【 御主人様のお気に召すまま-075 】



大晦日に悪夢の中に突き落とされたイワンは、新年明けてサロンでぐだぐだになっている十傑に毛布を掛けて回っていた。

あの悪夢の後少し休んで、その後は酒盛りの世話。

捕まっては飲まされ、耳に入るのは自分の醜態についての意見交換。

サニーが早々に余りのアルコール臭で潰れて眠ってしまったのが救いだ。

こんなエグイ男同士の性交の話聞いて欲しくない。

十時を回った辺りで蕎麦を茹で始めた。

主に仕え始めた当初からの恒例行事だ。

元リーダーのカワラザキが好むので、リーダー時代から一緒の者は習慣になっているし、後に入った者も同じだ。

年越し蕎麦を配って、縁起だからと食べさせられ。

屍累々だが一応おとなしくなった大きな子供。

起きているのは主だけだ。

手が掛るしいつも困らされるが、皆大切だ。

何処か欠損した精神構造の11人。

十傑も孔明も、何かが欠けている。

それゆえ特化している。

自分に構う事でそれが埋まるのかは分からないが、慈しみたい。

精一杯、自分の出来る限り。

毛布を掛けられて眠り込む10人を見詰めて無意識に微笑んでいる従者に、アルベルトは溜息を吐いた。

そう言うところが付け込まれるのだ。

だが、そういう自分もそうな訳で。

グラスのスコッチを煽る。

イワンはそれを見ながら不思議に思っていた。

いつもより格段に控えた酒量。

具合が悪いのかと見つめると、目が合った。

名を呼ばれ、膝に抱き上げられる。


「少し寝ろ」

「え・・・・あ、しかしまだ」

「眠れ」


いつもより柔いが、有無を言わせぬ口調。

それに、膝に置かれて胸に抱かれ、とても心地が良い。

疲れていたのも手伝い、駄目だと思いながら瞼が落ちていく。


「ん・・・・・・・・」


する、と胸元を滑って落ちる手を受け止める。

手を握ったまま、アルベルトはイワンの寝顔を見詰めていた。

何分経ったのだろうか。

見入っていたらしい。

突然視界に入った手にぎょっとする。

見れば、柔く笑うカワラザキ。

その瞳の中に暗い狂愛は見えない。

目が合った。


「まぁ、多少は落ち着いておるよ」


良い思いをして、勢いづいて求めるのは浅慮じゃからな。

悪戯っぽく笑うのに溜息を吐き、アルベルトは小さく「何だ」と問うた。


「少し貸してみんか。なに、手は出さん」


言うなれば、お年玉と言う奴かのぉ。

大晦日の礼じゃ。

笑う男に、少し迷ってイワンを委ねた。

抱き上げられて連れて行かれるのを見ていると、少しだけ振り返る。


「20分後に部屋に戻ってみると良い」





きっかり20分後自室に戻ったアルベルトは、ベッドの上に赤いものを発見した。

着物・・・・いや、赤襦袢か。

前で大きな蝶結びをされた兵児帯は到底襦袢用ではないが、中々愛らしい。

従者が小さく呻いて寝返りを打った。

赤い襦袢が捲れて、白い脚が晒される。

もぞ、と動いて微笑むのが可愛い。


「んん・・・・・ん」


仰向けになって片膝を軽く立てたため、随分と艶っぽい。

そっと脚を辿ると、薄く眼が開いた。


「アルベルト様・・・・?」


寝起きで少し掠れた声。

頬を指先で擽ると、淡く微笑んだ。

だが、繰り返すうちに少しずつ眉根が寄る。

苦しげな吐息は、甘い。

何か盛ったのか・・・・。

新年一発目、優しくすべきか。

葛藤は一瞬だった。

一度ベッドを離れ、溜めこんでいる玩具を持ってくる。

主の手に持つ物に頬を染めているイワンの手に、それを持たせた。

それはそれは意地の悪い笑みを浮かべ、耳元で自慰を命じる。

泣きそうになりながら、イワンは従うほかは無い。

主に逆らえないのは勿論だが、カワラザキが使った薬はその辺のものとは違う。

高純度で、悪影響が無い、それ故強烈。

激しい衝動は無い。

だが、疼くもどかしさは尋常でない。

ベッドの上に座らされ、壁に背をつけさせられる。

脚を閉じたのを咎められはしなかったが、視線は突き刺さる。

恥ずかしさに身を焼きながら、あひる座りで自慰を始める。

理性が崩れているのさえ自覚できない。

なのに意識ははっきりしている。


「ぁ・・・・・」

「触れもせんのに動いているぞ」

「あ・・・・言わないでくださ・・・・・」

「鈴口が赤くなってきたな」


恥ずかしい言葉を言われる度に、触ってもいない胸の尖りが痛いくらい硬く立つ。

雄は言うまでも無くみるみる立ち始め、その身体変化に興奮を禁じ得ず、手を動かす。

幹を擦ると、先がじんじん痺れる。

先も弄りたいが、そうしたら主の視線から隠れてしまう。

怒られるかもしれない、それにもっと見て恥ずかしい思いをさせて欲しい。

淫らな願望に取りつかれ、、イワンは焦らすように自身を弄った。

根元をしっかり締めて、リズム良く扱く。


「あぁ、あ、んはぁっ」

「袋が張ってきたな・・・・自分で根元を締めて扱く変態的な自慰も中々良い」

「あ、あ、そん、な」

「先走りが糸を引いて落ちたぞ」


辱めの言葉に酷く感じて、イワンは思わず足を開いた。

割れていた襦袢がしどけなく引っかかっただけになり、尖った胸の飾りやヒクつくピンクの窄まりが晒された。


「胸は弄らんのか」

「指でしたら、痛い・・・・」

「ならば後孔はどうだ?物欲しげにひくひくしているぞ」

「ぁ・・・・・」

「そんなに窄めてどうする。皺があからさまに増えていやらしい事この上ない」


恥ずかしさにきゅぅっと小さくなった窄まりは、不規則にひくひくしていた。

いきり立って涎を垂らす雄から手を離し、イワンは一瞬迷って置かれたローションを取った。

雄の上からどろっと垂らし、伝う感覚に射精を堪えつつ、滴るそれを使って指を差し入れた。

痛みと圧迫感に手が止まると、主が意地悪く目を細める。


「皺の数が減ったな」

「ぁぁ・・・・っ」

「指が締め上げられて表面が沈んでいるぞ」


口内に溜まる涎をこくんと飲み込み、イワンは奥に指を差し入れた。


「ふぁ・・・・・っ」

「いやらしい孔だ」

「あ、はぁ・・・・あ」


引き出す時に背筋を怖気が駆け上がる。

完全に引き抜くと入れるのが痛いから、少し含んだ状態でまた差し入れる。

主にされるように激しくされるのも気持ちが良いが、焦らす愛撫は自分で加減できて気持ちが良い。

喘ぎ喘ぎ指で自分を犯していたが、奥に届かないそれに焦れ始める。

すぐ目の前には、欲望を満たせる玩具がある。

恥ずかしくてたまらないし、はしたない事だと分かっているのに。

我慢できない。

軽く息を荒げて食い入るように見つめる従者に口元を笑ませ、アルベルトはもう一度自慰を命じた。

入れろとは言わなかったが、イワンは震える手でそれを取った。

両手で持って、覚悟を決める様に唾を飲み。

ゆっくりと押し当てる。

少し力を込めたが、滑ってしまう。

後孔下に手を当てて下がらないようにし、やや下目に力を掛ける。


「ん・・・・ん・・・・ぅんんっ!」

「一気に先を飲み込んだな。粘膜が引き伸ばされていい眺めだ」

「んぁ、は・・・・・」


痛みが治まってくるまで待ち、徐々に差し入れていく。

随分太く長いから怖いが、それ故快楽は未知で妄想に興奮する。


「どんどん飲み込んでいくぞ。口から出そうな勢いだな」

「はぁ・・・・ふぅ・・・・ん」


ぐぐっと奥まで差し入れると、腰が重く疼く。

圧迫感に満たされた気分になり、目を閉じて酔う。

幾ら締めても主に痛みを与えないから、感じるままに後孔を締めた。


「んぁは・・・・あ・・・・・」

「括約筋の絞りで感じているのか。とんだ変態だな」

「あぁ・・・・!」


苛められて蜜が滴る。

意地悪されるのが気持ちいい。

潤んだ目で主を見詰める。

玩具に手を掛け、主を見詰めたままゆっくり引き抜いた。

主にされている錯覚を起こしたくて、目を眇めても閉じはしない。

自分を肴に自慰に耽る従者の可愛さに喉を鳴らし、アルベルトはイワンを見詰めていた。

次第に激しくなる動き、弾む喘ぎ。

強く締めあげている為に玩具に絡んだ蕾は軽く引き上げられて膨らんでいる。

真っ赤になっているそこはローションでぬらぬら光り、激しい水音を立てていた。


「ふあ、あ、あん、あんんっ」


抑える事すら忘れた喘ぎ声を惜しげなく漏らし、イワンは白濁を噴き上げた。

びちゃびちゃと飛沫を上げる精液は糸を引き、相当興奮した事が分かる。

余韻に脱力していると、ベッドに寝かされ抜き取られた。

代わりに主のものをぐずずっと挿入され、余りの熱さに嬌声が上がる。


「んはぁぁぁっ」

「っく・・・・・・そう締めるな」


楽しげに言って、アルベルトは手にしたローターのスイッチを入れた。

そして、何の躊躇も無くそれをイワンの尖り切った胸に押し当てる。


「ひあぅっ!」

「感じるか」

「あっあっ、あぁっ、やめ、やめて、おかしくなる・・・・っ!」

「ああ、狂ってしまえ」


激しい悦楽にぎゅうぎゅう締めてくるが、一度玩具で緩めているから萎えるほど痛いわけでもない。

時折左右を入れ替えてローターで刺激しながら、少しづつ突き上げ始める。


「んんっんんっ、ぁんんっ」


涙に霞む視界に、主の紅い瞳が煌めく。

夢中で手を伸ばすと、腰を押さえていた左手が離れ、手を握られた。

そのまま動きの激しさは増し、中が強過ぎる攻めに悲鳴を上げる。

だが、慣らされきっているイワンにはそれは悦楽でしかない。

大きな手をきつく握りしめ、白濁を噴き上げる。

ほぼ同時に流し込まれた熱い精液に、身体が震えた。


「ぁ・・・・・」

「・・・・・心地良さそうだな・・・・」


息を弾ませる主の声に、イワンは陶然としながら頷いた。

笑う気配がする。


「もっと欲しいか・・・・?」


答えは返ってこなかった。

ただ、白い腕が首に絡み、引かれ。

唇を合わせられた。

甘いおねだりに薄く笑い、アルベルトはもう一度従者の身体をまさぐり始めた。


「姫初めは、明日の予定だったのだがな・・・・・」


狂った予定も、悪くない。





***後書***

福霧企画【織葉様→GR主従。姫初め+赤襦袢+玩具自慰+ガン見実況+胸玩具弄りで挿入】

最初設定全て消化できるか不安だったが・・・・自分の煩悩は除夜の鐘でちっとも浄化されなかったらしい。