【 御主人様の御気に召すまま-143 】



「飲め」

押しつけられた瓶、ラベルには思い切りピンク色で『媚薬』。

きっと十常寺が作ったのだろうが、何故。

毎日、しているのに。

先に気を失ってしまうのは確かだが、相当な数はこなしている。

気絶していても構わず睡姦したりもしているらしい。

まだ足りないのだろうか。

今日の主は、調子もよさそうだし、張り切っているのかも。

やる気満々みたいでちょっと恥ずかしいが、受け取ってごくん。

シャワーは浴びてきたから、自分に飲ませようと待ち構えていた主がシャワーを浴びている時にベッドで待っていたのだが。

早くもイワンは、完全に薬が回っていた。

身体がどこもかしこも、とろけてしまいそうに気持ちが良い。

口に指を入れてしゃぶっているだけで、スラックスの中はドロドロだ。

腰を揺らしながら指をしゃぶり続けるイワンに、当然理性は残っていない。

仰向けに転がってシーツの中を泳ぎながら、指をしゃぶる。

気持ちが良くて目を細めていると、また。

ぬるぬるの下着の中まで気持ちが良い。

薬が効く間を持たせるつもりで長めのシャワーを終えたアルベルトは、すっかりとろとろになっている恋人に思わずにやけた。

可愛い唇が指を吸い、その刺激に身体を震わせ。

指を奪えば、嫌がって拗ねる。

口づけてやると、むしゃぶりついてきた。

舌を絡めると、必死に縋って応えようとする。

キスの下手な彼の仕草は滅茶苦茶だったが、濡れた音をさせてぐちゃぐちゃのスラックス越しの雄をすり付けられては興奮するしかない。

服を引き裂けば、じっと見つめて強請ってくる。

少し首を傾げて笑うと、イワンの目が潤む。

きっと意地悪されるのだと考え、そんな苛めっ子など放り出して自慰を始めようとする。

それを邪魔して、尖りに息を吹きかけた。


「ひゃぅ・・・・・」


冷たさに身をすくめるが、尖りはつんつんしてきている。

指で触ると泣いて嫌がったから、やめた。

敏感になり過ぎているため、相当痛いらしい。

そっと唇を付け、舌で包む。


「ああ、あっ、あ」

「・・・・・・・・・・ん」

「あんっ!」


ぢゅる、と吸うと、腰が跳ねた。

いったかは定かでないが、相当気持ちが良いらしい。

びくびく腰を震わせながら頭を抱いてくるのを愛らしく思いつつ、しつこく舐める。

歯の根が合わなくなってくれば、優しく甘く、吸い上げてやる。

部屋の中には蜜の匂いが籠もり、興奮を禁じえない。

恋人の精液の匂いだと思うと、痛いほど勃起してしまう。


「あ・・・・もっと・・・・・」


とろりと濡れた甘い声が催促する。

気分よく応えて身体を触ってやると、面白いように感じる。

唇をわななかせ、イワンが脚を開く。


「おしり、も・・・・・」

「くく・・・・すっかり尻の孔での情交が上手くなったな」

「あ・・・・・」


目が潤み、雫が落ちる。

彼は今、頭が回っていないのだ。

いつものような言葉遊びなんてまともに出来る筈が無い。


「ごめんなさい・・・・・」


ぽろぽろ涙を零すのに、些か慌てた。


「わ、悪いとは言っておらんだろうが」

「おしりは、入れちゃいけないところ・・・・・」


その入れてはいけないところに差し込むのが興奮するのだ。

初めは恋人もかなり抵抗があったようだし、今だってかなり我慢している部分はあろう。

頬を擽ってあやすと、抱きついてきた。


「がまん、できない」


おしりに入れて欲しいです。

ちょっとだけ丁寧語に戻っているのが何とも愛らしい。

お願いだからなのかもしれないが、可愛い。

苦笑して、脚を開かせる。

少し考えたが、今日はゆっくりしたい。

唾液や体液ばかりでは少し厳しいかと思い、たっぷりの香油を指に絡める。

指を見せびらかすと、嬉しそうに身体を反転させ、お尻を上げて『はいどうぞ』。

振れと言うと、素直にふりふり。

すっかり理性を無くした犬のような様子に苦笑し、舌舐めずり。

指を這わせると、可愛い窄みはひくひくしながら待っていた。

見目では分かりようもないが、触れると分かる、すっかり筋肉のついた孔。

相当鍛えられてしまって、強く締まるのも緩めるのも上手くやる。

一から十まで自分が仕込んだ、身体。

指を沈めると、小さく声を上げて力を逃がす。


「ぁ、ぁ・・・・ん」


第二関節まで沈め、少し動かしてみる。

良さそうだったので、もう少し香油を垂らして、奥まで。

開きも柔らかく、中は温かい。

探ってやると、腰を捻って高く鳴いた。

奥に突っ込んでぐりぐり刺激すると、堪らぬとばかりに腰を振ってシーツを手繰る。


「あんん、あ、あふ、ぅっ・・・・」


感じっぷりに気分を良くし、解れたそこに宛がった。

沈めると、吸いつくような肉孔に包まれる。

歯を噛みしめ、奥まで。

ゆっくり沈めたが、収めるとイワンが身体を捻って背後のアルベルトを見やる。


「は、はや、く」

「くく、貴様も欲しがりだな」

「あふっ、あ、あ、く・・・・・っ」


四つん這いの腰を掴まれ、激しく打ち付けられる。

汗で滑るのを何度も掴み直し、バスローブが滑り落ち。

獣のように、つがう。

四戦程して、アルベルトは身を引いた。

座ってサイドテーブルの水を取る。

が、奪われ投げ捨てられた。


「もっと・・・・・・して」

「イワ、ン」


すっかり気持ちよさそうな顔で、些か憔悴した目をしながら。

膝に乗ってくる、イワン。

自分は良いが、大丈夫なのか。

そう思ったアルベルトは、甘かった。

さらに二戦やって身を退こうとしたら、捕まえられて、上に乗られた。

仰向けの主のものを口に入れて立たせ、再戦。

流石にきつくなっているアルベルトが待ったをかける。


「ま、待て、少し休憩・・・・・」

「やだっ、もっと、もっと!」

「い、イワ」

「出して、くだ、さ、いっ!」

「っ」


絶妙な締めに思わず出してしまうが、従者は感じ入りながら、項垂れるものを器用に締め、血を集める。

勃起はしたが相当立ちが悪いし、ちょっと痛い、いやかなり。

激しく腰を揺らす従者はもう完全にケダモノだ。


「あぁっ、あぁっ、きもち、い」

「っ、は・・・・・」

「はやく、なかっ」

「も、もう、出ん」

「いやぁっ」


駄々っ子になってしまった恋人も、もとをただせば自分の責任。

おまけに超可愛い発情状態。

怒りようが無い。

横腹が痛いし、もしかしたらこれは腎臓の辺り・・・・いや、考えるのはよそう。

従者を抱きしめて腰を密着させたまま休憩を目論むが、突き倒されて腰を揺らされる。


「っぐ」

「あ、あっ、後で、叱られても、い、から・・・・もっと・・・・っんはぁ」

「待て、動くな、本当に、つっ・・・・・」


擦りきれて痛い、苦しい、もしかしたら死ぬかもしれない。

でも、死んだらこの未亡人に寄ってくるのが山ほど。

そんな事はさせん!


「っは・・・・・・ちっ、後悔するな!」

「あぁっ、あ、あっ」


瀕死から復活すると強くなって帰ってくるパターンには程遠い。

腰が抜けかけだが、イワンに知られなければ大丈夫だ。

これでもかと犯し、乗せ、そして倒れ。

意識が浮上しても、恋人は自分の上。

まさかこういう形で睡姦を体験するとは思わなかった。

日ごろの行いが悪いのだとしたら、自分はいったいどれだけ極悪な事をしているのだろう。

ぼんやりと思いつつ、感覚は無いが抱き。

腎虚寸前の最後の一発で、恋人は漸く満足した。

抜きもせずに、腹に手を置いて満足そうな溜息。

そして引き抜き、項垂れ白濁まみれのものに唇を寄せる。


「イワン・・・・・・」


拭うなら、布でそっとにしてくれ。

もう、切除ものかもしれん・・・・。

それだけ告げ、アルベルトは意識を手放した。





「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

キィーコ・・・・キィーコ・・・・・。

物悲しい音を立てて押される車椅子。

スーツ姿のアルベルトは完全に燃え尽きている。

目に、光が無い。

十傑の視線を一身に受けてもノーアクション。

イワンが花瓶から百合の花を抜く。


「お花ですよ」


指の隙間に差し入れても、返事すらない。


「今日は、日向ぼっこが良いですね・・・・・」


日向で、二人。

一人だけの声だけで。

話を。





「・・・・・と、なると予想」

「まぁあれだね、あの勢いじゃありえるよ」

サロンに屯ってアルベルトの部屋を盗撮中の十傑。

イワンも倒れ込んで眠っている。

イワンを上に乗せたままのアルベルトもぴくりとも動かない。

議論していた30分。

誰も見ていない間に、事件は起こった。


「・・・・・悪魔がいるんだが」


幽鬼の言葉に見やれば、モニターには。

気を失うイワンに元気に睡姦を行っている、極悪人。

持久力以外に回復力も半端でないおっさん。

去勢した方が世のため人のために良いと思った。

例え、悪の結社幹部でも。

こんな鬼畜、知り合いなのが嫌だった。





***後書***

子供は風の子元気な子、アルベルトは衝撃波の子元気すぎるおっさん!