【 御主人様のお気に召すまま-150 】



「た、助けてっ」

サロンに飛び込んできたイワンは半泣きだ。

ソファの後ろに隠れてびくびくしている姿はまるで小動物。

それに遅れて5秒後に飛び込んできたのは、セルバンテス。


「イワン君、お願いだ!」


叫びは悲痛だが、手には。

水筒とカテーテル。

何をしたがっているのか一発で露見してしまう。

幻惑は一瞬の躊躇もなく叫んだ。


「イワン君のおしっこ採取させて!!」


ぴるぴる震えながら嫌と首を振るイワンの手を握る幻惑。

顔は素敵なのに頭は最高に可哀想な男だ。


「口に含んで100回は噛むから」

「い、いやです・・・・・」

「飲み込む時はちゃんとうがいして、鼻で呼吸してから、味わって飲むから」

「いや・・・・・」

「飲む前はちゃんと拝んで、匂いを嗅ぐし!」


最早首を振るしか出来ないイワン。

声も出ないほど怖いらしい。

まあ、普通の精神の彼からすれば小水とはいえ飲み込まれるなんて嫌だろう。

おまけに完全にスカ将軍の礼儀作法に則られては益々嫌さに拍車がかかる。


「ゆ、許してください・・・・・」

「駄目だよ、これが無いと私は興奮しないんだ」


知るか。

何故貴様の興奮のためにワシの恋人の小水をやらねばならん。

そう思ったアルベルト、盟友に聞いてみた。


「貴様は一体何がしたいのだ」

「え・・・・・?」


目を瞬かせた男に、しまったと思ったもの多数。

しかし、アルベルトは暇を持て余していたので別段妄想を聞くのは構わなかった。

嬉々としてソファに座る盟友を見やる。

セルバンテスが、口を開いた。





「せるばんてすさま・・・・?」

腕を拘束され、ベッドに転がされる。

恋人同士の二人は肉体関係も持っているが、セルバンテスは今日少しおかしかった。

何だか鬼気迫っているというか、酷く興奮しているというか。

ちょっと怖くて唾を呑むと、服を引き裂かれた。

すっかり丸裸に剥き、セルバンテスが香油を取る。


「我慢してね。途中からは我慢しなくていいから」


意味の分からない言葉とともに、節くれた指が後孔を犯す。

ずきんと痛みが走ったのは最初の数秒だった。

ぐにぐにと中を弄られ、足がシーツを滑る。

もじりと足先を丸めると、セルバンテスが足をグイと開かせる。


「あっ・・・・・」

「ふふ、可愛い」


立ちかけの雄を見つめながら、中を刺激する。

蜜の滲むそこを見つめ、セルバンテスはやおら顔を近づけた。


「ああ、いい匂いがするね・・・・」

「っ・・・・・!」


恥ずかしさに涙ぐむと、セルバンテスは益々鼻を鳴らして匂いを嗅いでくる。

嫌がっても、許して貰えなかった。

中をぐりぐりされて高まる欲求。

掠れた声が懇願する。


「待って・・・・・おしっこでる・・・・っ」

「ああ、いいんだよ、我慢しなくて」

「ああ、あ、やめて・・・・っ」


膀胱の裏をぐりぐり押されて、掠れた悲鳴を上げる。

小水を漏らす寸前の葛藤。

出したい、出る、でも顔にかかってしまう。

我慢する可愛い恋人の雄側面に口づけ、頬ずりする。


「はい、いいよ」

「え・・・・・あ、あぅああ、あっ」


ぐぐっと押され、小水を漏らしてしまった。

恋人の顔に、頬や鼻梁に、かけてしまっている。

泣きじゃくって嫌がるイワンに微笑み、執拗に中を刺激する。

止められずに全部漏らし、彼は茫然としながら小さく「ごめんなさい」と繰り返していた。

ワイシャツにもシーツにも染み込み、肌を伝う小水。

唇の端に付いた滴をペロッと舐めとり、目を細める。


「うん、美味しいね」


喉は潤ったから、次はお腹を満たさないと。


「ねぇ?」

「いや・・・・ゆるして・・・・・」


泣きながら顔を背ける恋人の目の前でヨーグルトを開封し、掻き混ぜて緩めた後に浣腸器で吸い上げる。

今まで弄っていた後孔に先を差し入れて注入すれば、直ぐに可愛い音がし始める。


「うん、うく、んっ」

「お腹痛い?」

「う、っ・・・・・・」


頷くイワンに微笑み、セルバンテスは首を傾げた。


「いいんだよ、漏らして」


全部全部、飲み込んであげる。

君がお通じが良くて内容物が出ないことを、私は咎め立てはしないから。

沢山ヨーグルトを噴いて、私をお腹いっぱいにしておくれよ。


「私がお腹いっぱいになるには、結構な量がいるんだ」

「あ、あ、ああ、あ・・・・」


何度も繰り返される浣腸。

苦しさに白い肌を汗が伝う。

排出は一度もなく、腹はまるで孕んだように膨れ上がっていた。

最早性交というより拷問じみた行為を強要しながら、セルバンテスはイワンの脚を押し開いて後孔に唇をつけた。


「あ、あっ、やめて、いやっ!!」

「は・・・・・」


ぢゅる、と吸い付かれ、強制的に吸いだされる。

泣きながら嫌といっても、セルバンテスはやめるそぶりすら見せなかった。

その上酷く興奮し、取り出した男根を扱きながら『食事』を摂っている。


「ああ、凄く美味しいよ・・・・」

「いや、いやぁ、だれかっ・・・・・」


助けを求める恋人に惨い行為を強制し、舌でほじくり返しながらヨーグルトをすする。

途中で指を差し入れて中を探ると、異様な刺激にまた膀胱が膨らんでいた。

雄を咥えてぐいぐい押すと、掠れた声で精一杯の悲鳴を上げ、イワンが身を捩る。

それを抑え込んで吸い上げると、口の中を温かな塩水が満たしていく。


「ひっ、あ、あっ」

「ん・・・・・いっぱい出たね・・・・」


満足げにする男は口元も拭わず、口端から滴を零して笑っている。

絶対に普通ではないと、思った。

執拗にヨーグルトを吸いだされ、小水を絞られ、もうわけが分からない。

部屋には小水どころでは効かない濃さの精液の匂いが充満し、イワンは力なく首を振った。


「助けて・・・・・」





「・・・・・っていう様な感じかな?」

「・・・・・よく分かった」

絶対イワンにさせんからな、やったら殺す。

そう言いきられ、セルバンテスは目をまん丸にした。


「何で?!」

「あやつがそんな変態行為に耐えうる精神をしていると思っているのか?」


至極ごもっともな意見を貰い、セルバンテスは項垂れた。


「そっかぁ・・・・・・」

「当たり前だ」


馬鹿者、と鼻を鳴らし、アルベルトは椅子の裏のイワンを抱き上げた。

怯える恋人の顎を掴み、一言。


「万一に備えて鍛えておいてやるか」

「っ・・・・・っ・・・・!」


声も出せずに首を振るイワン。

アルベルトは意気揚々とサロンから消えた。

セルバンテスが溜息をつく。


「大スカやりたいけど、絶対怒られるよねぇ・・・・・」


当たり前というか、永遠に実現できない夢を持った夢見がちな38歳。

サロンからは一言の同意も得られなかった。





***後書***

バンテスおいたんが小水も滴る良い男になってしまった。