【 御主人様のお気に召すまま-024 】



「そのような格好で眠られてはお風邪を召されますよ?」

柔らかく微笑んで、イワンはサロンに何枚かある毛布をソファでごろつくレッドに掛けた。

皆きょとんとしている。

本人であるレッドなど僅かに口が開いていた。


「・・・・貴様、何を以て私が眠いと判断した」


問い掛けに、今度はイワンがきょとんとする。


「あの・・・・・・眠たげなお顔をされていましたから・・・・・・・」


忍の表情など伺うのは余程の手練れか馬鹿者だ。

だがイワンは感覚だけでそれを自然に判別してしまった。

レッドが満足気に笑う。


「ふん。矢張り貴様は面白い」


手甲付きの手が、イワンの襟元を掴んで引き寄せる。

抵抗する間もなく引っ張られ・・・・・・・・。


ちゅう


・・・・・忘れないで頂きたい。

ここは十傑揃ったサロンだ。

当然イワンの主もいる。

全員が衝撃派に身構えた・・・・のだが。


「・・・・・・・来い」


アルベルトはレッドに制裁は与えず、イワンの腕を掴んで連れて行ってしまった。

セルバンテスが閉まったドアを見やりながら笑う。


「イワン君が自分以外の人間の微細な変化に気付くのが嫌、なんだよね」


そうだろう、アルベルト?





何が何だか分からないイワンを、寝室に連れ込む。

左膝の所で腰を折らせ、右膝に縋らせる。

イワンがアルベルトを見上げようとした瞬間、風を切る音がした。


「!」


ばちん!臀部が熱く痺れて、漸く叩かれたのだと理解した。

突然の事にどうする事も出来ないでいる間に手は次々と振り下ろされ、感覚が無くなる程になる。

尻叩きなどという刑罰を受ける年でもないし、元々余り怒られるような事の無かったイワンはどうしていいか分からずにじっとしていた。

とはいえ、十傑衆が一人、衝撃のアルベルトの尻叩きはかなり痛い。

時折イワンの口からは押し殺した悲鳴が上がり、手は無意識にアルベルトのスラックスを握り締めている。


「ひっ、ぅ」


びりびりと痺れる臀部に涙を堪えるが、アルベルトはイワンをベッドに沈めてベルトのバックルに手を掛けた。

手早くスラックスを脱がせて引っ繰り返す。


「ぁっ・・・・・・!」


真っ赤になって腫れている尻に手を這わせて撫で回すと、尻たぶがびくりと引きつる。

アルベルトはニィと口端を歪めて笑い、手を振り上げた。


「ぃあ!」


バチン、とより鋭い音がして、何倍もの痛みが襲ってくる。

何度も叩かれて、イワンはとうとう啜り泣き始めた。

しゃくりあげてわななく唇に、アルベルトが指を這わせる。

イワンは涙を零しながらそれに舌を這わせた。

叩くたびに僅かに歯が食い込む。


「ん、んく、ん」


唾液がたっぷりと絡み付いた指を引き出し、腫れ上がった尻を割り開く。

ひくつく後孔をぬるりと辿ると、きゅぅっと締まってしまう。

そこに中指をねじ込むと、イワンの内腿が小さく痙攣した。

長く太い指でぐるりと掻き混ぜる。

女性のように濡れはしないがぬめりが無いわけではない肉管。

指が鬱血しそうな締め付けと、暖かにうねり絡む動き。

入り口を揉み解しながら、人差し指を差し込む。


「っ、あ、っ」


犯す指に泣きながら身体をびくつかせる従者に満足気に笑い、アルベルトは自身のバックルを外した。

背後から乗り上げて、押し当てる。


「ぁ、っあ!」


ズズッと肉が擦れて入り込む。

奥まで差し入れて、アルベルトは腫れ上がる尻たぶの一部を軽く摘んだ。

そして・・・・・・・。


ぎりっ


「いっ・・・・・・!」


腫れている所をつねりあげられて、イワンは思わず悲鳴を上げた。

だがアルベルトはやめてくれない。

場所を変えてはぎりぎりとつねる。

そのたびに後孔はアルベルトを激しく締め付けたが、痛みに萎える様子はない。

それどころか益々興奮を顕にして熱く脈打ち硬くなる。


「ぅあ、は・・・・・・っ」


つねり上げられる痛みと、引き絞った肉管を無理矢理押し拡げている剛直による苦痛に、イワンは喉を引きつらせた。

はっはっと犬のように呼吸は忙しなく、苦しさから逃れようと身体が上へずり上がる。

だがそれを見逃してはもらえず、引き戻された反動でより結合が深まる。


「っ、ふ、は」


指がシーツを掻き集める。

ありありと主の形を感じて、身体が熱く疼いた。

それを悟られまいと息を殺して力を抜こうと努めていると、アルベルトが耳元に唇を寄せる。


「男に犯されるのが余程悦いらしいな」


薄い唇が耳の縁を挟む。

イワンは泣きそうな声で否定した。


「こんな、浅ましい姿は・・・・・・こんなに掻き乱れてしまうのは・・・・・・」


貴方様だからなのです・・・・・・・。

切なげな甘美すぎる吐露に、アルベルトはふっと笑った。


「言うようになったな」


べろりと項を舐め上げると、イワンが小さく息を詰める。

華奢な腰を掴んでぐいっと突き上げると、耳に甘い悲鳴が上がる。


「ひっ、う、ぁ、んっ」


グチュリと卑猥な音を立てて出入りする雄と、それに絡み付いて締め付ける肉管。

挿れる時には拒むように抵抗するくせに、奥で細かく抜き差ししてやるととろけるように絡み付いて締め付けてくる。

そして引き抜く時には嫌がるように追い縋ってくる。

滅多にお目にかかれないような極上の、淫らで淫猥な身体。

その癖精神構造は酷くストイックで、極め付けの恥ずかしがりだ。

こんなちぐはぐな生き物は他にいないように思う。

だが、どうにも愛しいのだ。

いつもより激しい「罰」である肉槍の突き上げに、悲鳴を上げて泣いているイワンの耳に舌を入れる。


「貴様の主は誰だ」


低くかすれた声に身体をびくつかせ、揺さ振られながら答える。


「あっ、あ、アルベルト様っ、です」

「それを忘れるな」

「はっ、ぃ、っあぁ!」


ゴリュッと奥を抉られ、イワンは白濁を噴き上げた。


「ひぃ、ん・・・・・」


奥深くに注ぎ込まれる精液に身体が痙攣する。

その様子を眺めて、アルベルトは満足気に笑った。





「イワン君、どうしたの?」

飛空挺で盟友と任務に向かっていたセルバンテスは、コクピットを覗いて首を傾げた。

それもその筈、イワンが立ったまま操縦桿を握っているからだ。


「あの・・・・・なんと言うか・・・・・・・」

「切れちゃった?」


何でもないように言われて、イワンは顔を真っ赤にして否定した。

肯定して逃げた方が良かった気もするが。

言いにくそうにしているイワンの口元に耳を寄せたセルバンテスは、語られた内容に笑いを堪えた。

成る程、尻とはいえアルベルトに叩かれれば座れないくらいに腫れるだろう。

中々意地の悪い罰だ。

・・・・・・・まぁ、悪い事をしたわけではないから「罰」というより「躾」に近いが。


「それは痛いに違いない!さすってあげるからお尻を出したまえ!」


満面の笑みで言うセルバンテスは明らかに下心アリだ。

イワンが気付くにしろ気付かないにしろ、どうやらまた近いうちに「お仕置き」されそうである。





***後書***

尻叩き<尻たぶつねり

アル様の尻叩きはきっととんでもなく痛い。