【 御主人様のお気に召すまま-124 】



十常寺作、超怪しい『若返りの秘薬』。

十傑全員に配られた時点で毒薬の可能性が高い予感がした。

誰一人飲む気もなく、十常寺に押し返した。

作者が既にそれを手袋で扱っているのが大変不安だ。

が、幻惑だけはそれを手放さなかった。

中和剤でただの塩水に帰されていくそれを横目で見つつ、座ったまま眠っている盟友の口にどろぉ。

飛び起きた彼の顎を思いきり掴んで飲み込ませ、殴られるまで放さなかった。

そして、翌日。

衝撃のアルベルト(38)は少年アルベルト(13)に。

若返っていた。





さて、余談だが作者すらこの効果は意外だった。

という事は若返ると言って渡されたあれは何だったのか気になるが、まぁそれは置いておこう。

兎角、アルベルトは中身も外見も13歳に。

昔から尊大帝王で殴るどころか蹴ってやりたい不遜さだったのだと感心してしまう。

特にセルバンテスは少年時代の盟友を構って遊ぶのに夢中だ。

それも、日に日に不健全な話題に傾きつつある。

そして語られた意外な事実。

というか、当たり前といえば当たり前だが、13歳の盟友は『童貞』だった。

が、アルベルトはわざわざ好みでない女を引っ掛けてまで筆おろしをしたいわけでもないらしい。

気に入ったのがいたら。

やり方は知っている。

そう言われては、やっぱりもっと引っかき回したくなってくる。

イワンとの関係すら覚えていない少年だが、これなら前回のように深刻なことにはならないだろう。

イワン君には内緒ね、怒られるから。

そう嘯いて、引きずってきた歓楽街。

高級娼館に引っ張り込んで、選ばせる。

が、好みがいないと帰り支度をし始める始末。

あっさりしている盟友は金は払うのだから問題あるまいと言うが、娼婦にもプライドがある。

その上、見目麗しい少年に皆擦り寄ってくるわくるわ。

窓際まで後退したが諦めて女に纏わりつかれているアルベルトがおかしくて仕方がない。

その盟友が、外に向って何か仕草をしている。

数分後現れた人物にぎょっとする。

部屋に来たのは、イワン。

仕草を見る限りどうやら彼は笑っているつもりらしいが、疲れた微笑でしかない。

そこに、あろうことか盟友は指をさしたのだ。

貴様が相手をしろ、と。

ぽかんとしてひそひそ話をする娼婦達。

それは侮蔑でなく探りだ。

あのひと、どこの男娼?出歩いてるけど、街頭の袖引きにしちゃちょっと上物よ。顔はあれだけど、身体は具合好さそうだし。

それは酷くイワンのプライドを傷つけた。

男としてでなく、雌として見られ。

恋人からは、娼婦と同等の認識しかもらえていない。

だがそれでなお残るプライドは、何をされても尽くすという事。

イワンは優しく微笑んだ。


「私では、そう面白みもないでしょうが・・・・・・」


精一杯、御慰めさせていただきます。

そう言って、彼は幼い姿の主の前に膝をついた。

ジッパーを下げ、セルバンテスの目の前でも躊躇わずに口に入れる。


「ん・・・・・・・んっ、ん」

「っ・・・・・・・・・・」


幼げな部分はあっても、容赦ない自慰で変色し、皮も剥け切った男根。

大きさは身体に見合っていつもよりやや小さいが、十分立派な持ち物だ。


「ふ・・・・・・ん、ふ・・・・・」

「っ・・・・・・・待て・・・・・っ」


ぢゅるりと引き、唾液をなする。

アルベルトが待ったをかけると、イワンは素直に動きを止めた。


「は・・・・・・・っ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


息を整えるアルベルトを、イワンはただ優しく見つめていた。

主の好きな刺激の仕方を踏まえているから、相当効く筈だ。

我慢しなくたって、構わないのに。


「・・・・・続けろ」

「はい」


ちゅる、と含んで、幹を軽く締める。

そのまま引き出して、すぼめた唇にかりを引っ掛けた。

ちゅぼ、と引き出して鈴口をちろちろ舐め、もう一度奥まで。

そのまま喉の奥に引き込み、溜まった唾を飲み込む。

一緒に滑り込んだ亀頭をさらに喉奥まで引き込んで、ゆっくりと締めあげた。


「っは・・・・・・・」

「ん・・・・・・・・」


イワンの技量には、流石のセルバンテスも驚いた。

あんなディープスロート見た事ない。

相当苦しいだろうし、彼の体が柔らかいのと喉の締めを鍛えているのがないとこんな事できない。

ぎゅぐ、ぎゅ、と喉を鳴らしながら締めていると、若いアルベルトの我慢がきかなくなる。

イワンの頭を掴み、荒っぽく抜き差しし始めた。

慌てて止めようとしたセルバンテスは、さらに目を丸くした。

イワンはくたんと力を抜いて、されるがままになっている。

だが、手をアルベルトの膝に当ててバランスはとっていた。

ごぶ、ごぶっと喉まで突かれる音を立てながらのイマラチオ。

若さに任せたアルベルトの暴挙にも、慌てさえしない。

流石に唾液が溜まってくると、飲み込めないために鼻から一筋逆流した。

今度こそセルバンテスが止めようとするが、イワンの方が早かった。


「ん、んっ・・・・・・・」

「っ・・・・・!!!」


奥に突き込んだ瞬間、口全体で吸われ、亀頭を喉で締め上げられる。

とても我慢できない刺激に、そのまま出してしまう。

イワンは苦しげに呻き、だが吐き戻さず、ゆっくりアルベルトから離れた。

一歩ほど膝で下がり、飲み下しながら咽る。


「けほっ、け、ほ・・・・・・」


どろっと顎を伝うものを拭い、口に運んで舐めとる。

それが済んだら、未だ軽く息を荒げている主の項垂れたものを、口で綺麗に。

軽く芯を持ったら、皮を戻してお掃除。

そして今度は、フェラチオを始める。

口から出したまま、小さく出した舌で根元から丁寧に、濡らすように。

全体が湿ったら、今度は血管と筋を丁寧に辿って刺激する。

時折ある血管と血管の合流点には柔く吸いつき、軽いリップ音。

愛らしさと淫らさを十分に含んだ素晴らしい技術だ。

かりは裏からでなく、上から辿る。

一周したら裏に舌を入れ、また一周。

蜜が溜まる鈴口には、吸いつくというよりむしゃぶりつくように。

軽く頭を振って、獣のようにしゃぶりたてる。

ぢゅるっぢゅるっと音を立てながら出し入れし、時折引き出して、小さく舌を出して。

鈴口をぺろぺろと舐めまわす。

その表情は義務やいやらしい笑いでなく、すっかり蕩けて気持ち良くなってしまっていて。

気持ち良さそうに、男根をしゃぶる姿。

愛らしげなのに半端ない淫猥さだ。

周りの女も唾を飲んでいる。


「ん・・・・・・・は、っ」

「っ・・・・・・・」


口から出したものに、堪らないといった風に頬ずりするイワン。

ほっぺたを赤らめて恥ずかしそうに、でも夢中で。

顔中に蜜をなすりつけてこすりつけ、また口に。

亀頭を含んで、指で幹を扱く。

右手の親指と人差し指、中指で上手に扱きあげ、頭も軽く揺らす。

だが、揺らしは単純な上下でない。

頭を軽く振りつつ僅かに上下させ、幹の半ばまで含む。

左手は袋を揉みさすって、口の中は唾液と先走りを含んだままに、舌で鈴口を柔らかく抉っている。

当たり前だが、少年がこんな手管に耐えられるはずがない。

勢い良く噴き出すそれを、躊躇なく飲み下すイワン。

彼は完全にここがどこで誰が周りにいるかなんて忘れてしまっていた。

は、と息をついて身を引こうとするアルベルトの腰を抱え込み、深く咥え直す。

例え体格差があってもアルベルトはイワンより強い。

が、急所を口に含まれていては不利だ。

その上、快楽は半端ない。

途中で身体がみしみしいっても、大人に戻っても、イワンは気付かず夢中でむしゃぶりついている。

記憶を取り戻し、途中のおいしい記憶もなくさず持っているアルベルト。

だが、楽しんでいるうちに絞りに絞りつくされ、完全グロッキー。

流石に従者を引き剥がすと、泣きだす始末。

可愛い顔でえぐえぐしながら、精液まみれの顔で強請る。


「もっと、おちんちん舐めるっ・・・・・」

「・・・・・・っ、あと一回だけだ」


死にそうになりながら最後の一発を抜かせたアルベルト。

完全に力尽きて、仕舞うものも仕舞わずに壁に寄りかかって深呼吸。

3日は、出来ないと思う。

イワンはすっかり満足したらしく、顔を猫のように拭って白濁を舐めとっている。

それを済ませると、脚を崩して座りこみ、腹に手を置き、さも満足そうに。


「ぁ・・・・・おなか、いっぱい・・・・・・」


人が殺せる卑猥さだ。

そんなイワンの肩を、後ろから引っ張る手。

周りで見ていた女たちが、真剣な顔でイワンを見ている。


「先生、と呼ばせてください」

「え・・・・・・?」


きょとんとするイワンに、口々にまくし立てる女達。

語られていく内容に、イワンは初めて我に返ったらしかった。

真っ青になり、真っ赤になり、泣き出してしまったのだ。

が、女達はますますヒートアップ。

このギャップがいいんだとか、あそこまでなるにはあと2年はかかるとか。

超、商売熱心な意見交換。

企業だったら業績の伸びるタイプの社風だな、と思いつつ、セルバンテスはハンカチを濡らしてイワンを上向かせた。


「ほらほら、泣いたら駄目だよ」

「で、でも、っひっぅ」


イワンの白濁まみれの顔を根気よく拭う。

乾いている部分もあって時間はかかったが、綺麗になった。


「セルバンテス様、この人どこのひと?」

「私教えてもらいに行きたいっ」


口々に言う娘たちに苦笑し、あれはアルベルトの従者で商売はしていないのだと言う。

が、アルベルトはそれを訂正した。

従者であり、恋人だと。

珍しくイワンの前で主張したのにセルバンテスが目を丸くすると、アルベルトは力なく手を振った。


「普段は、こやつが三娘やサニーに気兼ねするから言わんだけだ」


今は、聞かれて困る者もいまい。

女も、貴様も、ワシの妻でも子でもないのだからな。

その言葉に、女達は顔を見合わせ輪を縮めた。

輪の中心は、沢山の綺麗な女性に囲まれて怯えているイワン。

その顔に、益々輪が縮まる。


「ねえ、どうしてそんなこと気にするの?」

「実力で獲っちゃったんならいいじゃない」


不思議そうな女性に、イワンは首を振った。


「わ、私などが亡き奥様にかなう筈が・・・・・」

「「「?」」」


顔を見合わせる女達。

その中の一人が、イワンの袖を引いた。


「死んじゃったんでしょ?今はあなたが恋人なんでしょ?」

「そ、そうですが・・・・・・」

「こんなこと言うのもあれだけど、そのひとでも」


あんなに幸せそうにフェラチオできないと思うよ?


「だって、やっぱり排泄器官兼ねてるんだし、本気で愛がないと、あんなに幸せな顔で口に入れられない」

「ねー」

「そうだよねぇ」


イワンはその言葉に目を瞬かせ、恥ずかしそうに俯いた。


「そ、それは・・・・・な、舐めさせていただくと私も気持ちがいいし・・・・・」

「・・・・・・それ、もっと重症」


娘たちが、アルベルトに視線を向ける。

とてもとても、羨ましそうに。


「いいなぁ・・・・・・・」


そんな愛なんて、普通手に入らないのに。

寂しさを含んだ言葉だ。

だが、娘たちはそれを苦にしない。

笑って、イワンに構って遊び始める。

セルバンテスが呆れたようにアルベルトを見やった。


「女の子たちにまで指摘されてるじゃない。情けないなぁ」

「・・・・・・煩い」


可愛い娘たちに構われてどぎまぎしている従者を叱責はせず、アルベルトはその辺に転がった。

きつい、もう寝る。

眉間にしわを寄せ、深いため息。

でも、その口元は。

ほんの僅かに、笑っていた。





***後書***

イワンさんに貪られるアル様もあっていいじゃない!!