【 もしもシリーズ-037 】



とある牧場。

乳牛を飼育しているそこの主は、年齢不詳の爺様。

昔はヤバい仕事をしていたとか、牛の乳より人間の乳の方が好きだとか。

色々な噂があるけれど、誰も真実を知らない。

が、勿論普段の生活にそういうものは関係ないわけだ。

牛乳もバターも、ヨーグルトもそこで買うし、干し草を買ってもらう事もある。

嫌な感じは受けた事が無いし、牛乳の味も評判。

そんな爺様・・・・カワラザキの朝は早い。

朝は、夜が明ける前に起床。

牛は機械で無いから、季節によって起床時間は変わる。

よって、カワラザキも大体太陽の動きで動いていけば問題はないのだ。

薄明るい中で、まずは飼育舎を開けてやる。

牛たちは起きたものから順に、広い牧場の中に散っていった。

が、最後まで残ったものがいる。

寝ているわけでなく、彼はいつだって自分を待っている。


「今日は風が強いな」

「ええ、少し寒いです」


笑顔が可愛らしい牛は、イワンという。

此処でカワラザキに取り上げられ、育てられて、すっかり懐いている。

彼は雄だが、手放せずにいるのだ。


「出てきて良いぞ。草もまだ新芽で柔い」

「あ・・・・・・」


イワンがちょっと恥ずかしそうに俯く。

奥床しいが、子供のように愛らしい。


「お手伝いを・・・・・・」


申し出に苦笑して頷くと、嬉しそうに仕事を始める。

まずは、厩舎の掃除だ。


「・・・・ああ、それは重い、わしが持とう」

「大丈夫ですよ?」

「いかん、わしの心臓に悪い」


笑ってからかうと、イワンが頬をピンクにして睨んでくる。


「わ、私だって、これくらい持てます」

「そうか?」

「はいっ・・・・・・あ、あれ?」


カワラザキの念動力でぐっと押さえられた鋤はびくともしない。

カワラザキがイワンと目を合わせ、笑う。


「言ったじゃろう」

「はい・・・・・・」


しょんぼりするのが可哀想になって、ちょっとやり過ぎたかと思った。

隙を片手に持ち、片手でイワンを抱き上げる。


「えっ・・・・・か、カワラザキ様っ」

「軽いのぅ、ちゃんと食わんか」

「た、食べています」


ちょっと不服そうに拗ねて見せるから、益々可愛くなって笑ってしまう。

頬を擽り、瞳を覗き込む。


「そう怒るな。今日はお前さんからにしてやるぞ」

「えっ・・・・・・あ」


牛を厩舎に回収するのは夕方だが、その時についでに搾乳しておく。

勿論牛乳を出荷する日は朝に搾乳だが、ヨーグルトを作る日は夜に加工するので夕方に絞るのだ。

イワンは雄だが、乳が出るかもしれないと獣医に言われている。

様子を見ていたが、やはり乳は出るようだ。

そう言うわけで、今日は初めての搾乳。

椅子に座らせ、両手両足を拘束する。

緊張気味のイワンに優しく笑って、小さな淡い尖りに搾乳器をつける。

搾乳機のボタンを押すと、イワンは悲鳴を上げた。


「あ、あっ、い、痛っ」

「堪えられんか?」

「だ、大丈、夫・・・・・っ」


完全に無理をしているのが分かる、苦悶の表情。

手の拘束も脚の拘束もぎしぎしいっているし、顔は赤らんで脂汗を垂らしている。


「っ、う、っぐ」

「うむ・・・・・良くないな」


カチンとスイッチを切ると、イワンがぐたりとする。

拘束を解いて抱き起こすと、胸に縋ってきた。

甘えるのでなく、泣いているのだ。

搾乳の期待に応えられなかった自分自身を責めているのだ。

可哀想になって、自室に連れて帰る。

あまり激しく泣くから、長い事抱いていた。

胡坐を掻いた上に座らせたイワンを宥め透かして泣きやませ、赤くなった目元に唇を寄せる。


「何も悪いとは言っておらん。それならそれで、構わん」

「ですがっ・・・・・」

「量が少なくともうまみが多い乳はある」


布団に横たえ、言い聞かせる。

乳を揉んでみると、やや張っていた。

小さいどころかかなり平らな胸だが、肉付きはよく、柔らかく弾力のある肉がたっぷり付いている。

丁寧に、解すように揉んでいると、イワンの体の緊張が僅かずつに緩んできた。

肉を尖りの方向にかき集めるように揉み、それをさらに胸の中心に向かって寄せ、もりっと盛られた肉の上の尖りに吸いつく。


「あんっ」

「うむ、味は良い」

「あ・・・・・・」


量の少ない乳を直に飲んで頷く男に、イワンは嬉しそうに頬を染めた。

先をちろちろされるとちょっと痛いけれど、その度に乳が噴き出して、張った胸が楽になる。

それに、吸いだされていくのは酷く気持ちが良かった。

カワラザキの頭を優しく抱き込んで、髪を掻き混ぜてみる。

咎められなかったし、もっと優しく吸い出してくれた。


「ああ、ぁ・・・・・・・」

「張りは取れたな」


じゃが、もう少し絞りたいのぉ。

個人的な、男の欲望。

恥ずかしがりながら、イワンは頷きカワラザキの首に腕をまわした。


「沢山、お乳を搾ってください」


可愛いお願いに頷いて、そっと脚を開かせる。

まだ経験のない雄は、可愛い子供のまま。

搾乳の刺激で甘く立っているそれを掴んで、軽く扱く。


「あ、あ、あっ」


腰が動くのを抑えられないでいるのは、矢張り雄の本能だ。

手に擦り付けてくるのを可愛く思いながら、一度手を止める。

物欲しそうな顔の乳牛に口づけて、意地悪く笑う。


「少ぅし、我慢せい」

「え・・・・・あ、あ、痛、っ」


幹をしっかり掴み、反対の手で先端を摘まみ、皮を引き下ろして剥いていく。

がくがくする腰を足で押さえ、先端を外気に晒した。


「ん・・・・・・」

「ほれ、お前さんも大人じゃ」


恥ずかしがって見ないイワンをからかい、抱き上げる。

膝に向かい合わせで座らせ、後ろを探った。


「あっ」

「痛むか」

「ん・・・・・・」


首を振るイワンに笑いかけ、先の淫行でイワンの先走りが絡んだ指を差し入れる。

びくっと跳ねた肩を宥めるように甘く噛み、白い肌に薄い歯型を残す。


「息を吐いてみい」

「は・・・・・ぁ、っ」


ずずず、と指に犯され、何も知らない身体がしなる。

それが快楽であるかすら判断できない未熟な身体は、戸惑うように男の指に噛みついた。


「う、ん・・・・・んっ」

「良い子じゃのう」

「ん・・・・・・」


すり、と頭を擦り寄せてくるのを抱いてやり、中を掻き混ぜて刺激する。

しがみつくイワンの手から力が抜けてくると、支える手を背に回し、隙間を開けて尖りに吸いつく。


「ああ、っだめ、あ、やぁっ」

「嘘はいかんぞ」

「あ、あ、だめっ」


ぢゅる、と吸い付かれて、気持ちの良さに歯の根が合わない。

指で解され、尖りを吸われ、とろとろになっていく身体。

すっかりくたくたにしてしまってから、カワラザキはイワンを向こう剥きにして座らせた。

取り出したものは、まだまだ現役。

使い物どころか暴れん坊だ。

背面座位で、孔の状態を確かめながら差し入れていく。

柔らかい肉孔は大きく口を開け、ゆっくりと男根を呑みこんでいった。

可愛い顔で純情な癖に、なんとも貪欲な身体。

嬉しくなって、腿の裏に手を入れて抱え、位置を調整する。

腰が密着するほどに嵌めこんで、腿から手をずらす。

片手は雄に、もう片方は尖りに。

唇と歯は、項に。

初めてで老練な手管が相手なのは可哀想というものだが、目の奥に獰猛な光を宿した男は未だ枯れはせぬ。

愛らしいこれに、理性が利かない。

無理はしないが、やめることなど到底出来ぬ。

項を軽く噛んで吸い上げると、男根を包む熱い肉がうねる。

絞る動きに呻き、手を使って身体を愛撫してやる。

律動が無い静かな性戯は、それゆえ酷く淫らがましい。

弾む息と淫靡な空気が絡んで部屋を満たし、精汁の匂いが充満していく。

しどけなく開いた脚は薄桃に染まり、つま先は堪えるように丸まり。

雄をゆっくり扱く男の手は濡れて光り、胸の尖りは尖りきっている。

汗の伝い落ちる身体は余りに淫らだ。

外見だけでなく、動きも。

男根を呑みこんだ肉管はなんとも言い難い動きで絡みつき、刺激はかなり強い。

腰が揺れそうになるのは双方だ。

揺らされない腰に焦れたイワンが男の腕に爪を立てれば、応えるように激しくなる愛撫。

掠れた泣き声を上げるイワンの中に、小水並みの勢いで発射する。

その刺激で達したイワンを胸に寄りかからせ、汗を拭って耳にキスを。


「良く頑張ったな、イワン」





とある牧場の中から、牛が一頭消えました。

妙齢の美女が主任の保健所によれば、捌いて食べたと聞いているとの返答。

麗しの未亡人の獣医によれば、牛用のワクチンを大型犬に使用したとの報告。

そして、牧場主は毎日牛を食べているのだと言い張っています。

牧場からは、毎晩食べられている牛の可愛い悲鳴が聞こえるそうです。





***後書***

他の乳牛は4本足だと信じたい。