・・


独特の叩き方でノックされると、魏延は入って構わないという返事をした。

誰だか分かっているようだ。

戸を開けて入って来たのは

相変わらず薄着で裸足、見ている方が寒い。

だがは馬鹿なわけではない。

単に着込むのが面倒臭いからそうしているのだから、他の事には聡いのだ。

現に今も、蝋燭の炎にチラチラと瞬く六つの目を寝台の下に認めた。

目が合う。

気付かれた、とばつが悪い思いをしていると、がニタァーっと笑った。

そして何事もなかったかのように魏延に近づいていく。


(やりましたね!公認で見せてもらえますよ!)

(それは喜ぶ所だろうか?)

(俺には理解出来ん!)


三者三様眼で語っていると、鏡の中に映るが魏延に接吻していた。

下唇を吸い、上唇を吸い、舌を差し込んで絡め合う。

16の青年の手管には全く見えなかった。


「ン・・・・・・・・・・・・」

「どうした。普段はあんなに接吻を欲しがるのに」


が髪を梳きながら尋ねると、魏延は申し訳なさそうに下唇の裏を軽く舌先でなぞった。


「出来物・・・・・痛イ」

「口内炎かぇ。俺より不摂生な」

「ムゥ・・・・・・・」


魏延が不服そうに唸ると、は接吻をやめて愛撫を始めた。

衣を脱がせて、逞しい身体を露わにする。

首の張った筋を舌先でなぞり上げ、頤をぺろりと舐める。

魏延は低く喉を鳴らしていた。

だがの舌が胸の尖りに触れると、小さく声を洩らす。


「ァ・・・・・・」

「ふふ・・・・・」


楽しげに笑って、は魏延の鳶色の乳首を強く吸った。

魏延が身を捩って悶える。


「アァ、ア!」

「好いのかぇ?」

「ゥゥ・・・・・好イ・・・・・」


よくもまぁ意地悪な質問を投げかける。

寝台の下は意外な魏延の姿に驚きだ。


(魏延殿素直なんですね)

(いや・・・・私も驚いた)

(単にが言うまで責めるだけだろう)

((あっ))


鏡の中のの手が怪しい動きをする。

くちゅっと小さく音がしているのは、どうやら魏延の男根を扱いてるらしい。

だが肝心な所(?)は見えない。


「ヤ、ァッ」


の綺麗な爪が、魏延の亀頭の割れ目を割る。

続いて指先で押し広げられて、魏延は気持ちよさと痛みに悲鳴を上げた。


「アアアッ!」


ぴちゃん、ぽたっ、と敷布に粘液が落ちる音がする。


「ン・・・・・・・」


魏延が脚を開く。

は衣を脱ぎ落として腰に引っ掛けているので、魏延の身体は殆ど見えない。


「ンッ・・・・・ク・・・・・・・」


指を挿れられるのが辛いのか、魏延の喉が小さく音を立てる。


「ふふ、もっと大声で泣いても良いんだぇ?」

「ヤッ・・・・・ァ、ンァッ!」


好い所に当たったらしく声を上げた魏延に、寝台の下の姜維が呟く。


37の漢の声とは思えませんよね・・・・)

(そうだな)

(貴様等おかしいぞ!)


その内魏延の肘が崩れ、寝台の上、の思う様乱される。

声も擦れてきた所では魏延の脚を持ち上げて折った。


「いくぞ」

「ッァァン!」


後孔を押し開かれる感覚に、魏延が涙する。

だが仮面を取っていないからはっきり分かるのは慣れただけだ。

どうやら魏延の素顔まで見せはしないらしい。


(い、痛そうだな)

(そうですか?好さそうですよ?)

(あれは痛いんじゃないのか?)


皆で憶測していると、次第に魏延の声が甘く切なく響きだす。


「アァッァァン、ハァッ、アゥ!」


が出入りする淫らな音を聞きながら、魏延は羞恥に身を焼いた。

こんな所に男根を差し込まれて身も世もなく泣き叫ぶ己の浅ましいこと。

誰にも見せられない。


「ヒアッ、ァァァ!」


魏延の引き締まった腹に、白濁が飛び散る。

はその頬に軽く口づけると、身を退いた。

魏延の身を正してやり、自分も何とか見られる程度に衣を直す。

そして勢い良く寝台を踏み付けた。


「さて、鼠三匹。どう始末してくれようか」

「ナッ・・・・・!?」


ごそがさと出てきた三人に、魏延が可哀想なくらいに顔を赤くして硬直する。


「ミ、見テ・・・・・・・・・」

「すみません、私、どうしても気になったもので・・・・・!」

「気になる?」


が聞き返すと、姜維は言いにくそうに答えた。


「いえ、どうして魏延殿が女役なのかと」

「はん、成程ねぇ」


がにたりと笑って魏延の力ない身体を引き寄せる。

そして見せ付けるような熱烈な接吻のあとに宣ったのだ。


「魏延が俺より可愛らしいからさぁ」





***後書***

緋夜様リク、第三者に見られる、でした。

今回は鏡越しでしたが如何なものでござんしょ?

魏延が結構鳴いたので姜維達にはドッキドキの時間だったと思われますw

リクありがとうございました。