【 御主人様のお気に召すまま-098 】



「・・・・イワン君、言いにくいんだけど・・・・」

神妙な顔のセルバンテスに、イワンは酷く恐怖を感じていた。

任務から帰還して2時間後に倒れてしまった主。

膝が笑って医務室に入る事すら出来ないイワンの部屋に来たセルバンテスの様子。

僅かに首を振って拒否を示す。

嫌だ。

聞きたくない。

信じたくない!


「アルベルト、死に損なったよ」

「え・・・・っ」


もうちょっと苛めちゃおうと思ったんだけど、あんまり可哀想な顔してるから、教えておくよ。


「まぁ、そのね。ちょっとヤバい薬品が肺から入ったみたいで。問題は無いんだけど・・・・・」


ごねてるんだ。

その言葉に、イワンは必死に縋りついた。


「わ、私に何か出来る事があれば・・・・!」

「・・・・・相当キツイよ?」

「構いません!」


一瞬の躊躇もなく言い放ったイワンに苦笑するセルバンテス。


「本当に問題は無いんだ。ただ、勃たなくなっちゃっただけで」


不能になっちゃったんだよ。

薬の排出は合わせて厄介に設定されていてね。

射精時の分泌液に混ざって排出される仕組みなんだ。

でも刺激すると痛む。

ストリッパーとかの女の子呼ぼうかって言ったんだけど、嫌がるんだよ。

かと言って君の身体の中にそんな薬品の残骸流し込むわけにもいかないだろう。

それで、延々ごねているんだよ。


「本当に困った男だよねぇ」


笑うセルバンテスの目は優しい。

恋敵が、愛する人しか要らぬと言い張るのはそう嫌な気分でもない。


「君がやると言うなら止めないよ。でも、アルベルトの気持ちを汲むなら」


途切れた言葉に、俯く。

どうすれば、主を少しでも楽に出来るのか。


「・・・・目の前で痴態を演じればいいんだよ」

「えっ」

「自分でお尻の穴に指突っ込んで、玩具でも野菜でも、色んなもの入れたり出したりして。見せびらかして立たせればいいんだ」


わざと慎み無い言葉で言っているのは直ぐに分かった。

そうして、自分が今のように言ったら逃げてしまったと言ってくれるつもりなのだ。

きっと、もっと酷い言葉を投げつけたような振りをして、被ってくれるつもりだ。

イワンはその優しさに泣きそうになりながら首を振った。


「・・・・・大丈夫です」

「・・・・・なら、止めないよ」


横をすり抜けて歩き始めるイワンを見送り、セルバンテスは軽い溜息をついた。





「・・・・・アルベルト様・・・・」

初めてかもしれない。

入るなと言うのを無視して部屋に押し入ってきた従者。

目の前で脱ぎ落されていく衣服。

孔明やら盟友が手配した女は全て帰したが、これで煽れと言われた玩具その他は床に所狭しと散らかっている。

どんなひどい辱めを受けるつもりで来たのか。

分かっているのかと問う必要はない。

アルベルトは黙って顔を背けた。


「出て行け」

「・・・・・ご覧になりたくないのなら目を閉じてください。勝手に一人で耽っています」

「っ・・・・・」


怒鳴りつけようとして息をのむ。

覚悟を決めた瞳と、柔らかな微笑。

その直向きさが狂おしい程に愛しい。


「・・・・勝手にしろ」

「有難うございます」


全て脱ぎ落したイワンが床の物を拾い集める。

初めに取ったのは、淫猥な局部の拘束具だった。

どうやら男娼まで送り込んだらしい。

膝立ちになって宛がう。

拭えない恥ずかしさに頬が染まっていく。

指が震えたが、苦痛ではない。

ベルトを軽く引いて調整し、少し圧迫感がある程度で拘束した。

膝立ちのまま、主の顔を見上げた。

気になっているのに意地でも見ない気なのが分かる。

微笑ましく、そして嬉しかった。

大事にされている実感を噛みしめながら、雄を柔く扱く。


「ぁ・・・・んふ・・・・っ」


食いこんでいく拘束具はぬめぬめと光る黒革だ。

袋に収まる二つの球を分けるように拘束し、自慰行為で汁が溜まってきたそこはいやらしい膨らみ方をしていた。

雄は亀頭まで4か所輪があり、血が集まってきた肉に痛々しく食い込む。

ぎちぎちと締めあげられながら、イワンは腰を突き出して扱き立てた。


「んぁ、は・・・・はぁ、あ」


くちゅくちゅと僅かに漏れた先走りの音がする。

ぱんぱんに張った袋をぽてぽて揺らしながら、激しく扱き上げる。


「あぁ、ぁ、ぁぁ・・・・」


とろっと先から糸を引く透明な液。

締めあげられた根元が苦しくもどかしい。


「ん・・・・・・」


這いつくばるイワン。

アルベルトの喉が鳴った。

さらけ出された可憐な窄まり。

煌々とした電燈の下で、脚を大きく広げてついているため、いつにも増してよく見える。

雄にやや血が集まるのを感じた。

いつもより格段に勃ちが悪いが、酷く興奮している。


「ぁ・・・・・」


酷く気持ち良さそうな甘い声。

ピンクの窄まりを撫でる白い指。

縦に何度か擦った時に、脚の間に透明な蜜が伝い落ちるのが見えた。

ひくひくしている窄まりを軽く押すと、硬く閉じてしまう。

盛り上がった筋肉で僅かに膨らんだそこに、蜜で濡れ光る指をねじ込んだ。


「あ・・・・・」


白い尻がビクンと引き攣る。

飲み込まれていく指に釘付けだ。


「ん・・・っ・・・」


中を掻き混ぜる籠った水音が耳に届く。

柔らかで熱い、複雑に絡む肉を掻き混ぜるのをたやすく想像でき、興奮が募る。


「ん・・・・んん」


指を増やそうとしたが、きちゅ、と引き攣れる音がした。

イワンは一度指を抜いて肩で上半身を支え、両手で持ったジェルのチューブを絞ってぶちまけた。


「んんっ」


冷たいそれにびくつく身体。

透明などろどろに塗れて行く白い尻や脚。

手にもたっぷり纏わせ、もう一度指を差し入れる。


「ふ・・・・ぁ・・・・」


ぬっぬっと抜き差しする度に形を変えて開く桃色の孔。

もっと奥に入れないかと見ているこちらが焦れる。

奥を激しく突いていたが、唐突に引き抜いた。

代わりに宛がわれる物に心音が高まる。

色とりどりの、ビー玉。

小さく喘ぎながらちゅくんちゅくんと飲み込ませていく姿は変態的でとんでもなく煽られる。


「ん・・・・・っ」


18個入れた所で、イワンは残りの2個を床に置いて手を着いた。


「う、ん・・・・・」


ちゅっ・・・・こん、ころころ・・・・

桃色の窄まりから飛び出すビー玉。

手も使わずに排出するのに唾を呑んだ。

この貞淑な男がここまで己を捨てて痴態を演じるのが愛しく、その深い愛情に気持ちが高ぶる。


「あんっ、ぁ、ぁん」


ちゅっちゅっと飛び出していくビー玉。

散らばった17個の中に、最後の紅い一個が落ちた。


「は、ぁ・・・・・は・・・・」


くたんと力を抜いて、腰を落とすイワン。

ピンクの窄まりが物欲しそうにヒクついている。

直ぐにでも自身をねじ込み犯してやりたいのを我慢していると、イワンが他の物を手に取った。

オレンジのビニル眩しい魚肉ハム。

直径二センチ程のそれは、柔らかい肉質が売りで持てば反対が垂れる。

それを当てがって、押しこんでいく。

こちらから顔は見えないが、吐息は十分に甘かった。


「あ、ぁ・・・・・」


ぬぐぐっと押しこみ、指で最後まで入れてしまう。

僅かばかりも出ていないそれが意味するこれからの過激なショーに期待してしまう。


「あぁ、ぁ・・・・!」


ぬぬぬ、と出てくるオレンジ色のチューブ。

ローションと体液でたっぷりと濡れたそれがてらてらと光っていやらしい。

腹に力を入れて排出していくそれからは僅かに湯気が立ち、中の熱さを教えていた。


「あ、あ、あ、あ・・・・・」


ちゅぼ、と抜け落ちて転がったソーセージ。

あろうことかそれを剥いて口にくわえ、ピンクのそれを男根に見立てて奉仕を始める。

奥まで飲み込んでは引き出すそれが唾液に濡れて行くのに、腰が疼く。

見れば、完全に勃起していた。

蜜を垂らしてびくびくしているそれに溜息が出る。

役に立ったのが嬉しいようなキツイような。

従者の身体を貪れない射精など、さして興味は無いのだ。


「あるべるとさま・・・・・」


差し入れられていく魚肉ソーセージに、益々蜜が垂れた。

いやらしい孔はひくひくして、今にもそれを食いちぎりそうだ。


「はぁ、は・・・・はぁ・・・・・・んんっ」


きゅうう、と引き絞られる後孔。

ねじ切られていくピンクの魚肉。

ぽとん、と千切れた先が床に落ちた瞬間、アルベルトは詰めていた息を吐いた。

38年生きてきて、こんな射精した事が無い。

だが、とてつもなく興奮した。

吐き出されたそれを慎重に拭って始末し、くったりしている従者を抱き上げる。

涙の滲んだ眦と、真っ赤になった頬。

歯の根が合わぬのを隠そうと左の奥歯に布を噛んでいた口。

唾液のしみた布をそっと外し、口づける。


「・・・・・命令違反の罰を受けろ」

「・・・・・はい」


掠れた声で返事をしたイワンは、報告書作成の間主のベッドで眠っていろという命令に酷く戸惑う事となる。

結局は、疲れもあって眠りこんでしまったが。

大好きな、恋い慕う主の匂いに包まれて、安心しきって。





***後書***

使った物品が酷いと言う話。魚肉ハムは憧れでした。まだ中に残ってるんじゃ?と言う突っ込みはナシの方向で!