【 犬日企画 】



嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

黙って顎を擦ってやる。

嬉しそうに目を閉じ、尻尾はぱたぱた振られ。

ワイシャツ一枚の背を撫でてやると、擽ったそうに身を捩る。

ころんと転がり甘えるのが可愛い。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚をさすってやる。

脚がきくんと跳ねた。

何も知らずに戯れついてくる愛らしい犬。

腹を見せている状態を更に腕を掴み。

床に、押しつけた。

片手でワイシャツを捲り、なめらかな肌を撫で上げる。

優しい中に雄の本能を滲ませ、唇を舐める。

犬が目を瞬かせた。


「・・・・・・・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

ソファに座ると、待ってましたとばかりによじ登ってきて。

向かい合わせに、膝に乗る。

それはそれは嬉し気に尻尾を振り、ワイシャツの裾が引かれてめくれる。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚を撫で膝裏から臀部へ撫で上げる。

擽ったいのか捩るものだから、柔く張りのある尻が腿に擦り付けられた。

意地悪されても好き好きと擦り寄ってくるのは参ってしまう。

可愛くて仕方がない。

学帽に顎を乗せて遊んでいる犬の脇腹をつつく。

びっくりして膝から落ちかけるのを支え、縋らせる。

見上げてくる無垢な瞳。

学帽と仮面を床に投げ捨てる。


「可愛がってやろう・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

取り敢えず鰹節ご飯を作ってみた。

まさかドッグフードでは不味かろう。

浅い皿によそって、椅子に座らせテーブルに置く。

犬は首を傾げていた。

心を覗いても、犬の心理は酷く抽象的だ。

見ていると、一緒に食べようと置いていた人間用のシリアルのスプーンを取る。

握り締める赤子持ち。

ぽろぽろこぼしながらも一生懸命。

半ば茫然としていたのから立ち直り、余りの愛らしさに笑ってしまう。

口の端に付いた鰹節を、唇で取ってやる。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚をひと撫で。


「味見をさせてくれ・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

念動力でボールを転がしてやる。

好奇心旺盛な可愛い犬は、ひとりでに転げ回るボールを夢中で追っている。

少々散らかっても構うまいと遊んでやる。

のびのびと遊ぶ姿は好ましい。

小一時間もすると疲れてしまったようで、てこてこと寄ってくる。

少し疲れた様子で、柔らかく笑み。

胡坐を掻いている自分の膝に、甘えるように顎を乗せる。

俯せの背を少し反らして手も膝に置き、脚は膝下を上げて遊ばせている。

尻尾の方に、めくれ上がるワイシャツ。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚を眺めている年甲斐ない自分に、思わず苦笑。

遊んでいる最中にワイシャツがずり落ちてしまった剥き出しの肩を辿る。


「本気で遊んでやるとしようかのぉ・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

いい子にしていたようで、部屋は散らかったりしてはいない。

すりすりと鼻先を擦り付けてくる顔を覗き込み、目を合わせる。

賢く察しのいい犬は、ちょこんと座り込んだ。

脚は人間の形だから、アヒル座りに崩れているが。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚を存分に眺め回す。

パチン、と少し裾を落とすと、尻が覗く。

犬はきょとんとしながら、次の命令を待っていた。

唇同士が触れそうな距離で、命じる。


「伏せ、だ・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

ひとりぼっちが退屈だったか、あるいは淋しかったのか。

不貞腐れてか何となくかは分からぬが、寝ていたようだ。

くしゃくしゃのワイシャツ。

むき出しの両肩。

もう少しであられもない姿になる。

直してやろうとすると、逃げ出してしまう。

向けられる、黒い瞳。

違うでしょう。

もっと先にやることがあるでしょう。

苦笑して、近づく。

頭を撫でてやると、一気に機嫌は回復して。

千切れんばかりに尻尾を振り、首に頭を擦り寄せ。

可愛い可愛い、自分だけの犬。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚をさて隠すべきか晒すべきか。

否、どちらも不可だ。


「大人(十常寺一人称)だけの楽しみと望む、如何に・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

忍犬にするつもりはない。

優し過ぎるきらいのあるこれには酷だろう。

第一にこの白い肌が薄汚い血などで汚れるのは気に入らない。

耳の裏を掻いてやると、うっとりと目を閉じた。

意地悪く手を止める。

すると飛び付いてきた。

不意打ちで倒れる。

とても無邪気に、千切れんばかりに尾を振って擦り寄ってくる。

指を大事そうに持ってぺろぺろやっている。

ちゅっちゅっと吸って楽しそうにしているのを、体勢を入れ替え押し倒す。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚を撫で回すが、可愛がられていると思っているらしい。

嬉しそうに笑い、鼻先を擦り付けてくる。

何も知らぬ無邪気な犬。

ゆっくりと、喉を噛む。


「孕ませてやろうか・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

取り敢えず水を換えてやる。

冷たい水をたっぷり張ったボウルを置いてやると、ちょんと座って見上げてくる。

水まで待てなどしないでいいのに。

可愛いと思いながら頷いてやると、嬉しそうに飲み始める。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚。

上がった腰。

いかんいかんと自分を戒める。

当たり前だが身体は人間だから、ぼたぼた水は零れていく。

上手く飲めずに一度顔を上げ、軽く咳き込み。

一瞬他のものを飲ませているような錯覚を起こす。

びちゃびちゃに濡れ透けたワイシャツ。

透ける淡い尖り。

手を伸ばし、首筋に花弁を咲かせ。


「良い子にしている褒美をやらねばな・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

私の事が好きかいと聞くと、間髪入れずに元気なわん。

私も君が大好きだと言うと目をぱちぱちさせてから嬉しそうにわん。

蜂蜜とハーブに付け込んだオリーブの小枝を見せると、目が輝く。

近付けてやる。

くわえようとする。

ひょいと遠ざける。

しょぼんとする。

ごめん、ごめん。

ちょっと意地悪したかったんだ。

もうしないから、ね。

犬は伺うように見てから、枝をそっとくわえた。

ちゅっちゅっと舐め、嬉しそうに尻尾を振り。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚をつぅとなぞってやる。

犬は目を瞬かせ、動きを止めた。

落ち着かなげに視線を彷徨わせる。

失敗したかと思っていると、そっと首に腕を回してきて。

まだたっぷり蜂蜜の付いた枝が、唇に押しつけられる。

なんて、可愛い。

それは全部君のだよ、と囁く。

だから、かわりに。


「君を食べたいなぁ・・・・」





嬉しそうに駆け寄ってくる犬。

普通の犬とは少し違うこれは、元人間だが投薬で一時的に・・・・まぁいい。

人の体に、犬耳と尾。

白い肌に黒い瞳。

笑顔がとても愛らしい。

寸でのところで奪回したが、へろへろ男についていくのは正直呆れる。

犬を押し倒す男共もだ。

これは一から躾直さねばなるまい。

抱き上げてソファに座らせる。

直ぐ様降りて飛び付こうとするのを睨むと、目を瞬かせてそろそろと座り直した。

黙って葉巻に火を点ける。

そわそわしながら、尻尾を振って見つめてくる。

それでも構わずにいると、次第に尻尾の振れが小さくなり。

垂れ落ち。

俯き始め。

上目遣いの瞳が濡れ。

ぽたり。

さめざめとかしくしくとか。

めそめそとかえぐえぐとか。

そんなものでなく。

拭いもせずに、瞬くたびに落ちる透明な雫。

それはそれは悲しげな、いぬ。

駄目だと思いながら、駄目な男は溜息を吐き。

躾を断念。

葉巻を揉み消して見やると、途端駆け寄ってしがみついてくる。

何であんな酷い事をしたの。

どうして好き好きをさせてくれないの。

嫌いに、なってしまったの。

必死に引き留めようと縋る。

理性の及ばぬ獣に還った故に、素直に求め。

この仕草をどんなにか求めていた自分に気付く。

今だけの、甘え。

もっと甘えればいい。

とろける程に甘やかして、溺れる程に可愛がって。

自分から、離れられなくしてやろう。

ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚を掴み、手を白い尻まで滑らせる。

尾の付け根をなぞり、反対の手で耳を柔らかく挟み擦り。

布越しの心臓の上皮に口づける。


「貴様の主は唯一人だ・・・・」





***後書***

今回のルール…犬化話。固定ワード…「ワイシャツからにょっきり突き出た長い脚」

十傑は犬でも容赦ない。寧ろ好都合。アル様の躾法は子供や犬に我慢を教えるのに有効。