【 内緒事 】



「魏延殿」

「華陀医・・・・・・」

「こないだは酷い目に遭ったみたいだね」

「ゥ・・・・・・・・・・・・・」


からからと笑って揶揄う華陀が、不意にまじめな顔つきになる。

そして煙管の・・・・この医者は不摂生にも煙草を吸うのだが、灰を落として魏延に微笑みかけた。


「もしもだ」

「・・・・・・・・・・・・・?」

「もしもお前とが死んだのが疫病のない真冬で、その死期が時を同じくしたならば」


二人の間を風が吹き抜ける。

華陀は深く紫煙を吸い込んだ。

そして言葉とともに吐き出す。


「お前さん達二人の心の臓、取り替えてやろう。もう冷たく動かぬども、お前の望みは叶えられよう」

「・・・・・華陀医」

「その代りあの世ではお前さんがの喀血の苦しみを味わうかも知れんぞ?そうなったらは怒髪天を衝いて怒り狂おう」


くっくっと笑って、華陀はまた紫煙を吸った。

そして魏延に背を向けて歩き出す。


「今の話は内緒事だ。決してには言うなよ。第一夏の日ならば直ぐに埋めてしまうからそれもならんし、曖昧な約束だからな」

「礼ヲ言ウ・・・・・」

「礼には及ばん。ただあの子の世話をしてやってくれ。こうも頻繁に喀血で医務に担ぎ込まれちゃあたまらん」

「!」

「・・・・あの子の加減はこの頃よくない」


魏延は内心動揺した。

あんなによく見ていたはずなのに、一体いつ?


「あの子はお前さんに弱味を見せたくないんだよ。あれで立派に策を作る男子だからね」

「我、ハ・・・・・・」

「そうさね、あの子が茶を啜り出したら気をお付け。大体咳を堪えている時だから。普段は・・・・」

「水ヲ好ム」

「だろう?」


じゃあよろしく頼むよ。

華陀はそう言って魏延とすれ違って行った。

魏延はの命の火が燃え尽きんとしている事を華陀の一言でひしひしと感じながら、手をぎゅっと握りしめた。

が死ぬ時は、どんなに遠くてもいい、同じ空を見ていたいと思いながら・・・・・。





***後書***

ナナシ様から華陀先生にしんだら心臓取り替えて貰う約束してもらう魏延、でした。

いあ〜、ナナシ様こういうネタ天才っすね★

ご自分でもサイトもたれればよろしいのに。

まァお忙しいですかね。