【 御主人様のお気に召すまま-146 】
「なぁんかしっくりこないのよね・・・・・」
任務明けでもう何もしたくないと押しかけてきた友人は、自分が休日であると知っていたらしい。
任務先から直行して来て、風呂を使ってベッドを占領。
起きてすぐ、今の今まで、食事をとっていた。
突然来ておいて要求するのはピザで、それも早くしないとへそを曲げるのは目に見えている。
ちょっと考え、素麺とアボカドで適当なピザもどき作成。
もう完全に冷蔵庫の残り物を処理するおかあさん状態だ。
綺麗な色のもっちりピザにご機嫌で、不規則な食事のイワンに説教を垂れつつ餌付け。
差し出されたのを大人しく食べて、食後のお茶を。
お茶の他に、オレンジジュースも入れておいた。
そうだろうとは思っていたが、お茶より先に手にとって啜り始める。
「うん、チーズにはオレンジジュースよね」
「で、何がしっくりこないって?」
皿を片づけながら聞けば、彼女は至って普通に、あっけらかんと答えた。
「ペニスがあると、歩きにくいって話」
「・・・・・はぁ?」
意味が分からず呆れた顔をするイワン。
歩きにくいって、切り取った事が無いから分からない・・・・・。
「・・・・・私は無い方が困ると思うが」
・・・・わけでもない。
前に女性になってしまった時、歩くと時折脚の付け根に陰毛が挟まってしまった記憶がある。
下着を着るまでは大変気になった。
が、ローザはストローを噛みながら言う。
「だって、違和感があるもの。ガードル穿かないと無理」
「・・・・・・?」
「陰陽フェチの未亡人相手の任務だったの」
薬品で一時的に生やしたのだという彼女は、確かに美人だし、いい身体だ。
これで両性具有ならその手の嗜好の人間には垂涎ものだろう。
美人って大変だなぁと思っていると、ローザがグラスを置く。
「でね、歓楽街に行けって」
「薬を抜くのか?」
「うん、排出されるのは生殖能力の無い蛋白質の液だから、娼館にって」
手当てが出たんだけど、結構な額なの。
選り取り見取りってとこね。
「でもね、考えたの」
酷く苦悩する娘に、イワンはやや目を伏せた。
この娘も、思うところがあるのだろう。
「欲しい服があるのよ」
・・・・何だかちょっと雲行きが怪しいと感じた。
「猫ばばしちゃえば、買えるの。でも、残っても硬貨。今月はもう限界」
「・・・・・・」
「そして、次の任務は百合好きの美人痴女」
「・・・・・・ちょっと塩を買ってくる」
部屋から脱出しようとしたイワンは、すぐさま取り押さえられた。
「いいじゃないっ、別にお尻に突っ込んで中だししようってんじゃないんだからっ!」
「全然良くない!手当てで服を買うな!」
「だって欲しいもんっ、ね、ね、出せばいいんだから、口でして!」
にゃんにゃん身体を擦り付けられ、もがく。
イワンだってまだ33歳、健康な男性だ。
若い娘のぷりぷりした身体をすりすりされれば、ちょっとどきどきしてしまう。
嫌だと言い張ってもがいても、全然脱出できそうにない。
「口に入れたら噛んでやるからな!」
「じゃあ下から突っ込むもんっ!」
「な・・・・・・」
「アルベルト様が夢中なお尻、皆気になってるのよ?」
にぱっとちびデーモンが笑う。
人の尻の具合なんて放っておいて欲しいし、勝手に想像しないで欲しい。
「吸い付くようだとか、締まりが最高とか、腰つきが何とも良いとか、憶測が憶測を呼んでもう神器状態」
「ばっ・・・・お、男の尻がそんなに具合が良いわけないだろうっ」
「じゃあせっかく生えてるんだし、入れてみようじゃない」
「ぐっ・・・・・・」
この娘に力で適う筈はない。
可愛い顔でも、我儘でも、能力はA級、そして衝撃のアルベルトの弟子だ。
イワンはとうとう、諦めた。
「絶対絶対、口だけだからな」
「やったっ」
いそいそと身体から降りる娘に溜息を禁じえない。
ベッドは流石に嫌だったので、ソファに座らせて目を向ける。
「出せ」
「出して」
にこーっと笑顔の娘に溜息をつき、ちょっと乱暴にスカートをめくる。
ガードルをジャックナイフで切り裂けば、大層立派な持ち物が。
一瞬自分の腰の物を考え、落ち込みそうになる。
ローザはもともと女性、男性器に対する男の意地なんて知らないから、ただただ興味津々で見ているばかり。
「見るな」
「興奮した方が早いんでしょ?」
「・・・・・あのな」
私がペニスをしゃぶっている姿を見て興奮するというなら、医務室で別の薬を貰ってこい。
呆れたように言うイワンに、ローザがやれやれと首を振る。
「馬鹿ね、あんたは男じゃないの」
「?」
「雌」
ぴきっときたので、手にしたものをちょっと握りしめてやった。
ローザが待ったをかける。
「待って待って、なにこれ、意外と痛い!」
「当たり前だ、急所だぞ」
「吃驚したぁ・・・・・・」
次からの任務、急所蹴り考えちゃうわ・・・・・もっと活用しなきゃ!
そっちかと思ったが、黙って口に入れる。
ローザが息を詰めた。
「うわ・・・・・結構効くわね・・・・・小陰茎剥いて直舐めしても此処まで無いかも・・・・・」
「ん・・・・・・んぐ」
「何て言うか、2点責めくらいの効果はあるかもしれないわ」
喋る余裕があるのだから、大したものだ。
イワンだって本気で絞りに行ってはいないが、初めてで結構堪えるものだ。
「ん、何かもじもじする。出るかも」
「ん、ぐ・・・・・・・」
イワンは喉を開いて奥まで咥えこんだ。
ディープスロートに目を眇めるローザを見上げると、口の中の苦みが増す。
「ん」
眉をひそめて睨むと、頬を擽られる。
「だって、可愛いんだもの」
汗を滲ませた顔が、酷く格好良いと思った。
若い娘でも、一流の戦士。
美人で、気が強く、一部乙女。
考えてみれば、相当魅力的な娘だ。
ちょっと男性的な格好良さも否めないが。
ローザの手が、イワンの頭を掴む。
若さと初体験の快楽を考えれば、そうしたい欲望はあるだろう。
下手に拒んで犯されては堪らないし、抵抗せずに従う。
「んっ、んぶっ、ぐ、んぐっ」
「うあ・・・・・気持ちいい・・・・・・」
ローザのイマラチオの動きは、妙に上手かった。
彼女も、される側の経験があるから。
任務で男性相手は殆ど無いが、興奮した女性にぺにぱんでイマラをされると死ぬほど苦しい。
作り物に感覚は無いから、容赦なく喉の奥をついてくるし、加減も分からないのだ。
イワンに苦しい思いをさせないよう気をつけるが、矢張り暴走しがち。
だが、慣れているイワンは噛んだりせずに上手くいなしていた。
「ぐ、んんぐ、ん・・・・・・げほっ、けほ、っ」
「は・・・・・・ぁ・・・・・・」
ローザがくたりとソファに沈み、イワンの口から項垂れた男根が抜け落ちる。
咽頭に精液が絡んで咽ていると、オレンジジュースを渡してくれる。
ジュースで精液を喉の奥に流し込み、一息。
ローザはタオルを濡らしてきて、顔を拭ってくれた。
「別に自分で・・・・・」
「いいじゃない。ほったらかされると気分悪いでしょ?」
矢張り女性の意見だが、女役を担うイワンには理解できる。
苦笑して身を任せていると、ローザが服を直してイワンをソファに引き上げた。
「ちょっと寝るわ。結構きつい」
「ああ、2時間で良いか?」
「うん」
膝枕で眠る娘を髪を梳き、軽い溜息。
主には絶対に言えないなと思いつつ、視線を上げて硬直。
部屋の隅にカメラがある。
いつの間に。
犯人はセルバンテスだろうが、リアルタイムで一緒に主が見ていた場合が不味い。
冷や汗を垂らしていると、電話。
『イワン君の秘密、知っちゃった☆』
明るい声の素敵なおじさま。
どうしよう、絶対ゆすられる。
どっどっと大きな音を立てて血液を送り出す心臓。
唾を呑んで黙っていると、素敵なおじさまが嘯いた。
『浣腸ファックさせて』
大丈夫、このセリフは泥酔時にしか聞けないもの。
電話してきたという事は、今は一人の筈。
イワンはローザを叩き起こした。
電話を切らずに話しながら、不服そうな娘に筆談で状況説明。
流石にヤバいと判断した彼女は素直に従い、二人でセルバンテスの屋敷へ。
彼の私室に入り、イワンは彼が掴んでいる大きな酒瓶を取り上げた。
自分の頭からそれを振りかけ、びちゃびちゃになってセルバンテスを見つめる。
ワンシャツが透けて可愛い乳首が丸見えだ。
「お浣腸、メロンソーダじゃなきゃ嫌です・・・・・」
わざと、多大なる努力を要して、甘ったれた子供口調。
幻惑はすぐさま千鳥気味の脚で駆け出した。
メロンソーダを買いに走っている間に、ローザを呼んで家宅捜索。
証拠をすべて隠滅し、ついでに、CGで合成された、浣腸ファックによがり狂う自分の映像を消去。
すっかり綺麗にしてしまい、やはり気になってリカバリまでかけてしまう。
仕事用じゃないから大丈夫だと思う事にして、脱出。
帰ってきた幻惑は2Lのメロンソーダをぶちまけて泣き叫んだという。
「イワン君のゲ●浣腸映像が・・・・・!」
●ロと言っても、牛乳を腹いっぱい飲ませた挙句に強制イマラ、バケツに吐いた牛乳を浣腸という至ってシンプルな話だ。
幻惑にしてみればかなりソフトであり、しかしイワンが泣き叫んで浣腸され段々恍惚と浸り始めるのはお宝だった。
だからと言ってまともかと言えば断じてそうでない異常な行為であり、実際イワンにやったら発狂する可能性すらある。
何が良いのか常人に分からないが、マニアにとっては堪らない映像だ。
既に余りの悲しみにさっきの可愛いイマラチオの事など忘却、呼び覚ます欠片も残っていないので、イワンの作戦は成功したといえよう。
「絶対次のボーナスでスッポンの血浣腸映像合成してやる・・・・・!」
された本人は全く元気にならず、見ている幻惑だけが元気になる映像の計画を立て、彼はソファに倒れ込んだ。
「空気浣腸も良いなぁ・・・・・」
***後書***
幻惑おじさん、大人としてギリギリかもしれない(人間的にはアウト!)