【 御主人様のお気に召すまま-102 】
イワンは入院する事が多々ある。
主に主の苛烈極める性折檻の所為で身体が・・・・という事なのだが、今回は別だ。
身体検査で引っかかってしまった。
特に問題は無いが、尿の中の薬物数値が高かったのだ。
投薬したのは完全に安全なものなので問題無い、と主に言い切られた時は何も言えなかった。
全然悪気が無いから開き直りさえしないお方だ。
よくよく考えたらこれも性折檻な気がする。
入院が必要だと言う事を伝えると驚いたようだった。
悪影響があったのかと怖い顔で詰め寄られた時は心臓が止まりそうだった。
単に薬品類を全て排出するために点滴とカテーテルで排尿を促すと言うだけなのだと伝えたのだが・・・・・。
ついてきて、しまった。
今もベッドのすぐ横に座って新聞を読んでいる。
どうかどうか、お部屋でお休み下さいと言ったが聞いてもらえない。
仕方なく、水分を限界まで摂って点滴を受け、排尿を促している。
ただ、そのカテーテルから繋がるビニルの袋を膝に置いておくのは勘弁してくれないだろうか。
何度願っても全く聞いてもらえないし、管が通っているから我慢が利かないそれが溜まって膝の重みが変わる度嫌に機嫌が良い。
早く退院できると言う事だと、それが嬉しいのだと思いたい。
また、尿意が。
「ん・・・・・・」
「・・・・・・・・出たか」
聞かれても俯くしか出来ない。
耳が熱かった。
黙って小さく頷くと、満足そうに喉を鳴らして笑う。
気を紛らわすために編み物でもしようかと思っていると、不意に上掛けをまくられた。
「?」
「何ミリの管だ」
尿道の直径は個人個人によって違うから、2.3種程度太さが違うものはあるらしいが。
挿入されているところをこの真昼間に晒させようとしているのを察し、イワンは慌ててズボンを押さえた。
必死に首を振って、許しを請う。
「見苦しいですから・・・・」
「ワシが見たいと言っているのだ」
帝王学しか専攻しなかったような物言い。
泣きそうだ。
必死で身を捩るが、押さえつけられてしまった。
流石にナースコールを押すしかないと覚悟を決めて手を伸ばすが。
「えっ・・・・・」
ない。
探すと、主の足元に置かれていた。
完全に計画的犯行だ。
にぃと笑う主が格好いい。
格好良いが、流されてはいけないと気をしっかり持つ。
身を縮めると、それはそれはいやらしい手つきで身体をさすってくる。
思わず力が緩んだところで、病人着を剥ぎ取られた。
押さえつけられ、掴まれる。
管を通されて項垂れる雄。
力が入ってしまった為に、管をつうっと黄色い色が移動した。
顔から火が出そうな羞恥に、歯がかちかち鳴った。
わななく唇を指で弄られ、涙が出てしまう。
「何を泣く事がある」
「・・・・・ひっく、ぅ・・・・」
我慢していたのに、嗚咽が漏れてしまった。
身体を拘束していた手が離れ、右手がふにゃりと力無い幹を、左手が袋を掴んだ。
柔く袋を転がされて、腰が疼く。
「ぁ、るべ、る、とさ、ま・・・・!」
「おやめ下さいなどと興の醒める事を言うなよ」
醒めてくれた方が良いが、言ったところでどうなるもので無い。
どうもならないならまだしも、思った通りの行動に機嫌を上昇させてもっとされても困る。
医務室で、昼間からなんて絶対に嫌だった。
恥ずかしいし、いつ人が来るか分からないのに。
頬を染めて嫌々をするイワンにチュ、と口づけ、アルベルトは手にしたそれらを柔く愛撫し始めた。
禁欲2日目、行為自体は4日も御無沙汰だ。
任務でも無い上、目の前には薄い布しか纏わぬうまそうな身体。
悶々としている清い生活(四日目)の中に潤いは必要だ。
しゅっしゅっと軽く扱いてやると、見る見る熱くなっていく幹。
清純な癖に淫らな身体を持て余しているのは明白だ。
袋はぽってりと張って手に心地好く収まり、揉むと管の中を透明な汁が移動していった。
どうやらそう深くまで差し入れられているわけではないらしい。
袋を押し下げて根元を軽く締め、絞り出すように扱き上げる。
やけに静かだと思って顔を見やれば、必死に指を噛んで声を殺していた。
血の滲む白い指。
痛々しいと思いつつ、興奮してしまう。
何度も扱くが、中々強情だ。
少し考え、脚を掴んで開かせた。
指に唾液を絡め、窄まりを撫でる。
「っ!」
びくっと引き攣った脚の足首を掴んで、ゆっくりと差し込んだ。
熱い中はたっぷりと取った水分でぬるみ、少し動かしただけでもいやらしい音がする。
わざと大きな音を立てて掻きまわすと、びくんと身体が跳ねた。
恥ずかしがりで被虐嗜好も無いのに、恥ずかしい苛め方をされると酷く感じる可愛い恋人。
立ちあがってぴくぴくしているものに気を良くし、指先に神経を集中させる。
こりこりした前立腺をくいと押すと、身体が激しく捩られた。
痙攣している下半身を撫でまわしながら、そこをごりごり刺激する。
突き出すようにして捩られる腰。
立ちあがった物の先から突き出した管を、ゆっくりと白い液が通っていく。
ビニルに溜まった黄金色と混じってマーブル模様を描くそれを眺め、視線を戻す。
徐々に力を失っていく雄を観賞してから、涙で濡れた頬に口づけた。
「君の事だから、医務室で一発二発やったでんでしょ?」
当然そうだろうとばかりの顔でテキーラを煽っている盟友に、同じものを飲み下しながらアルベルトはいや、と言った。
「やっておらん。戯れにいかせたが、指が変色する程噛んで声を殺すからな」
ワシの指を噛ませても、変に気後れして顎を軋ませるばかりだ。
「矢張り、惜しげなく嬌声を上げさせたい」
「あー、分かる分かる。堪えるのもたまにはいいけれど、たまにで良いんだよねぇ」
盟友組の後ろでつまみのサラミに神がかった飾り切りを施す事で現実逃避するイワン。
彼の生活は常に羞恥プレイである。
***後書***
何が目的か。最後の一文。