【 御主人様のお気に召すまま-078 】



「ん・・・・ふ・・・」

口づけにすっかり酔いしれている可愛い恋人。

眦を赤らめて息苦しそうにしながらも、舌を絡めてやると応えようとする。

抱き寄せる力を強めて、さらに強く唇を攻める。

激しい水音に恥ずかしそうにしているが、抵抗はしない。

ちゅく、ちゅぱ、と吸いついては離れる唇はもう赤らんで濡れている。


「・・・・・これが好きか」

「ん・・・・は、い・・・・」


素直に頷く従者に口元が緩む。

顔を上げさせて鼻頭を軽く噛んでやると、ぴくんと身体を強張らせた。

可愛い反応に気を良くして、軽く吸う。

小さく声を上げるから、今度は尻を掬い上げる様にもみ、後ろから手を入れ脚の間をさすった。


「あっ・・・・そ、そん、な」

「嫌か」


意地悪く問うてやると、もじもじしながら俯いた。

嘘のつけぬ男だと思いつつ、それが可愛いと思う。


「這え」

「は、い・・・・」


素直にベッドに這ったイワンのベルトのバックルは外してある。

スラックスを脱がせて放り投げ、ワイシャツを捲ろうとして思い直し、引き裂いた。

剥き出しの肌を視線で犯しながら、サイドテーブルのヘッドフォンを取る。

自分がこれを使う事はまずないと知っている従者は、これで苛められると見当は付いている筈だ。

だが、声を流してやるほど優しくは無い。

アルベルトは白い臀部に音を拾う小さなマイクを張り付けた。

そして、ゆっくりと割り開いて舐め始める。


「あ、っ、ゃ、や、あ・・・・」


大音量で耳に入る卑猥な水音と、蕾に感じる熱く濡れた感触。

連動したそれによる羞恥は絶大で、イワンは身を震わせた。

余りに酷い羞恥責めだ。

だが、この方にされていると思うと我慢してしまう自分。

感じてしまう、自分。

愛故と言えば簡単だが、この二人は狂愛に近いほど強固に想いあっている。

舐められ、時折吸いつかれる恥ずかしさと快感に、雄が甘く立ってくる。

恥ずかしい、でも、気持ちいい。

れろり、と舌先で舐め上げられ、ビクンと尻が引き攣った。


「あっ、あっ、あ、あ」

「擦られるのと舐られるのはどちらが良いのだ」

「んん、っ・・・・あ、そ、そんな、こ、と・・・言えな、い、です・・・・」


白い尻が薄く色づき、舌先の蕾がひくひく窄まる。

恥ずかしがりの癖に時折大胆で、純情なくせに快楽に弱い。

可愛い反応に気分は上々。

大きく舌を出して、尖らせつつく。


「あっ、あぁんんっ」

「腰が揺れているぞ」

「あぁぁっ」


頬をピンクにして恥ずかしがりながら、シーツを握り締める。

手のひらに心地好い尻を揉みながら舐め、顔を上げると、シーツに染みが出来始めていた。


「尻の穴を舐められて勃起しているのか」

「あ、い、言わないでくださ・・・・・」


涙ぐみ頬を赤らめて懇願する従者を見やりながら、指をぺろりと舐め上げる。

卑猥さを意識してしゃぶり立ててたっぷり濡らし、小さな孔にゆっくり差し入れる。


「んんんっ・・・・」

「痛がる割に萎えんな」

「んは、ぁっ」


ひくひくしながら咥え込んでいる孔は、唾液に濡れそぼって鈍く光っていた。

赤くなってひくつきながら、男の指を咥えて悦んでいる。

いやらしい孔を奥まで犯し、ゆっくりと抜きとっていく。

締まりがきつくて大した音は立たないが、抜き取るときつさゆえに小さくくぽんと音がした。

いつもなら一瞬口を開けて中を見せる穴が、激しく締まる。

あの僅かな音が余程堪えたのか、硬く窄まってしまった。

尻をさすりながらもう一度指を入れていくが、かなりきつい。

指を曲げて引き出すと、空気が掻き混ぜられる音がした。


グヂュブ・・・・


激しく締まる孔。

色づく背中や腿。

顔は見えないが、きっと泣きそうか・・・もう泣いているか。

少し抜き差しのペースを上げていくと、にゅぽにゅぽと音が立った。

その度に痙攣する尻たぶを揉みつつ、もう一本指を増やす。


「んんっ・・・・!」


堪える声は甘い。

少し抜き差しして慣らし、指をずらして隙間を開けたまま引き抜いていく。


ぐ・・・ぽっ・・・・


「あぁぁっ」


恥ずかしさの余り激しく泣き出したイワンを眺めつつ、何度も音攻めを繰り返す。

ぬぶぶ、ぢゅぶ、ぐりゅっ。

無理矢理聞かされる音を振り払えず、興奮していく身体。

引き抜かれて力を抜くイワンは、一番大きな音が鳴る瞬間を考えていなかった。

熱いものが押しつけられる。


ぎゅぶぶぶぶっ


「あぁ・・・・・!!」


恥ずかしさは最高潮で、締まり方はかなり激しい。

今にもぶちまけそうなのを歯を食いしばって我慢し、アルベルトはイワンの中を掻き混ぜた。


「あっあっあっあっ」

ぢゅっぢゅっ、ぬぐぐ、ぐちゅっ。

「いや、いや、あぁあ、あ」

ぐぶぬぶっ、ググズルッ。


汗の浮いた背中はいつになく色づき、体温も高い。

恥ずかしがりをここまで追い詰める男も男だが、一応性戯として成立しているからいいだろう。

甘ったるい泣き声を上げるイワンの腰を掴んで引き寄せ、奥に注ぎ込む。

イワンは射精の余韻にシーツに沈みながらそれを聞いていた。


こぽ、こぷぷっ・・・・


体内に流れ込んでくる熱い精液の音。

回らない頭の隅で、嬉しいと感じた。

無意識に幸福そうに微笑んだイワンの顔は、ニスの艶やかなベッドヘッドに映り込んでいた。

そして、それを介してアルベルトの紅い瞳の中にも。


「・・・・可愛い事を」


ヘッドフォンを外させ、マイクを破壊して投げ捨てる。

思うさまこの身体を味わうには、少しばかり邪魔だった。





***後書***

ええ、羞恥プレイが好きです。