【 御主人様のお気に召すまま-022 】
イワンは主の膝に抱かれていた。
別に情事の後ではない。
座らされたのだ。
アルベルトはミモザのグラスを傾けながら、イワンの腰を抱いていた。
アルベルトの手にはイワンの肌の震えと心臓の速い脈が伝わっている。
「どうした」
「い、いえ・・・・・・・何も」
俯いた顔は真っ赤だ。
アルベルトはイワンの腰を引き付けた。
「!」
イワンの顔が益々赤くなる。
彼の柔らかな臀部には、主の固くなったものがスラックスを隔てて当たっていた。
僅かに身じろいでもごりっと当たるのにドキドキしてしまう。
アルベルトも気付いていないわけではない。
と言うかそんなはずが無い。
わざと押し当てているのだ。
痴漢行為もいいところである。
「あの・・・・・・重いですから降り・・・・・・・」
「ならん」
あっさりとダメ出しを食らって、イワンはほとほと困ってしまった。
一体どうすれば主の気に召すのだろう。
鼓動を早めながら俯いていると、耳を撫でられる。
思わず身体が跳ね、臀部に強く雄が当たった。
「も、申し訳ありませんっ!」
痛みを与えたのではないかと焦る。
だがアルベルトは余裕の表情で笑むと、イワンの喉をつうとなぞった。
「くわえろ」
イワンが擦れた声で返事をし、膝から降りる。
伸ばされた手を掴み、命じる。
「手は使うな」
イワンはきょとんと主を見上げた。
だが少し考えて頬を染める。
「失礼します・・・・・・」
手はアルベルトの膝に添えて、ベルトの端を噛む。
四苦八苦しながらも器用に外し、釦も難なくクリア。
だがジッパーの小さな金具をくわえるに当たり、問題が発生した。
スラックスの中で窮屈そうにしている雄が邪魔で中々くわえられない。
もぞもぞと頭を動かし舌をのばしていると、アルベルトが笑った。
「煽っているのか?」
「っ・・・・・あ、いえ・・・・っそういうつもりでは・・・・・・・・・」
イワンの顔が赤らむ。
顎による直接的刺激と、ピンク色の舌をちらちらさせる視覚からの刺激に、アルベルトの雄は益々興奮していた。
それでもどうにかこうにか金具に噛み付き、引き下げる。
中身を挟んだりしないように、ゆっくりと。
焦れったいジッパーの音が終わると、下着も噛んで下ろした。
完全には立ち上がっていないそれを鼻先で押し上げ、根元から舐め始める。
「ん・・・・・・ふ・・・・・・・・・・」
ぴちゃぴちゃと音を立てて舐める姿は何度見ても楽しいものだ。
包皮小帯のかりの途切れ目を吸うのは癖だろうか。
中々心地好いが、もしかしたらそれは無意識の願望なのかもしれない。
イワンが一度唇を離して、唾を飲む。
意を決したように先端を含み、器用な舌で舐め回す。
「ん・・・・・・・ん、ふゅ」
実際アルベルトの男根はかなり大きい。
幹は片手では覆えない太さだし、長さもかなりある。
かといって柔らかいとかいう欠点とか可愛げなんてものもなく、唯々凶悪に・・・・・ミもフタもなく言えば太くて長くてガチガチなのだ。
全く元気なおっさんである。
これで持久力も抜群というのだから始末におえない。
年齢詐称だと思う。
必死にアルベルトの雄を慰めるイワンが他の男の膨張したものを見たことが無いのが残念だ。
「ぁっ」
十分に育ったところで、アルベルトは膝に置かれていた従者の手を取り今度は向かい合わせで膝に上げた。
顎を取って口づける。
舌を絡ませると、小さく呻いた。
「ふぁ・・・・ん・・・・・・・・・」
甘い声は確実に官能を含んでいる。
胸に手を這わせると、イワンはそれを押し留めた。
「あの・・・・・・もう、準備を・・・・・・・・・・」
主の怒張したものを腿に感じて、イワンは申し出た。
断っておくが彼は痛いのが好きとか被虐嗜好があるとかいうわけではない。
主のものを受け入れるだけでも快楽はかなりのものだし、正直主の望む回数こなすには余り身体を弄られると持たないのだ。
それより何より、アルベルトが満足できるまで身体を使ってもらえると思うと嬉しくて仕方がない。
だからイワンはそれで構わないのだ。
「・・・・・・・・・よかろう」
自分で受け入れる準備をしようとする手を取って、自分の胸に縋らせる。
イワンはすぐにおとなしくなった。
飲んでいたミモザに指を浸して濡らし、イワンの後孔に滑らせる。
ひくりと動いたそこに中指を潜らせると、イワンの口から震える吐息が零れた。
「ぁ・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・」
人差し指で中指を含んだ後孔の周りを押してやると、一度きつく締まって少し緩む。
中指を抜き差ししながら繰り返していくと、そこは甘くとろけた。
一度中指を一緒に差し込んで慣らし、最後に指三本で軽く抜き差ししてから引き抜く。
しがみついていたイワンが身体を起こすのを支えてゆっくりと押し入る。
「ぁあ、っ・・・・・・・・」
ギュプ、とかりが入ると、後は一気火勢だ。
イワンの唇を貪りながら突き上げる。
「ん、ふっ、はぁっ・・・・・・・・!」
ジュプッと濡れた音を立てて激しく出入りする雄に、イワンの身体が痙攣しながら極まる。
途端きた強い締め付けに、もう二三度揺さ振って奥に出し切った。
ひくつく肉管のなかに入ったまま、イワンを観察する。
潤んだ瞳。
僅かに痙攣を起こしている瞼。
濡れた唇。
汗ばんだ肌。
ぞくりとする色香に、また欲望が頭をもたげ始める。
わななく肉管はそれを敏感に感じ取り、イワンの意志とは関係なく甘く男を締め付けた。
緩い注挿を繰り返すと、イワンが息を弾ませる。
「ぁ、あ・・・・・・っ」
達した直後の身体は過敏だ。
深いところをぐり、と抉ると、イワンが己の雄を押さえた。
達しそうなのを堪える姿に、口の端が上がる。
「そのまま堪えていろ」
「はぃ・・・・・ぅんっ!」
ずる、と引き出されて、イワンは息を詰めた。
アルベルトが傍らのグラスの傍のコルク栓を取る。
「っん・・・・・・!」
開かせていた後孔から自分の証が一滴たりとも零れぬように栓をして、アルベルトが雄同士の先端を合わせる。
アルベルトは既に臨戦態勢の己のものを二三度扱くと、一気にイワンの中に流し込んだ。
「ひっ、あ、ぃっ・・・・・・!」
引きそうになるイワンの腰を掴んで、注ぎ入れる。
許容量を越えた分が溢れて幹を伝った。
「ぁ、あ・・・・・・」
雄を離す前に、イワンのものを先端から根本に扱き下ろして全て飲み込ませる。
ぱんぱんに膨れた袋を軽く擽ると、イワンが小さな悲鳴を上げた。
イワンの根本を締めたまま、もう一度自身を扱いて立たせると、コルクを抜き取り突き入れる。
流石に我慢強いイワンも泣き声を上げた。
「ああ、っ、あ!」
泣くと中が良い具合に締まる。
既に放ったもので滑りは良く、締まりも一度目に比べ甘くなってはいない。
イワンの腰を掴んで何度も打ち付け、身体を毒すような快楽を貪った。
「ぁ、あ、アルベルトさ、ま・・・・・・・!」
引き絞られる肉管にたっぷりと種付けし、アルベルトはやっと、イワンの戒めを解いた。
「あ、だ、め、ですっ・・・・・・」
勢い良く放たれる白濁は、自分と従者のものが交じって半端ない量だ。
ガクガクと身体を震わせて後ろへ倒れそうになるのを引き寄せ、胸に寄り掛からせる。
「やめてほしいか?」
耳元で尋ねれば、震える答えが返ってくる。
「どう、ぞ・・・・お気の、済む、まで・・・・・」
***後書***
合い言葉は「どうぞお気の済むまで」!
このシリーズで何回使ったっけ?三回?四回か?
さぁ皆で数えてみよう!(誰もやらないから)