【 御主人様のお気に召すまま-094 】



「はい・・・・・?」

休日に惰眠を貪っていたローザは、朝っぱらからかかってきた電話に叩き起こされた。

携帯を投げそうになったが、ディスプレイが表示するのは朝から電話をかけてくるような人間ではない。

何かあったのかと、何とか電話を取った。


『ローザか・・・・?』

「何言ってんの・・・・これあたしの携帯よ?」


顔をごしごししつつベッドに身を起こす。


「朝から何よ。風邪でも引いた?」

『その、すまないんだが・・・・』


下着の上を、貸してくれないか?

聞き違いかと思い、ローザは目を瞬かせた。


「・・・・あんた大丈夫?」

『・・・・大丈夫じゃない』


元気の無い様子に、ローザはベッドを降りた。


「取り敢えず下着は持って行くから、レモンティ淹れて待ってなさい」





「イワンー」

ノックもそこそこにドアを開ける。

キッチンから紅茶とレモンの匂いがするから、勝手にソファに座った。

持ってきた下着をテーブルに放りだす。

が、紅茶を持ってくるイワンの姿にぎょっとした。


「ど、どうしたのよそれっ!」

「こっちが聞きたいよ・・・・・」


疲れた表情のイワンはワイシャツ一枚だ。

その第三釦まで外れていて、むっちりとした乳がとぷんとはみ出している。

いつもより身体がやや小さく華奢になり、つまりは・・・・


「女の子になっちゃったわけ?」


紅茶を置くイワンのワイシャツをぺろんと捲る。

裾を押さえる手を押し退ける。


「長い付き合いの砲身が無いのって変な感じじゃない?」

「放っておいてくれ」


溜息をつきつつ裾を直すイワン。

魅惑の乳がゆさゆさする。


「あんた元々胸の肉付きは良かったけど、女の子になったらこんな大荷物になるのねぇ」

「もの凄く肩が凝る」

「でしょうね。ブラ買いに行かなきゃ駄目だと思うわよ?」


へ?と言う顔をするイワンに、ローザは持ってきて放り出しているブラを指差す。


「あたし65のDだもん。あんたのはどう見ても70のG以上」


到底入んないわ、と言われ、イワンはがっくり肩を落とした。


「正直、支えがないとかなり痛い」


かと言って、仰向けは苦しい、横向きは圧迫感がある、うつ伏せは痛い。

どよよんとしているイワンに、ローザは首を傾げた。


「なぁにしょぼくれてんのよ。あんた今一枚も服無いんでしょ?」

「ないから困っ・・・・」

「好きな服買っても誰にも文句言われないって事よ!」


思わずぽかんとして、笑ってしまう。

彼女らしい発想だ。


「まぁ・・・・そうだが」

「じゃっ、準備!」

「え」


がっとワイシャツを開かれてボタンが飛び散った。

大きな乳がぶるるんと揺れる。

何ともいい形だ。


「じゃ、まずスラックスと一番大きなハンカチ持って来なさい」

「?」


言われたとおり持ってくる。

スラックスを問答無用で履かされた。


「下着は無くても、当たるものがないから大丈夫でしょ」

「それはそうだが」


ウエストがぶかぶかだ。

アンダーは70くらいでも、ウエストは60ないかもしれない細さだ。

ハンカチを斜めに折って通し、ベルトの代わりにする。


「次は包帯」


持って行くと、胸を巻かれる。


「ローザ、もっときつくても・・・・」

「馬鹿ね、さらしじゃないのよ。きつく巻いたら痛いし形が崩れちゃうじゃない」

「なら・・・・・」


あんた乳首丸出しで外歩きたいの?

ぎょっとする事を言われ、ふるふると首を振って拒否した。

咄嗟の言葉も出ない。


「でしょ。はいできた」


割かし長身の身体は何とも肉付きが良い。

これは良い着せ替え人形になりそうだ。


「じゃ、行くわよ!」


それは嬉しそうなローザに引きずられ、イワンは部屋を後にした。





「下着はこれが良いわ」

「これって・・・・」

可愛い縞ぱんつと、ブラ。


「ワイヤー入ってると当たると思うし」


イワンを試着室に押し込み、自分も入る。

大きな乳を持ち上げてカップに詰め、掬うように形を整えてやる。


「どう?」

「驚いた・・・・随分楽だ」

「コルセットとかも結構楽なのよね」


言いつつ、イワンを鏡に向かせた。

全体像を眺めて頷く。


「うん、多分大丈夫ね」


店員を呼び、その場でタグを切って貰う。


「下は着れるでしょ。私会計してくるから」

「ああ・・・・あ、財布」

「下着くらいプレゼントするわよ」


服まで面倒みないけど、と笑って出て行くローザを見送って、イワンは苦笑した。





「次は・・・・まぁ選ぶ前に、これ着ときなさい」

「?」

渡された包みは割と小さい。


「店内だから寒くはないと思うし、ゆっくり選ぶには一応着ておくべきね」


ゆっくり選ぶほど熱も入れていないが、どうやら彼女がそうしたいらしい。

面倒を見て貰っているし、どうせこの姿では主に仕えられない。

休日なのも幸いと思いつつ、トイレに脚を向ける。


「紳士の方入っちゃ駄目よ」

「・・・・・えっ」


意味を理解し真っ赤になったイワンに、ローザが意地悪く笑う。


「いいじゃない。個室の中覗く訳じゃないんだし。化粧直ししてる子が居るくらいよ」


怖くないわよー、なんてからかうのに益々頬を染めて、イワンはためらいつつ化粧室に足を向けた。

幸い丁度誰もいなかったので個室に入ってそそくさと着替え、ローザの所に戻った。


「・・・・・・・・・・あんたね」

「ま、間違っていたか?」


おどおどするイワンに溜息をつき、ローザは首を振った。


「腹立つ」


清楚な白のワンピースは装飾が全くない。

裾もやや長め、しかし肩は出るようになっている。

夏ものが投げ売りだったのを取り敢えず着せてはみたが、何でこんな事に。

とんでもなく良い身体だ。

むっちりとしてたっぷりした胸で膨らむ胸元。

柳腰。

丸目の肉付き良い尻。

白い足首。

清楚なワンピースに卑猥な身体を包んだ所為で男の目を惹きまくっている。


「来なさい」

「は、はい」


思わず子供の様な返事をして付いて行くと、この真冬に夏物を投げ売っているワゴン。

ローザはそれをほじくり返してサンダルを掴み、イワンの足に当てて頷いた。


「どうせ店内なんだからいいわ。折角こんな可愛いのに革靴とかあり得ない」

「?」


さっさと会計した彼女にサンダルを押し付けられて履いたイワン。

色々引きまわされて着せ替え人形にされた2時間は悪夢だった。

結局彼女のお気に召したのは、肩を覆う薄いストールだけ。

これでは夏の終わりのような格好だ。

とは言え、ここは本部内のモール。

暖房は完備の為寒くないし、すれ違う人も皆季節感の無い格好で好きに装っている。

が、矢張りおかしいんじゃないかと思う。

さっきから視線を感じるし、目が合うと何故か微笑まれる。

声を掛けられる前にローザが回収しているのに気付かないイワンは、全く自分の魅力に気づいていないのだ。


「・・・・・頭かな」

「帽子被ったらもっと大変になるわ。もうこれ以上フェロモン振り撒かないで」


疲れた様子のローザは、100m歩く間に3人を撃退していた。

天然を発揮する年上の友人に呆れつつ、微笑ましい。


「お昼ごはん何が良い?」

「お前に任せるよ」


投げ遣りなのではなく、好きなものを選べと言う優しさ。

ローザは少し笑って、イワンの手を引いた。


「じゃあ、グラタンが良い」





「うー・・・・」

「そう悩むものか?」

「だってこっちもこれもそれもおいしそうなんだもんっ」

彼女はシュリンプグラタンを食べた後に、セットのケーキを選んでいる。

イワンも同じセットのほうれん草グラタンだったが、まだ食べている。


「うぅ・・・・こっちかこっち・・・・どうしよう・・・・」

「じゃあこっちにしろ」


指差されたのは、苺のタルト。


「でもっ」

「私がこっちを頼んで、半分やるから」

「それじゃあんたが・・・・」

「然程ケーキに執着はないし、お前が喜んでぱくつくのは可愛いから」


自然にそう言ってしまうのに、タラシの嫌みさがないのは人柄ゆえだろう。

少し赤くなった頬を膨らませ、ローザは呟いた。


「なによ、私よりえっちぃ身体した女の子の癖に」


格好良いんだもん、ずるい。

聞き取れなかったイワンが首を傾げる。


「何だ?」

「べっつに」


そっぽを向きつつ、笑みが零れる。

あの方にどんなに愛されても、十傑の寵愛を受けても、変わらず優しい彼でいてくれるのが嬉しい。

ヒィッツの遊びでも高慢ちきになる女はいるのに。

いつかもう少しだけでも、あの方の愛に幸せそうに笑って欲しい。

今はまだ、色々考え過ぎだから。


「じゃあ、注文しよっと」


後で泣いたって知らないんだから。

そう言って悪戯っぽく笑い、ローザはベルを押した。


「苺のタルトと、ミルフィーユ」





食事の後に炭酸水を3本買って、イワンの部屋に帰る。

この1キロ程の間に、ローザはとても疲れてしまった。


「牽制って・・・・大変・・・・・」


疲れ切った様子の友人に冷たいミントティを入れて、炭酸で割る。

差し出すと、直ぐに口をつけた。


「生き返るぅぅ・・・・」

「若い娘の台詞じゃないぞ」


言うイワンも多少疲れているようで、ソファに大人しく座っている。


「あんた本当良い身体だわ・・・・」

「ほんっとうにおっさんの台詞だな」


呆れるイワンを眺めまわすが、それはそれは良い身体だ。

男の時は男の時で色っぽいが、女になると乳やら尻やら、それがもろに出る。


「ちょっと触っちゃおうかしら」

「うら若い娘が・・・・・」

「毎回それじゃない」


言いつつ隣に寄って、太腿を撫でる。

気持ちのいい感触のそれを直に触りたくて、スカートをめくった。


「ろ、ローザ!」


慌てるイワンをソファに縫いとめる。

何だかとても楽しい。

イケナイ遊びと知りながら。

ちょっとだけ。


「やわらかーい」

「揉むな!」


乳を服の上から揉み始めた不埒な手に身を捩る。

何だかとても変な感じだ。


「エロ本なんかで変形するくらい握って吸いついてる馬鹿いるけど、本当は優しくした方が感じるって子が多いのよ?」

「あ・・・・!」


ふにゅ、と柔らかく揉まれて、腰が痺れた。

もじもじと腰を動かしていると、目敏いローザが薄く笑う。


「あんた胸が好きなの?」

「そ、そんなわけ・・・・」

「ふふっ、今あんた女の子なのに」


そんな必死になって隠す事じゃないじゃない。

言いながら柔く揉まれて、腰が跳ねた。

頬が熱くなる。

いつもは無い亀裂が、きゅっきゅっと締まっているのが分かる。


「ぁ・・・・・」


羞恥に涙が滲んだ。

いつもより涙もろい様な気さえする。


「ローザ・・・・」

「ん?」


どうかした?なんて言いながら服を脱がせる娘は年下で。

今は、女同士で。

恥ずかしくて目眩がした。


「ぴんくの乳首って、やらしいわよねぇ」


言いながら、軽く摘まむ。


「ひぁんっ」


ビクンと跳ねあがった腰がいやらしい。

くにくにと弄ってやると、直ぐに硬くしこった。

ピンクのそれがツンと立っている。


「舐めてあげよっか」

「だ、め・・・・」

「ふふっ」


ちゅく、と含まれ、イワンは抑えつけられたまま身を捩った。


「あ、あ、吸ったら・・・・・・!」

「んふふ、いいわよ、いっちゃいなさい」


軽く吸いつつ先をチロチロ舐めてやる。

イワンの頬は林檎色になり、唇は濡れ光っている。

強張る身体が初心で良い。

軽く噛んだが反応がイマイチだったので、ちゅっちゅっと断続的に吸いつつ先を舐める。

執拗に繰り返すと、イワンの身体が激しく震え始めた。

限界が近いと気づき、少しだけ吸いを強めた。


「ひぃんっ!」


ぴくんっ、と白い身体が震える。

強張っていた身体が小さく痙攣を繰り返した。


「あ、あ・・・・・」

「おっぱい気持ちいでしょ」


言いながら、足を大きく開かせる。


「びしょびしょじゃない。アンダーヘア透けてるわよ」

「そん、な・・・・」


恥ずかしがって隠そうとするのを押し留め、抵抗が一旦止んだら脚に手を掛けてそこに顔を近づけた。

下着の上から舐めると、イワンががくがくしながら身を起こそうともがく。

目があったのでいやらしく笑ってやると、口をぱくぱくさせて涙を溜めた。


「あまぁい」


愛液を舐められるなんて初めてだし、濡れるのだって初めてだ。

どうしていいか分からなくて、ただただ首を振るばかり。


「や、め・・・・・」

「どうして?」


言いながら、下着をずらす。

蜜壷はたっぷりと潤い、蜜を溢れさせていた。


「んんっ」


舌でピンクの縁をなぞると、身を震わせてソファを掴む。

舌を差し入れて掻き混ぜると、益々蜜が溢れだした。


「濡れ過ぎよ。可愛いけど」


こうしたら、痛いかしら。

ゆっくりと指を差し入れると、イワンが息を詰めて身体を強張らせた。

何度か掻き混ぜたが酷く辛そうに呻く。

するとローザはあっさり指を引き抜いた。

指に絡む蜜を、イワンの口元に差し出す。


「ほら、舐めて」


嫌と首を振るイワンの頬を、透明なマニキュアが煌めく指がなぞりあげた。


「濡れたままにしてたら、入れちゃうわよ」


あんたの大事なトコロ、垂れた蜜で光ってるもの。

もの欲しそうにしちゃってるし、前が痛いんなら。


「ね・・・・・?」


可愛い顔をした悪魔に、イワンはこくんと唾を飲んだ。

そっと口を開けると、指が差し入れられる。


「ん・・・・・」


甘酸っぱい蜜は、女の味だ。

なのに、自分の味。

戸惑うイワンに、ローザが微笑む。


「おいしいでしょ?」


どうしていいか分からずにいると、頬を擽られる。

ややあって頷くと、満足そうに笑んだ。


「いい子にしたから、もう痛い事はしないわ」


次は、こっち。

下着を奪われていく感触。

糸を引く蜜に泣きそうになる。

割り開かれて外気に晒されていく秘所。


「少しぴりっとするわよ」

「・・・あ・・・・ぅんっ」


酷く鮮明に指の感触が分かる。

痛みにやや近い感触に身を捩ると、ローザが笑った。


「小陰茎、剥くわよ」

「えっ・・・・・」

「女の子の肉芽にも包皮があるのよ?」


笑うローザに聞き返そうとした瞬間、小さな痛みが走った。

指が触れる部分が酷く寒い。


「一回イッタし、だいぶ膨らんでたから剥きやすいわね。それにしてもここもピンク?」


笑いながら、顔を近づけていくローザ。

吐息が掛ると痛いくらい寒い。


「ぅああっ!」


舌が触れるのがざらざらした。

軟体の様な舌の凸凹が鮮明に分かる。

痛いと思った。

でも苦痛ではない。

腰ががくがくして抑えられない。

蜜が溢れ続けているのが分かる。


「ローザ・・・・ぃや、だ・・・・!」

「嘘吐き。ここどんどん赤くなってる」

「ふぁ、あ・・・・!」


ちぅ、と軽く吸われて、腰が跳ね上がる。

孔は二つとも硬く締まってひくひくしているし、目の前が白く霞む。


「だめ、だ・・・・!」

「そんなに気持ちいいの?」


じゃあ、潮噴けるかもね。

かも、と言いつつやる気満々な顔。

舌で舐めまわしつつ吸い上げる愛撫に、イワンは悲鳴を上げた。


「あぁ、あぁ、あ」

「いいわよ。万が一お小水漏らしたって、ソファぐらいなんとかなるでしょ」


笑って吸いを少し強める。


「ふぁぁっ!」

「ふふ・・・・結構上手に潮噴けるじゃない」


ぴゅっぴゅっと噴き出す潮を満足げに眺めるローザ。

初めての種のオーガズムに意識までイってしまっている友人の唇にチュッとキスして、ローザはイワンに抱きついた。


「やっぱあんた、可愛いわ」





翌日元に戻ったイワン。

勿論ローザは大変叱られた。

若い娘が、とか。

不健全、とか。

じゃあ自分はどうなのかと突っつくと『人は人です!』。

正直なんだそれと言う感じだが、怒っている姿も可愛いので良しとして。


「分かった分かった分かりました!だからタルト作って!苺!」

「・・・・・人の話を聞いていたか?」


がっくり脱力するイワン。

ローザがその腕を引く。


「タルトー」

「ああああ、もう!」


自棄になってカフェエプロンを引っ張りだし始めた友人に抱きつき、満面の笑み。


「大好き!」


貴方と私は、友人以上恋人未満。





***後書***

とうとうやってしまった百合ネタ。後悔はしない。