【 御主人様のお気に召すまま-133 】
面白いものを入手した。
スポイトのゴムの部分。
それも、透明。
入手元は夜のお楽しみの玩具ショップ。
説明を見る限り、女の小陰茎を吸引して露出させるもの。
ローター内蔵型や御汁受け皿つきなど、様々。
しかし、透明なのが気に入った。
オプションが無くても構わない。
乳首も吸引出来るらしいし。
PC部品という在り来たりな表記で、ささやかなカモフラを施された段ボール箱を抱え。
従者が来るのを今か今かと待つ、午後6時40分。
「?」
呼ばれていたイワンは、声をかけても返事が無いのが気になってそっとドアを開けた。
時刻は午後10時20分。
主は、ソファに沈み込んで眠っている。
箱が側に落ちているので拾い上げると、ころころと転がる数個のぽにょぽにょ。
拾ってみると、大きめのスポイトの先。
それも透明。
何故こんなものを、と思って箱の中を覗き、絶句した。
いっぱい入っている。
透明なスポイトの先ばかり、ぎっしり。
否、もうそれはみっしりと言ってもいいと思う。
兎角変としか言いようがない。
何か、実験を始めるのだろうか。
でも、大体試験的な何かは自分で行われ、恥ずかしい行為であることが多い。
危ない薬の場合、盟友組はお互い薬品持ち寄りの、当たったらあの世行きロシアンルーレットを行って遊んでいるから。
どきどきしつつ、これをどうにか捨てられないかと考えた。
きょろきょろして、箱をそっと持ち上げ。
そっと、ベッドの下に押し込んで。
これでよし、と振り返ったイワンは、口から心臓が出るほど驚いた。
「ひっ」
間近に、主の顔。
それはそれは悪い悪い、極悪人のいやらしい笑み。
口をはくはくさせ、首を振って逃げようとするイワン。
それをあっさり捕獲し、アルベルトはイワンの顎を掴んで鼻頭をちろりと舐めた。
「悪戯が過ぎる、仕置きだ」
「あ、あ、ご、ごめんなさ、い・・・・・・」
ばれてしまった恐怖に怯えるイワンをベッドに転がし、箱を引っ張り出す。
側面と裏を貼っていたのが紙でなく布テープだったので、段ボールが剥がれ付き粘着しないそれで腕を縛って拘束する。
手首を括り、そこからベッドヘッドに。
足をばたばたさせるのを叱るように足首を掴む。
暴れると言うよりバランスをとったり自分の身体に寄りかからぬようにしているらしいが、そんな必要は無かった。
自分が扱いやすいよう、身体をちゃんと仰向けに置き直し、服をばりばり剥がす。
段ボール開封より心が躍った。
例え給料袋でも開封にこんなに心が躍りはしない。
中から出てくる、うまそうな身体。
ぺろりと舌舐めずりする主に、イワンは恥ずかしくて唾を呑んだ。
顔が熱い、自分を食べようとしてくれるのが嬉しい。
少しでも、美味しそうだと良い。
少しでも、美味しかったら良い。
ほっぺたを赤らめて目をぎゅっと瞑ったイワンは、完全に箱とスポイトの事を忘れていた。
アルベルトはまず舐めて味わうべきか、キスかと考えたが、取り敢えず唇を吸った。
柔い唇は甘く、甘噛みすると戦慄く。
滑らかな舌も、水飴の様な唾液も良いが。
なんとも愛らしい唇を舐めしゃぶるのも興奮する。
ちゅうちゅう吸ってやると、イワンの身体が軽く捩られる。
甘やかな刺激に身体に熱が籠もってきたらしい。
取り敢えず、軽く胸を舐めて密着性を良くし、箱からスポイト。
余談だが、以下スポイトで統一するのは、スポイトのぷよぷよが奇しくも乳首という名称で分かりづらいからである。
スポイトをつまんで空気を抜いてみるが、完全に抜いてもあれかと思い、4分の3ほど抜いて押しつける。
イワンが吃驚して跳ね起きかけるのを押さえつけ、指をゆっくり離した。
「え・・・・・あ・・・・・」
頬を真っ赤にしている従者の乳首にはスポイトの乳首が付き、はっきり言って何とも笑いを誘う。
が、透明で中に吸い上げられてしこる乳首が見えるとなると、間抜けさ半減、厭らしさ倍増だ。
何とも興奮すると思いつつ、もう一個。
反対に付けてみた。
「あ、あのっ・・・・・・」
「何だ」
「ぅ・・・・・お、おやめになりませんか・・・・?」
「いや、続ける」
あっさり退けられるお伺い。
吸い上げられている力は痛いほど強いわけでないが、やや血が集まって何だかもじもじする。
主は面白がって、胸や腹にスポイト畑を作成中。
くすぐったいが、我慢。
ちょっと立ってしまっているが、気にしないよう心掛けて。
すると、不意に雄を掴まれる。
反対の手には、スポイト。
それを先端に押し付けられて、慌てて暴れる。
が、腿をぴしゃりと叩かれた。
「仕置き中であることを忘れるな」
すう、と目を細める肉食獣に、肩の辺りがすっと冷える。
きゅっと唾を呑んでこくこく頷くと、満足げに頷いて作業に戻る。
押しあてられ、緊張する。
痛くないはずだが、敏感な部分だけに緊張した。
きゅぷ、と小さな音を立てて先端に吸いつかれた瞬間、身体に電気が走った。
「え、あ、や、やっ・・・・・だ、め、だめっ」
「?」
ばたばた暴れる従者に、アルベルトは首を傾げた。
目の前の従者は酷く身体を捩って、腰をシーツに擦りつけている。
仰向けだから当然雄は擦りつけられないが、もどかしげに尻を擦り付け。
目が一気に潤んで、口の端からとろりと唾液が滴った。
「あ、う、う、あ・・・・・ぁ・・・・・」
不意に、雄からスポイトが外れた。
見やれば、スポイトの中は真っ白な粘液で満たされ、さらに外れたそれの上から降りかかっている。
「ふあ、あ・・・・・ぅ・・・・・・」
ぶる、と身体を震わせる従者が可愛い。
どうやら、これでの吸いが丁度悦いらしい。
もっと絞ってやろうともう一度吸いつかせると、力無いそれはすぐに硬く立ち上がる。
だが、思い直して途中で外した。
余り絞ると、途中でへたってしまう。
自分の息子もかなり育っているし、右手で相手をするのも侘しい。
まあ、このいやらしい身体が力なく気絶しているのを見ながら扱くのも乙と言えば乙だが。
取り敢えず外したスポイトを、幹に吸いつかせた。
「あんっ」
・・・・・思いの外、反応が良くて気分が良かった。
もう一個、もう一個とやめられずにやった結果、イワンの雄は見た目なんとも可哀想な状態に。
鬼の金棒のよう、と言えば端的だろうか。
棍棒、クランチアイス、クランチポッキー・・・・・。
まあ、兎角なんとも可哀想な状態であることは間違いが無い。
それを見て、ちょっとやり過ぎたかなとも思った。
思ったが、なんだか可愛いと思って、携帯のカメラで撮ってみた。
・・・・うん、可愛い。
満足げに頷く主をかすんだ意識の中で見つめ、イワンは無意識に脚を開いていた。
躾けられきった身体の無意識の反応だ。
アルベルトは脚を上げさせ、窄みを覗き込んだ。
興奮してひくひくしている可愛い蕾。
ちょんとつつくと、腰がびくっと跳ねて、甘い悲鳴。
目の前の蕾はきゅうう、と窄んでしまった。
可愛いし、矢張りここもうまそうだ。
ぢゅるぅ、と吸いつくと、イワンが嫌がって腰を捩った。
それを拘束し、腿の肉が沈むほどに握りしめた。
舌をねじ込んで味わうと、甘い蜜が舌に触れる。
吸引しても出てくるほどの量は無い。
舌をねじ込んで掻き出す。
「ぅあ、や、ぁ・・・・・やめて、ぇ・・・・・!」
後孔に吸いつかれて舌で弄られる羞恥に耐えきれず懇願する。
いつもより吸引が激しくて、音が大きくて。
凄く気持ちいいけれど、そんな恥ずかしい事は我慢できない。
泣きながらやめてと繰り返す従者に興奮が抑えられないアルベルトは、思う様そこを吸いねぶって愛撫した。
ちゅばちゅばと唇でしゃぶると、舌を含んだ肉の輪が激しく締まる。
そこに舌をねじ込んで中を舐めると、良い声で鳴くのだ。
「いや、いやぁ、やだっ・・・・・・!」
泣きじゃくる従者に気を良くし、顔を上げる。
戯れにそこにスポイトをつけてみた。
蕾と、その周り。
花家紋のようになっているそこを眺め、唾液が付いた口の周りを拭う。
イワンはすっかりくったりとして、小さく震えていた。
目は殆ど閉じかけで、瞼は震え眦は赤みを帯び。
雄は、立ってぴくぴくして。
たっぷりの我慢汁を垂らして、甘く香っていた。
スポイトに絡んで、何とも淫靡な光景だ。
べろりと従者の首筋を舐め、こちらを向けぬように顎を掴む。
首筋を強く吸って跡を残し、後孔のスポイトを纏めて掴み、引っ張る。
「あ、あ、あ、だ、だめ、だめ・・・・・ひぁんっ!」
小さな音を立てて引き剥がされたスポイト群に、イワンの身体が悶え狂う。
そのスポイトまみれの男根の根元を強く締めて、反対の手で足を開かせる。
強く押し込むと、イワンが身を捩って泣き叫んだ。
「ぁん、ぁは、ぁあ・・・・・・!」
ぎしぎしと引かれる拘束が手首に食い込み始めているのを見て取り、肌を痛めぬように引き千切る。
自由になった腕で縋ってくるのを抱いて、腰を使った。
「ああ、あ、だ、だめ、我慢でき、な・・・・・・!」
イワンが、手を伸ばす。
主を引き寄せ、必死で口づけた。
その行為による余りの興奮に、思わず。
そうしようと思ってでなく、持って行かれてしまった。
中で出される熱い液に、イワンも白濁を噴き零したが、何とも格好がつかない。
ちょっと悔しくて、二戦目決行。
スポイトなど放り出し、たっぷりと。
甘い『乳首』と、白い蜜を味わった。
「・・・・・・何これ・・・・・って、え、えええええ?!」
盟友の携帯の待ち受けに釘づけのセルバンテス。
「これ、イワン君のおちんちんでしょっ?!何でスポイトの先がいっぱいくっついてるの?!」
「その前に、何故イワンのと分かった・・・・・」
「愛」
黙らせるのも面倒な男だ。
放置して、携帯を閉じる。
が、食い下がってきた。
「ねえねえ、どうしたのそれ、そんないやらしい遊びしたの?いいなぁいいなぁ、私も仲間に入りたい」
「断る」
「じゃあ写メで送ってよ」
そう言われ、仕方なく送りつける。
題名は寒中見舞い。
セルバンテスのポケットから、ヒヨコの鳴き声がした。
ヒヨコの群れが鳴いているのが即座に思い浮かぶ着信音だ。
かぱっと開いたセルバンテスはご満悦。
「これ保護かけておこう。あと、イワン君のメール着信画面に設定、と」
従者が知ったら泣くどころか半狂乱になって携帯を叩き割りそうだが。
放っておいて酒を飲めば、首筋に触れられた。
鬱陶しい、と振り払うと、良い笑顔。
「いやぁ、焼きつぶしてあげたいねぇ、それ」
言われ、手をやる。
何もない。
盟友が差し出す鏡を見ると、僅かに赤くなっていた。
「スポイトだと思って、許してあげるよ」
悔しそうに、呆れたように言われて、何だか尻の座りが悪い。
自分より先に起きた従者が、スポイトを片づけてはいたが。
これは少々、甘い意味を含み過ぎていると、思った。
***後書***
花弁つけられて寝てるアル様が無痛症過ぎる。あれは内出血です(真顔)