【 御主人様のお気に召すまま-086 】
「あぁ、あ、おゆ、る、し、を」
「許されると思っているのか?」
頬に汗伝わせて従者を責め苛む男は、酷薄に目を細めた。
「貴様が無防備なのが悪かろう!」
「ひぃぁっ!」
ぐぶっと奥まで犯され、イワンは膝立ちで拘束されたまま力なくもがいた。
感じ過ぎて苦しい。
もう中に含めなくなった精汁で腿までどろどろに穢れ、強制イマラチオで顔もべたべた。
涙を流し掠れた声で許しを請う姿の憐れな事。
愛らしさを損なわないが故、責め苦もやまないのだ。
がくがくしている膝はもう役に立ってはおらず、アルベルトにひっ立たされていた。
「あぁ、あっ」
「苦しい苦しいと泣く癖に随分と嬉しそうだな・・・・?」
立ちっぱなしの雄は、初めから根元を縛り上げられて一度もイっていない。
根元に巻かれ幹まで雁字搦めに縛りあげられ、紐が食い込んで変色しつつある。
「ぅあ、あ」
「鳴かんか」
「ひぃあぁっ!」
ズッと奥を突かれて背が反りかえる。
肉孔がびくびく男根を締めつけた。
「何だ、悦んでいるのか」
「あ、あ、も、ぅ、許して・・・・・」
「遠慮するな。好きなだけ罰に悦がって苦しめ」
「うああっ」
ぢゅっぢゅっと抜き差しされて、身体が激しく捩られた。
中が激しく絡みついてくるのに呻いて、精子を植え付ける。
もう内包しきれないそれがぐぷっと小さな音を立てて隙間から洩れていく。
些か柔らかくなった男根を抜かず、縛った雄を柔く扱く。
激痛に呻きながら、心得た手に快楽を押し付けられて、後孔が断続的に締まった。
「ぅん、ぅんふ」
「締めて感じているのか?」
変態が。
嘲笑われながら、イワンは許しを請うしかなかった。
十傑なら、逃げられぬとやや容赦してくれる主。
だが、今回はローザの同僚で。
A級の、男。
ローザが来なければ食われていただろう。
それに激しく怒りを顕わにした主に折檻を受けても、仕方がない事を自分はした。
「あ、あ、お許、し、を」
「ならん」
「っああああ!」
締め付けの刺激で硬くなったもので中を掻きまわされて悶絶する。
「あぁっ、あぁっ」
繋がっている所は潤っているから痛みは我慢出来ないでもない。
だが、執拗な注挿で入口がめくれ上がるのが辛い。
緩んでも締まりが良いのが災いして、中の男根は萎えもしなかった。
「あっあっあっあっあっ」
細かく奥を突かれ、息を絞り出して喘ぐ。
腹が熱い精液で満たされて、苦しい。
腹自体少し膨らんでさえいるのに気付かず、彼は鳴いていた。
「ひんっ、ふっ、あ・・・・!」
「っふ・・・・・」
ずりょっと引き抜かれて、手を離された。
前に倒れて崩れた四つん這いになる。
尻に降りかかる熱い雫。
塗り拡げられ、叩かれた。
「いっ・・・・!」
「捲れ上がって中を晒しているぞ」
「っ」
「何だ、戻すのか」
恥ずかしい事を言われて反射で締まり、捲れが戻る。
すると、そこに指を一本だけ入れられた。
「あぁっ・・・・」
「何だ」
今迄大きなものを受け入れていたため、指一本は細すぎて違和感がある。
擽ったくさえあるのだ。
揺れる腰。
思い切り尻を打ち据えられ、イワンは悲鳴を上げた。
口内に溜まっていた唾液が口端から伝う。
「ひっ、う」
涙をだらだら流して唇を噛んだ。
じっとしていると、また中を掻きまわされる。
「あっ、あっ」
「零すな」
「ふっく、ぅ」
頑張って締めるが、許容量以上に飲まされたものは噴き出したっておかしくない状態だ。
今迄含まされていたから多少緩んでいるし、しかも指で悪戯にかき回されている。
零さぬようにするなど無理だった。
だらだらと伝い落ちる粘い雫。
その度尻を叩かれつねられ、挙句の果ては陰毛まで毟られて。
それでもイワンは耐えた。
毟られ赤くなった皮膚に白濁を塗られてしみる。
中に玩具を入れられ、動き回るそれに悶えるのを何分も眺められ。
とうとう我慢できなくなって、泣きじゃくる。
「許して、許して、ゆるして・・・・・!」
言葉使いすらなっていない。
だが、そこまで追い詰められてやっと素直に泣く。
人の所為にさえしないのは知っている。
ならば素直に泣け、泣いて泣いて、縋れ。
混乱して力なく暴れるイワンを抱きしめ、玩具を引き抜いてやる。
床に投げ捨てて雄から紐を外してやると、勢いの無い精液が零れた。
「うぅ、う、く」
止められるものでもないこれを我慢しようとするのは、長く拘束されていたここに与えられた突然の解放から来る尿意の所為だ。
あやすように抱いて、軽く握ってやる。
「あぁぁぅっ」
ぱちゃぱちゃと飛び散る雫はかなり熱い。
相当我慢したのだろう。
仰向けのイワン自身の身体をぽたぽた伝うそれ。
雄を握った手を流れ落ちるのは中々心地いい。
「ふぁ、ぁ・・・・・」
痙攣する瞼を閉じて意識を飛ばした従者に満足気に笑い、指を伝う雫を舐める。
しょっぱいが、温かい。
悪くないな、と笑って。
男は、恋人にそっと口づけた。
そんな事があった次の日。
微妙な前屈みの盟友に、セルバンテスは呆れた。
「朝から元気過ぎでしょ。何歳なの」
紅茶を含みつつやれやれと首を振るが、彼は次の瞬間それを噴き出した。
「ヤリ過ぎて擦り切れた・・・・!」
「ばっ・・・・・」
馬鹿じゃないの?!
セルバンテスは絶叫した。
羨ましいとかそれ以前の問題だ。
「君のそこがそんなだって事は粘膜掻き回されたイワン君は地獄見てるよ!今どこに・・・・」
がちゃ
「お早うございます」
少し腫れた眦で微笑む彼はいつも通り。
セルバンテスは恐る恐る聞いてみた。
「お尻、大丈夫・・・・?」
「えっ」
頬を染めたイワン。
「あ、あの、これくらいなら、平気です・・・・」
恥ずかしがる姿は可愛いが、言っている事は凄い。
何て丈夫な。
「あぁ、君が大丈夫なら、いいんだ・・・・」
セルバンテスはにこっと笑った。
「浣腸の水流って噴出の時に切れる人いるけど、イワン君なら大丈夫だね」
何をするつもりかという言動。
突っ込む者は、この場にはいなかった。
一人は立場が弱く優しい人、もう一人は擦り切れた痛みで悶絶中。
しかし、今日優しい人は鎮痛剤を差し出さなかった。
何故かは、考えないようにしたい。
「ちょっと怒ってたんじゃないかなぁ」
***後書***
突然エロ書きたくなる症候群。突然最中からスタート、責めだけクローズアップ。終わり方唐突。即ち意味はなし。