【 御主人様のお気に召すまま-132 】



任務が回ってきた。

それも、自分でなく従者に。

それならいつも通りだ、まあいい。

別々の事もままあるのだから。

だが、そのチームの男の一人が気に食わなかった。

下心が見え見えの視線で従者を舐めまわすように見ていて。

とはいえ、従者も大人の男。

自分で何とかするだろうと放っておく事にする。

自分がいつもしゃしゃり出ていてはイワンも気が滅入ろうと思ったのだ。

が、盟友が執拗にいいのかと聞いてくる。

今回に限って何故そうもしつこいのかと問えば、その男。

前にセルバンテスの部下ともめたらしい。

真性男色の、タチ。

そして剃毛を行う、または禿頭、パイパン等が大好きな変質者。

そして綺麗系より可愛い系、それより普遍的な顔立ちの方が燃える。

その男は化学畑で、音楽教養がある人間を好む。

完全に、従者がストライクド真ん中。

体毛が薄い上、禿頭。

顔立ちはやや可愛い普遍的な男。

音楽教養ばっちり、ピアノもブルースハープもいける。

それでもまさか何かある筈がと思った瞬間、携帯着信。

開くと、言い争う声がする。

イワンからだが、従者はローザにかけているつもりらしい。

が、布が引き千切れる音とともに切れた。

従者の携帯に内蔵したGPS反応は、一般エージェント用のミーティングルーム。

盟友に見送られて走った。

ドアを破壊して入れば、3人がかりでイワンを押さえつけ凌辱せんとする男ども。

A級3人がかりで取り押さえられれば、イワンとて満足な抵抗は出来ない。

既に即頭部を薄く染めて昏倒していた。

どうやら業を煮やして力任せに殴り付けられたようだ。

アルベルトの思考は冷めていた。

じわりと赤らむ意識の中、断末魔を聞いた。

硝子が砕け散る不協和音の様なそれを、延々と。

苦痛を長引かせ、命乞いが狂った笑いに変わるまで。

流石におかしいと様子を見に来た盟友に止められ、一発もらって。

救護班に頭部を動かさぬよう運ばれる従者に、付いて行った。





「すみませんでした・・・・・・・」

憮然としている主に、イワンは柔く微笑んだ。

殴られた即頭部は問題は無かったが、矢張り痛い。

今はもうどす黒い内出血の痣になっているが、主は一週間前から機嫌を損ねたままだ。

否、機嫌を損ねたと言うと語弊があろう。

心配してくれているのを感じる。

毎夜眠り始めの夢現にそこに触れる指は温かだが、いつも恐る恐るだ。

触れたところで壊れる硝子細工でもないのに。

貴方様になら、頭を砕かれたって幸福なのに。

でも、言えばきっとこの方を傷つける。

刹那的な発作を起こせば、殺そうとする方だが。

長く愛したいと願ってくれている事は、知っている。

言いにくくてなかなか言えずにいた事を、言わねばならない。


「あの・・・・・任務がありますから・・・・・」

「・・・・・この怪我で行く気か」


主の咎める刺を含む言葉に、イワンははんなり微笑んだ。

誇らしげに。

それは己の能力への確信と、主への気遣い。


「私が一番、器用にこなせますから」


茶化すように、でもそれは事実。

アルベルトは黙って葉巻を取り出し、ここが病室と気付いてそれを仕舞った。


「・・・・・ワシが組む。文句は言わせん」

「恐縮です」


我儘を受け入れてくれる優しい従者は心を痛めているのだろう。

碌に眠らず・・・・眠れずに、一週間付いたままの自分。

それを引っ張って回る事に。

しかしそれでも我は通すと決めている。

今回だけは、絶対に。

譲れなかった。





某国、某ホテル屋上。

雨の中、主従はそこにもう2時間留まっていた。

外気温は一桁、息は白い。

イワンは着ていたコートをアルベルトに着ていてほしいと頼んでいた。

どちらにせよ、今からは邪魔だからと笑って見せて。

イワンは今、大通りの方に向かって消音銃で狙いを定めていた。

重火器や拳銃意外に、イワンはショットガンやスナイパーショット等も使いこなせる。

遠く離れたところを狙うなら、もっと腕のいい者はいる。

が、強風、地形難所などになると、イワンに適うものはいない。

今回も、狙いは入り組んだ路地を一瞬抜けるだけだ。

それを、手前の大通りの向かいの屋上から狙っている。

神業とも言えるが、イワンはそれを当然と思っているらしい。

奢るでも謙遜でもなく。

彼の知り合いの遠距離狙撃手が腕の良いのもあろう、遠距離はその男が頭一つ抜きんでている。

が、その男もイワンの器用さを一目置いている。

イワンのコートを肩から掛けて羽織り、アルベルトは白い息を吐いて上を見上げた。

自分は階段側のひさしの下、従者は雨ざらしのコンクリに雨除けの黒布を被って這っている。

服はもう濡れているのだろう、服薬して体温が下がらぬようにしているから震えはしていないが。

不意に、ふしゅっ、という炭酸飲料の蓋を開けるのをまだ間抜けにしたような音がした。

にわかに騒がしくなった地上、手早く機材を片づける従者。

かたが付いたのを知り、荷物をまとめた従者を抱き上げる。

相当な重量だが、アルベルトにはそう重い荷物でもない。

薄闇に紛れて消えていく二人を見たものは、居ない。





「・・・・・・終わったか」

「あ、はい、済みました」

隣国の、足が付きにくいモーテル。

その一室で、イワンは機材をざっと解体して始末し、声をかける主に振り返った。


「お茶をお入れします」

「再三言うが服が先だからな」


床が濡れる、と言いながら、頭の中はイワンの心配でいっぱいなアルベルト。

こうでも言わないと頑固に自分を優先すると拗ねているのもある。

イワンは眼を瞬かせ、柔く苦笑した。


「お気遣い有難うございます」


目の前で脱ぎ落とされる衣服、纏われていく衣服。

合間に見える、白く滑らかな肌。

冷え切っているのが分かる、白蝋色。

アルベルトは溜息をつき、浴室を指差した。


「湯は張ってある」

「あ・・・・す、すみません、そこまで・・・・・・」


恐縮するイワンに早く行けと仕草する。

が、着替えについては制限した行動、即ち茶を入れ始めるのにがっくり疲れを感じる。

ポットを取り上げ、睨む。


「行けと言うのが分からんか」

「で、ですが、アルベルト様が・・・・・・」

「茶は良いと・・・・・・」


言いかけて気づく。

従者はどうやら些か冷えた自分の身体を気にしているらしい。

何とも言えぬ感覚。

余程体調にかかわりそうな彼自身より優先されるのは、微妙な嬉しさと多大なる呆れが入り混じる。


「・・・・・・一緒に入るか?」


少し意地悪く笑んでやる。

イワンは慌てて首を振った。

恥ずかしがるのが可愛くて、本気でやってやろうという気になった。

第一、このホテルは素泊まりのモーテルというより些かラブホに近い。

ベッドなどは簡素だが、浴室に熱が籠っている。

湯気でなく、セッティング的な話で。

浴槽が広い・・・・中で致せる。

鏡が大きい・・・・がっつり見せて煽れる。

シャワーヘッド取り外し可能・・・・盟友が喜びそうだ。

と、いうわけで、恥ずかしがるのを強制連行。

せめて身体を先に洗わせてくださいと哀願するので、脱衣所で10分ほど待ってやる。

湯に浸かった音がしたので入ると、目をひくもの。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

「?」


イワンはきょとんとアルベルトを見つめていた。

主の視線は一点に集中、物凄く不思議そうだ。

その視線の先を辿り、首をかしげる。

まあ、座りにくいかは個人差があろうが・・・・・・その、単なる助平椅子としか。

主はそれを手にとってひっくり返したりこんこんと叩いたり、興味津津。

まさか、知らないのか。

いや、でも、聞いたら馬鹿にしているようだし・・・・・。

どうしようか考えていると、主と目があった。


「・・・・・・これは何だ?」


・・・・・矢張り知らなかったようだ。

主はセルバンテスよりかなりノーマル思考なので、ソープ系は嗜まなかったのかもしれない。

セルバンテスは広く深く楽しんでいるし、ヒィッツはSMクラブのお姉さま、M嬢はおろかS嬢にまで大人気。

カワラザキは全般なので完全無欠のゴッドハンドっぷりを発揮しているが。

兎角、ソープ嬢の定番助平椅子。

主が知らないとは思わなかった。

そして、どう説明すべきか。

基本的には男性が座って女性が股を洗ってあげたり、扱いたりする。

女性が座って弄って貰う場合もある。

そういうようなことを説明すると、主は興味を持ったようだった。


「あの、洗いましょうか?」


見上げてくるイワンの瞳は純なまま。

全く色っぽい色は含んでいない。

ほわほわした愛らしい笑みのまま卑猥な行為を申し出てくれるのは相当な破壊力だ。

が、これを逃す手は無い。

取り敢えず椅子を置いて、座ってみる。

一瞬迷ったが、どう考えても溝を横にしてはいけないと思って、縦向きに。

それは正しかったようで、イワンが湯からあがって目の前に座る。

最初は膝をついたが、タイルが痛かったようだ。

使い切りのボディソープを手にとって泡立てるのは手際が良い。

まさかこういう事をしているのかとドキッとしたが、この恥ずかしがりにそんな度胸は無いと思いなおす。


「失礼します」


まず、男根を綺麗にする。

たっぷりの泡で包み、根元から丁寧に。

優しく擦って、軽く立ってきたら扱くようにして。

先は指で丁寧に撫でまわし、袋を掬って洗っていく。

揉まれて心地が良い。

目を眇め、従者の頭を見つめた。

蟻の戸渡りをこする指先。

後ろの穴を綺麗にするのも躊躇いなく、丁寧。

すっかり綺麗にして、湯をかける。

こう使うのか、と感心していると、ふと思う。


「・・・・・女が座ってもいいのか?」

「え・・・・あ、はい。女性の局部を弄るのを好む方もいらっしゃいますが」


言われ、じんじんする息子も放ったまま考える。

女の膣の位置と、肛門の位置、そして男の後孔の位置はすべて違う。

前から言っていけば、膣、後孔、肛門なわけで。

少し前かがみか、体勢を考えれば、イワンのそこもいじれるはずだ。

ということで、ぽけっと見上げている従者を座らせてみた。

うん、やはりいけそうだ。

頷く主がソープを手に取ったのを見て、イワンは慌てた。


「あ、アルベルト様がおやりになるような事では・・・・・・」

「いや、構わん」


して欲しくないんだが、と思ったが、主が自由研究中の子供の様に可愛くて、黙ってしまった。

一度綺麗に洗っているが、そんなの恥ずかしい。

第一、自分だって実際体験したわけではない。

友人とそういう話をしたりといった経緯で知ったわけだから、こんなところを洗われるなんて殆ど無い。

それも主によってばかり、如何わしい椅子を使用して、という場合は今回が初めて。

いやらしい椅子で、と思うと、なんだか恥ずかしくて落ち着かない。

いけない事をしているような感じがする。

アルベルトはイワンの閉じがちな足を開かせ、手を入れた。


「あっ・・・・・・・」


袋を掬って、揉みながら洗ってみる。

柔らかく張りのある袋がぽってりと重くなり、幹がぴくんと跳ねる。

袋を揉むのはそのままに軽く扱きあげると、イワンが足先を丸めた。


「んっ・・・・・・」


控えめの甘い声に気づいて、首をかしげる。

そして、染まっている頬の意味に気付いた。

自分にされて恥ずかしいのもあろうが、浴室に反響して自分の耳に入る声に赤面しているらしい。

可愛いものだと思いながら、なおも洗う。

柔くだが、声を上げさせるように。


「ん、っ、んく、っ・・・・・」


とろ、と泡が落ちる。

とろみがついたそれを掬って、奥に手を滑らせた。

なめらかな谷間を何度も擦って洗い、閉じそうになっている脚をグイと開かせる。

イワンが肩に手を置くのを感じた。

息を弾ませ、眦を赤らめて、必死に唾を呑みこんで。

目の前の主に向かって、勢いよく飛ばさぬように。

我慢する仕草がいじらしくて、泡を流した。

いつも使っているのならまだしも、成分が確定しない単なる弱酸性表示のソープでは、粘膜を剥いでしまいかねない。

が、その仏心がさらにイワンに不利を運んできた。

動きを止めた主の視線を追えば、マットとローション。

明らかにソープ系御奉仕セット!

いや、凝ったものでなければ、知っている。

ローションを垂らして、身体を擦りつけ合う・・・・・らしい。

流石にイワンもそこまでしか知識は無かった。

主と目があって、そろ、と外す。

アルベルトはその顎を掴んで顔を合わせた。


「これはどう使う」

「ぅ、その・・・・・・」


諦め、それを手に取る。

マットを敷いて、主に仰向けになってほしいと願った。

横たわっても天を衝いている堂々としたものが目に入って、慌てて目を逸らす。

10代のような元気さだ。

38歳と思えない。

どぎまぎしながら、パウチタイプのローションを主の身体に垂らす。

籠もる蒸気でややぬるいそれを、たっぷりと回しかけ。

腰を股越して、身体を擦りつける。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ん・・・・・・・・・・・・」


主の興味深そうな視線から故意に目を逸らし、身体を擦り合わせた。

ぬるぬるして、変な気分だ。

気持ちいいような、くすぐったいような。


「あんっ」

「?」

「す、すみません・・・・・・」


突然身体をびくつかせたのに目をやると、従者は恥ずかしそうに俯いてしまった。

が、暫く観察していると漸く分った。

腰をまたごし膝をついているため、思い切り脚を開いている。

その蟻の戸渡りや、後孔に、時折自分の男根が当たる。

その度に身体が震え、頬が赤みを増す。

愛らしくも、純。

だが、それの根本は淫らに花開いた身体の所為であり。

堪らぬ、色香。

アルベルトの手がイワンを支える。

イワンが首を傾げて目を向けると、アルベルトが酷く男臭い笑みを浮かべていた。

余裕がなさそうな、吐息。

滲んでいる、汗。


「待て、は余り得意でない」

「あ・・・・・・・」


慌てて身を起こすと、主ものは我慢汁まみれでびくびくしていた。

直ぐ口に入れて愛撫しようとするが、身体を引き寄せられた。

付いていた手をやんわり縋る形にさせられ、上半身を主の身体に預けてしまう。

足は着いているが、尻を揉みしだかれて、タイルの上の膝が笑っている。


「んぁ・・・・・・っ・・・・・」


くちゅ、と差し入れられた指は、ローションでぬめっていた。

ボディソープより行為に適しているのは当たり前で、指の進みは良い。

引っかかったりもせずにぬるりと入ってくる圧迫感。

痛みはあまりないが、異物感にもじもじしてしまう。

するとゆるく中を掻き混ぜられ、背が反ってしまう。

同時に指を締めあげてしまって、焦りや痛みより気持ちが良いのが先に立つ。


「んは、っ・・・・・・」


ぽた、と落ちる水滴。

ローションまみれの腹の上に感じる従者の先走りは温かく、鼻先を甘い匂いが掠めていく。

精液とは違う、仄かな甘さを含んだ生々しい匂い。

指をぐっと奥に差し込むと、きゅうきゅう締めつけてくる。

ごくりと唾を呑み、猫のように鳴いている従者の身体を開かせていく。


「んぁ、は・・・・・・・」


奥をぐりぐりされると、気持ちが良い。

ぽたぽた漏れてしまう。

抜き差しの甘い痛みに疼き、奥を押される圧迫感と恐怖に酔い。

頼り甲斐のある逞しい胸板に縋って、甘える。

締めながら腰を振ると、耳を軽く引かれて叱られた。


「指に嫉妬しそうだ・・・・・・」


甘い声音で、囁かれる睦言。

引き抜かれていくのに溜息をつき、力を抜く。

やんわり押し倒されて、貫かれる。

じわりと進んでくる肉槍は熱さも硬さも十分どころか手に余るほど。

奥の奥まで侵されて、タイルに引っ掛かった爪が固い音を立てる。


「・・・・・・身体が冷えるな」


貴様の爪が欠けるのも面白くない。

アルベルトは身をつなげた従者をそのまま抱き上げ、湯をたっぷり張った浴槽に浸かった。

イワンはアルベルトの膝に乗せられたまま、下半身が湯に浸かっている。


「ぁ・・・・・・・」

「どうした」

「っ・・・・・・・・」


頬を染めてふるふる、と首を振るから、耳を口元に寄せる。

湯が引き伸ばされた入口に触れて酷く熱いのだと言うが、嫌がってはいない。

少し腰を揺らすと、腰をくねらせて縋ってくる。

中は甘く、しつこいほどに絡んできて何とも具合が良い。

快楽に誘われるまま突き上げてやると、湯を乱しながら従者が喘ぐ。

自分の上で踊る艶めかしい姿態に見入りながら、夢中で求めた。

湯が隙間から僅かに入る度に締まる中に、我慢の末に出してやる。

どろ、と吐き出される、湯と全く違う感触。

腰が立たずに縋るイワンの身体が激しく震えた。

いつもの甘い蜜の匂いがないのに気付き、くたりとした従者の身体をそっと支えて覗き込む。

透明な湯に、白い紐のようにたゆたう精液。

湯の揺れに分散していったが、何だか妙に。

可愛いと思った。





「・・・・・・・・・・・生まれて初めてだ」

アルベルトは、ベッドで従者の膝枕を楽しんでいた。

楽しむというには些か気分が悪い。

初めて助平椅子を体験。

初めてソープごっこを体験。

そして、初めて湯あたりをおこした。

ぐらぐらする視界に最初は気付かなかったが、自分を見た従者が茶を放り出して簡易キッチンに走ってしまった。

この辺は素泊まりのモーテルのように設備があるのが不思議だ。

キッチンから帰ってきた従者は、冷たい水を持っていた。

シャワーの後に自分に飲ませようとミネラルウォーターを冷やしていたらしい。

氷温庫は無いため、氷は無いのだと。

飲むと、少し視界の揺れが収まった。

首を傾げていると、従者はてきぱきとベッドの掛け布団を丸め、枕と一緒に積んだ。

そして、枕があった場所に膝まづき、貧血の対処の様にと願った。

そうしてみたら、一気にきた。

吐き気と、頭痛。

足を上げているのが相当緩和しているのが分かる。

枕が低いと苛々する自分のために膝まづいているのも分かった。

本来ならば頭を低くしておくべきなのだから。

だが、ふと気付く。

そう言えば、従者の頬もやや赤い。

それに、時折辛そうに唾を呑んでいる。

同じような事をしたのだし、自分たちは同じように熱さに弱い性質だ。

溜息をつき、アルベルトはイワンの腕を軽く引いた。

戸惑うのをゆっくりと、衝撃を与えぬように引き寄せ、横にならせる。

少し横にずって自分の隣に沿わせ、足を上げさせ。

隣り合って、湯あたり対処。

少し気分が悪いのが難点だが、何だか嬉しいと、思った。





***後書***

格好良いイワンさんと、格好悪いアル様。