【 御主人様のお気に召すまま-069 】



アルベルトは今夜も飽きずにイワンをどう凌辱するか考えていた。

卑猥なのが良いか、羞恥系がいいか。

異常癖系でもいい。

アレをアレしたら泣き叫んで暴れるだろう。

いや、ああしてそうしたら痙攣発作を起こすかもしれない。

考えれば考える程に楽しい脳内凌辱。

しかし、たまには普通っぽいものも良いかと思わないでもない。

と、いうことで。


「さっさとせんか」

「あの、本当に・・・・?」

「くどいぞ」


仰向けに転がって、イワンに腰の方を向かせて顔を跨がせる。

要はシックスナインだ。

主の眼前に差し出すなんて出来なくて、イワンは涙ぐんで必死に許しを請うた。

が、アルベルトは聞いてくれない。

背徳に怯えながら、雄を抑えて股越す。


「何をしている」

「え・・・・」

「手を離せ」


手を剥がそうとしてくるのに無意識に力を込めて抗ってしまう。

すると、早くも機嫌を損ねてしまった。

力任せに引き剥がし、荒っぽく扱かれる。

痛みと快楽が混じって腰を引くが、心得た手に直ぐに立たされてしまった。


「ワシの口内に差し入れろ」

「なっ・・・・」


愕然と主の顔を見ると、はっと鼻を鳴らされた。


「鼻や目に当てたら仕置きだ」


それは主の顔を見ながら、その口にものを差し入れろと言う事に他ならない。

そんな事が出来ようか。

恐れ多いし、絶対駄目だし、そんな事をするくらいなら首をくくる。

逃げ出そうとするが、直ぐに察知されて両腿裏を掴まれた。


「やらねばこのままだ」

「・・・・・・・・・」

「勿論人が来るまでな」

「!」


イワンはツンとする鼻を啜った。

自分の醜態を笑われようが構わないが、もし来たのがサニーだったりしたら。

その方がもっと怖い。

イワンは下を覗き込み、きゅっと唾を呑んだ。

おずおずと腰を下に下ろす。

口髭に触れてびくっと腰を引きかけたが、涙を堪えて唇に近付ける。

主の唇に、押し当てている。

その背徳感は絶大で、立つどころか萎える勢いだ。

アルベルトは内心溜息をつき、先をちゅるりと含んだ。


「ひっ」


引きそうな腰を掴み、吸い込んでやる。


「あぁ、あぁっ」

「・・・・・・・・・」

「ひぃんんっ!」


雄を舌で叩いてやると、激しく喘ぐ。

先を包んで小さな孔をぐりぐりやってやると、甘い蜜が滴り始めた。

そこで、一度口から出して命じる。


「腰を揺らせ。夢中になって余り奥まで入れると噛むからな」

「そんな事、出来ませ・・・・」

「やれ」


また先を含んで、軽く吸う。

腰を引くから、尻を叩いてやった。

結構な破裂音だったから痛かろうに、口の中にひと固まり蜜が零れた。


「うぅ、ふ・・・・」


快楽に耐えきれず、と言うより、先の脅しが効いているらしい。

泣きながら歯を食い縛って腰を揺らめかせ始める。

掻きまわす動きは控えめだが、結構息苦しい。

これより激しいイマラチオに耐えるイワンの凄さを垣間見た。


「・・・・もう、お許し下さい・・・・」


ぽたぽた涙を零し、イワンは腰を引いた。

立ってはいるが、いけそうではない雄。

精神面が高まらないらしい。

仕方なく、命令変更。


「咥えろ。ワシをいかせるまではさっきと同じように・・・・っ!」


はいとも言わずにむしゃぶりついてきたイワンの必死さもさることながら、技術が凄すぎる。

喉の奥に入れ、喉を開いたまま飲み込む仕草をする。

すると咽頭の奥に亀頭が滑り込み、喉で締められて息が詰まる。

いつの間にディープスロートを体得したのか。


「ん、んん、んん」

「っは・・・・っ」


アルベルトの負けず嫌いに火がつく。

イワンの雄を咥え、口内で揉み込んだ。

唾液を溜めた口内を滑らせて、言うのも憚られる様な卑猥な音を立ててやる。

男は音による興奮をないがしろに出来ないものだ。

イワンの雄も確かに蜜を垂らすが、そうなるとイワンの強迫観念は益々追い詰められ、口淫に益々必死になる。

喉の奥に引き込んで吸いながら柔く締めて、袋を揉み含みきれぬ根元を扱く。

幹を這う舌は唾液まみれでぬるぬる、その感触が先走りと唾液で汚れた口の周りを妄想させる。


「うぐ、ぐぅ、うぐ・・・・」

「・・・・っ」


汗と唾液まみれになりながら、苦しさに霞がかかった意識で、イワンは必死に奉仕していた。

早くしないと、いかせないと、怖い事が起こる。


「んんぐ、んぐ、んぐっ」

「っ、イワン、待て」

「んん、ん」


聞くに堪えない卑猥な音を立てて啜られる唾液と先走り。

良く考えたら音に興奮してしまう男は自分もそうな訳で。

アルベルトは奥歯をギリギリ噛んだが、持たなかった。

勢いよく発射される精液を喉に流し込まれたイワンは堪らず口から出して激しく咳き込んだ。

そして主の身体をよけて横倒しに倒れ込み、泣き出してしまった。

その心底から泣いている様子に、流石のアルベルトも身を起こす。

必死で鼻を啜って、眉を寄せて、ぼろぼろ泣いているイワン。

その顔は噎せて散った精液で派手に汚され、口元は唾液や先走りで想像以上にドロドロ。

白濁と先走りを乗せててらりと光る薄桃の唇が、開く。


「良かっ・・・・よか、た・・・・」


主の口を汚さなかった事や怖い事にならないで、安心しきって泣いているのだ。

流石に可哀想な事をしたかもしれない。

アルベルトはイワンの顔を拭ってやり、抱きしめて寝転がった。


「アルベルト様・・・?」

「今日はもう良い」


流石にこんなに追い詰められた瞳のイワンを抱くほど鬼畜ではない。

と言うかそう思ってしまう程怯えた瞳をイワンがしているわけで。

無理にしたら、途中で突然笑いだしたりしそうで怖い。

そのくらい・・・・兎角、今日は。


「休んでおけ」





「イワン君そんな技術を習得していたとはねぇ」

あれその手の女の子でも特技って言える希少な技術だよ?

セルバンテスはとても嬉しそうにつづけた。


「でも、奥まで飲み込んで苦しそうなのはきっと可愛いよね」

「ああ・・・・」

「奥で出したら噎せるだろうから引き気味が良いかなぁ」

「ああ・・・・」


反応の薄い盟友を見れば、グラスを洗っているイワンを・・・・いや、正確にはイワンの口元を見詰めている。


「キスしたいとか思ってるんでしょ」

「いや・・・・」


あの口で自分自身を言葉責めさせるのも良いかもしれん。

アルベルトの言葉に、セルバンテスは溜息をついた。


「君ね、それ状況が変だよ。それならいっそ」


イワン君に叱って貰った方が良くない?

叱られながらだんだんにじり寄ってさ「ちゃんと聞いているんですか?!」って怒ってるその口に・・・・。


「・・・・それもいいな」

「でっしょー!」


こんな怖い犯罪計画が進んでいる事を、イワンは知らない。





***後書***

シリーズ通し番号と合わせてみた。