【 御主人様のお気に召すまま-117 】



「最近の通販ってね、凄いの」

「・・・・・・話と持っている物のつながりが分からないんだが」


ローザが手にしているのはアナル用の弛緩剤。

お徳用チューブ。

1Lと書いてある。

中にはドぴんくのどろどろがとぷんとぷんしている。

ローザは感心したようにチューブを振ってイワンに講釈を垂れた。


「だって、一般にお尻用の弛緩剤とか。普通いらないもの」


お尻でえっちするのが普及したのかしら。

ま、気持ちいいのは良い事よね。

そう言いつつ、蓋をあける娘。

匂いを嗅いで「いちごガムの匂い」と言っている。

イワンは明日の朝食の事を考えていた。

破天荒な友人は、明日朝から買い物に付き合えと押し掛けてきて泊まる気満々だ。

たまにあることだが、毎回ベッドを占領。

一緒に寝ればいいでしょ、とケロリ。

絶対に嫌だと言い張って自分がソファに行くのが恒例だ。

兎角、明日の朝は何にしよう。

この娘はとろとろ卵が好きだから・・・・・・。


「・・・・・・?」

「なぁにしてんの、ほら!」


ばふばふとベッドを叩かれて首を傾げると、ローザまで首を傾げる。


「試さないとレビュー書けないでしょ」

「・・・・・はぁ?!」


理由も理由だが、試そうと言うのか。

驚いて首を振れば、ローザがきょとんとする。


「何で?」

「なんっ・・・・・う、ぅわき、だから・・・・・・」


恥ずかしがっているイワンが、一応恋人以外との合意のえっちが浮気と認識している事に驚く。

いや、彼の性格からすれば当然だが、最近セクハラが過熱してきて境界が曖昧だ。

が、駄目と言うイワンににたぁっと笑い、すすすっと擦り寄る。

若い娘の柔らかで張りのある身体に、欲望とまではなくともドキドキしているのが可愛かった。


「ね、別にペ二ぱんで犯そうってわけじゃないんだから」

「だ、だが、そういうのは・・・・・・」


恥ずかしがっているのも、嫌がっているのも分かる。

でも、匂うような色気は増している。

アルベルトが任務に発って2週間。

各十傑にたっぷりセクハラされ、溜まっていく欲望。

なのに、主はいなくて。

こっそり、自分で弄ってみたけれど、やっぱり恥ずかしくて。

うまく出来なくて、益々焦れていく身体。

いやらしい色気を振りまいているイワンが心配だ。

イワンが入れたり入れられたりするわけではないし。

指で、弄るだけ。


「ねぇ、お尻クチュクチュさせて?」

「は、はしたないぞっ」

「あんたの可愛いお尻の孔弄りたい」


じゃないと、今ここで一人えっちしちゃうわよ。

あたしがお尻で一人えっちするの、見せられたい?

脅迫じみた脅し文句だ。

女の子のいやらしい恰好を見たいとかそういうのが嫌とかでなく、ローザにはしたない真似をさせたくない。

奔放で割と開放的な彼女だが、ところどころ女の子の、乙女の部分があるから。

本当にしてしまったら、引くに引けなくなってさせることになったら、きっと傷つく。

そう思って、迷う。

迷うと言うと頭が働いているようだが、実際イワンの頭は働いていなかった。

身体に籠る欲望。

皮膚を突き破って出てきそうな性的欲求。

お尻を弄られたい、という願望。

ぐるぐる回って、もうわけが分からない。

混乱してえぐえぐと泣きだしたイワンを体良く押し倒し、ローザは彼の身体をうつ伏せに返した。

挿入もだが、男女である今、キスも彼は気にするだろうから。

膝を立てさせても、イワンは大人しいままだった。

頭の中がぐちゃぐちゃで、考えなければと焦って。

先ず止めなければと、気付かない。

混乱しているのをいい事に、パジャマのズボンを引き下ろした。

チューブを開けてどろどろを尻に垂らす。

少し垂らしてチューブは置き、とろっと伝うそれを指に掬う。


「あっ」

「ふふっ、きゅってなった」


ピンクの可愛い蕾に指を這わせると、白い尻がぶる、と震える。

余程強い欲求を押さえこんでいるらしい。

少し可哀想と思いつつ、意地悪したくなる。


「いい?力抜いて」

「だ、め・・・・入れたら・・・・・んくっ」

「ほら、先入れただけで凄い締まってる」


気持ちいいんだ、と聞けば、恥ずかしがって嫌々をする。

年上の男なんて信じられない。

第二関節まででゆっくり弄る。

ローザだって男の尻に興味はなかったから、こんな事をするのは初めてだ。

女の子は任務でたまにあるし、友人内なら女の子同士でお触り程度のおふざけはする。

でも、こんなに興奮しない。

入れて欲しいと言うより、もっと弄って気持ち良くなっている姿を見てみたい。

ゆっくりと指を差し入れていく。

普通は回しながら捻じ込むものらしいが、イワンはそれを嫌がった。

引き連れて痛むほどの締まり。

くぽくぽなんて緩い音はしない。

抜いても指しても、小さくにちゅりとぬめる音がするだけだ。

奥まで探ると、身体が軽く悶えた。


「気持ちいい?」

「あ、ぁ・・・あ・・・・ん」

「ふふっ、夢中じゃない」


かーわいい、と呟き、ゆっくりと中を弄る。

複雑な襞が指に絡みついた。

女のあそこも大概入り組んでいるが、後孔は基本的にただの筒の筈だ。

健康診断だって、上から飲んだカプセルカメラを医者と一緒に見るが、はっきり言ってピンクの筒。

イワンのここだって同じはずだ。

強いて言うなら、いつもいつも犯されて発達した筋肉で入り組んでいるのだろう。

柔らかく弾力ある壁を押すと、激しく絡みついてくる。

奥に指を突っ込んでみれば、指先が僅かに柔らかい壁に埋まる。


「・・・・・どうしてあたし、水を被ったらイケメン巨根に変身できないのかしらねぇ」


ま、パンダになっても困るけど。

そう言って、白い尻に舌を這わせる。


「や、ゃ・・・・ぁ、ぁ、あっ」

「なぁによ。お尻ぴくぴくしてるじゃない」


手を伸ばして背中をそろりと撫であげれば、指がぎゅうぎゅう締めつけられ、舌先の尻が激しく震えた。


「なんか、女の子みたいな反応」


それも、若い子。

背中とかお尻をくすぐられて感じちゃうタイプね。

そういう子って、ね。


「おっぱい弄られると痛がる子が多いの」

「あ、あっ・・・・い、いたっ」

「やっぱり」


想像と期待通りで凄く可愛い。

もっと、可愛い姿見せてよ。

下から手を入れて、胸の尖りを摘まんで軽く引っ張る。

イワンが嫌がって身を捩る度に背中を軽く吸い上げた。


「ふぁんっ・・・・・」

「可愛い」


尻を押し広げて、ひくひくしている孔に舌を這わせる。

常のイワンなら舌を噛む勢いの行為だが、すっかりとろとろになっている身体ではもう何も考えられなかった。


「あ、ぁ、ぁ、あ・・・・・・」

「ふふ」

「ひくっ」


きわをチュッと吸われて、とうとう腰が砕ける。

へたり込んでしまったのを咎め立てはせずに、指を増やして抜き差しした。


「あっあっあっ、や、んんっ」

「いけそう?」

「ぅぁ、は、あぁ・・・・!」

「あらら、お尻振って。そんなに気持ちがいい?」

「んはぁ、ぁ・・・・っ」


主の手とは違う。

男の優しい愛撫よりもっと柔い丁寧で甘ったるい愛撫。

初めて経験するそれに、腰が揺れる。

強くして欲しいなんて物足りない思いはない。

もっと、いっぱいして。

弾む息とこくんと鳴る喉。

手でシーツをかき集めて、無意識に腰を振る。


「あ、あ、あっあっ」

「・・・・・凄い、やらしい」


興奮する、と生唾飲んで、ローザはイワンのそこを激しく刺激した。

3本の指でたっぷり擦り上げてやると、可愛い喘ぎ声を上げながらイってしまう。

くたんとベッドに沈んだ身体を撫でていると、啜り泣き始めてしまった。

悲痛と言うか、可愛いから可哀想になる泣き方。

機嫌を取るように手に口づけ、宥め透かす。


「ね、ね、秘密だから、言わないから、大丈夫」

「ひく、ぅ・・・・・・ひぐっ」


赤くなった眼で見上げてくるイワンが可愛くて仕方がない。


「ね、約束よ」


透明なマニキュアが綺麗な小指と、白くてきれいな小指を絡め、約束。


「でも、ね」


また今度、させて。

でなきゃ、言いつけちゃうかも。

こう言うと、友人はまた泣き出してしまった。

意地が悪かったと思う。

この優しい友人は、不義を咎められる事より自分を喪う事を不安がっているのだ。

弟子だろうが容赦しない恋人に、殺されるのでないかと。


「ねぇ、それが嫌なら」


時々は、可愛い姿、見せてよね。

目の前の満面の笑みの悪魔に、イワンは先行きの不安を感じた。

セクハラ要員が、増えた。





***後書***

ローザちゃんだってイワンさんが可愛いんだよ!(絶叫)