【 死目企画 】



もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「・・・・15年、待て・・・・必ず、迎えに来る」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「綺麗な女性に転生して、今度こそ・・・・誘惑でも、できたら・・・・な・・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「・・・・この力を、捨ててくる・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。

言わないから、目を見ていて。


「・・・・・・・・・・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「霊魂、に為り・・・・守る、良き、か・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「幸せに、な・・・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「・・・・・死体を、国警に・・・・送りつけて、くれるかね・・・・・?」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「サニーを、頼む・・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「ねえ、笑って・・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「貴方がいないところに行くと、仕事が・・・・溜まり、そう、ですね・・・・」





もう、駄目だ。

身体に感覚が無い。

目の前の人を、これ以上悲しませたくは無い。

なのに、最期だからという甘えから。

この人に、甘えてしまうのだ。

どうか、どうか。

この小さな願いを、聞いて欲しい。


「ついて来い。否とは・・・・言わせん、ぞ・・・・」





飛び起きて、時計を見る。

どうして、なんで。

あんなに強い人たちが。

死んでしまう夢なんて。

手の先まで冷たくて、涙が止まらなくて。

意図せず起こしてしまった主に抱かれて、それでも暫く止まらなくて。

置いて行かないで、と縋った。

主は優しく。

殺してやると約束してくれた。





***後書***

ギャグにする予定が、十傑カッコ良さ補完計画に(でも取り返しは付かない)