【 もしもシリーズ-041 】



「カワラザキ様、ご加減はどうですか?」

「うん?ああ・・・・・まあまあじゃな」

笑ってくれる初老の男性は、イワンの祖父。

小さいころから大好きだった、じいちゃだ。

いつだって優しくて、厳しくて、素敵で。

凄く強い人。

でも、最近は加減が良くない。

寄る年波と本人は笑うが、イワンは心配で仕方がなかった。

大好きなじいちゃに、元気を出して欲しい。

仕事先でついぼやいたのを、上司三人に聞かれてしまった。

三人は顔を見合わせ、さも当然、とばかりにニヤニヤ。


「目の前で自慰でもしてやればよかろう」

「・・・・・へ?」

「ああ、元気になるぞ。ああいった方面の元気が無くなるとお迎えまっしぐらだからな」


爺様とは正反対にそういった方面がまるでおぼこのイワンは、顔を赤らめた。


「わ、私のそういった行為では、その、元気には・・・・・」

「じゃあ、練習する?私が最後まで面倒みてあげるよ?」


にこにこしているが、なんとなく雰囲気が本気の上司。

ちょっと怖気づいて、首を振る。

引き時と、元上司のカワラザキの恐ろしさを知っている男は、深追いはしなかった。


「でも、困ったらいつでも言ってね」


にっこり笑ってくれるから苦笑いして頷く。

勤務中、帰宅中も、その事ばかり考えていた。


「本当に、本当に元気になってくれるなら、私は何だって・・・・・」


何だって、するのに。

溜息をついて、スーパーに寄る。

無意識にいりこと牛蒡を買っているイワンは、それすら気付かない。

帰宅してからも、先ずは爺様の晩酌のつまみを作る。

御飯を一緒に食べたら、爺様のためにお風呂を沸かす。

熱めのそれに干した蜜柑の皮を少し入れ、爺様を呼びに行った。

が、部屋はもぬけの殻。

落ちているのは、薄手の羽織り。

いけないと、分かっていた。

おかしいと、知っている。

でも、今日は言い訳があるから。

人にそうしろとアドバイスを貰ったのだと言い訳出来るから。

小さい頃に一度だけ、爺様の羽織りを握りしめて自慰をした。

酷く興奮したし、気持ちが良かった。

あれほど興奮したのは後にも先にも無い。

でも、酷く後ろめたくて、あれきりだ。

唾を飲んで、羽織に近づく。

ぬくもりの残った羽織りからは、爺様の匂いがした。

それを抱えて、ふらふらと自室に戻る。

あれっきり、ずっと昔のあれが余りに甘美で背徳的で、あれ以来一度も自慰が出来ない。

溜まりに溜まった身体は、暴走を始めていた。

息を弾ませ、指をもつれさせて服を脱ぎ散らかす。

全裸になって、羽織を身体に擦りつけた。


「じいちゃ、好き、好き」


もう呼ばなくなった呼び方で、甘ったれて好きと言って。

酔い痴れて。

柔らかで平らな胸に羽織を擦りつけているだけで、硬く勃起した。


「じいちゃ、じいちゃ・・・・・」


羽織を抱きかかえ、扱き始める。

余りの気持ち良さに身体が震える。

幹を強く握って絞るように扱き、大好きな爺様にされているつもりになる。


「あ、あっ」


亀頭を曲げた人差し指と親指で挟み、きゅっと潰す。

激しい快感に腰がびくつき、勢いよく蜜が噴いた。


「あ・・・・・じいちゃ・・・・・・」


息も整わぬうちに、羽織を着込んで後孔に指を伸ばす。

が、突然後ろから抱き込まれた。

一気に体が冷え、震える。

怯える可愛い孫に、笑う気配がした。


「悪い子じゃのぅ」

「ご、ごめ、なさい・・・・・」

「おいで」


仕置きじゃ。

悪さをして口で叱られるだけでも怖かったのに、今日は絶対にそれではすまない。

怯えていると、突然後孔に触れられた。

心得ている男は、初めてのこれが余韻を含んでいる間に解した方が良いと知っているのだ。

怒っているのだと思わせ、抵抗できないように。

怯えるイワンの中に、指を差し入れる。


「ぅ、ぁ・・・・・は・・・・・」

「ふむ・・・・初めてか」

「ん・・・・・」


耳まで赤らめて、泣きそうな顔。

頬が緩むのを抑えられない。

奥まで差し入れると、激しく締まった。

異物感に苦しんでいるイワンの身体を支え、ぐっぐっと指を動かす。

前立腺への刺激も加えたが、余り反応は良くなかった。

怯えていたのも、段々和らいでいるのに。

不思議に思って指を動かしていると、奥の奥、指の届くギリギリで、イワンが突然鳴いた。

声を出した本人さえ吃驚している、余りに愛らしい。

苦笑して、奥を探る。

びくびくしている脚を宥めるように撫でて、奥を柔らかく刺激する。

驚くほどに感じ易い身体が、花開いていく。

汗の香る身体が纏うのは、自分の羽織り一枚だ。

男の体臭と、甘い体臭が混じって香る。


「ぅん、んっ」

「・・・・・奪って良いか?」

「っ・・・・・・」


互いの気持ちは分かりきっていた。

最後の了承を取ると、イワンは抱きついて来て『してください』と願ってくれた。

こちら向きで抱え、慎重に宛がう。

すっかり勃起したものは、つい最近まで派手に遊び倒した宝刀だ。

ぐ、と押しつけると、入口が抵抗する。

が、それは初めだけで、かりまで含ませればあとはするする飲み込んでいく。

動き自体は厭らしいが、何も知らないからこその無防備な動きだ。

しっかり填め込み、少し位置を調整する。

おなかの奥が強く圧迫される度、息苦しさと腰の痺れを感じて、イワンは熱い息を吐いた。

これだけでもかなりつらそうだ、第一酷く緊張している。

カワラザキは少し考え、イワンを刺し貫いたままに立ちあがった。

抱えるようにしつつ、体重はすべて結合部にかかっている。

傍の鏡を掴んで、縁側まで歩いていく。

垣根があるから丸見えにはならないが、見えないと言うわけではない。

夏の薄闇に恥ずかしがるイワンに笑いかけ、廊下を通過。

歩く振動で中が擦れ、もじもじしていると抱かれた胸や雄がこすれてしまう。

痛みは少ないが、何か変な感じだった。

従順に開く身体に、カワラザキはご機嫌だ。

何か変な感じだともじつくイワンが可愛くて仕方がない。

手でしっかり支えてイワンを向こう向きにし、縁側に座り込む。

胡坐をかいた膝に抱えられたイワンは、羽織り一枚。

カワラザキが着衣といえど、注意すれば何をしているかなど一目瞭然だ。

恥ずかしがる度に締まるのに気を良くし、イワンに尋ねる。


「さっきは、何をしていた?」

「えっ・・・・・?」


さっき。

さっきしていたのは、一人で・・・・・・。

恥ずかしがって俯くイワンの顎を掬い、片手で足を開かせる。


「見せてはくれんか・・・・・?」


ぞくぞくする色気で囁かれ、イワンは陥落した。

どきどきしながら自身の雄に手を伸ばし、そっと握りしめる。

軽く扱くと、後孔が締まる。

だが、大きな男根を噛まされていて閉まりきる事は出来ない。

変な感じにもじついていると、カワラザキが耳を噛んでくる。

手に力が入り、蜜が垂れた。

軽く扱いていると、段々と熱が入る。

だが、何だか酷く物足りなかった。

折角大好きなじいちゃとしているのに、ひとりでするのと変わらない。

息を弾ませて、潤んだ瞳で。

縋った。


「おっぱ、ぃ・・・・弄って、ください・・・・・」

「ん?こうか」

「あんんっ」


絶妙な強さでくりくりと転がされ、腰が跳ねあがる。

両方とも弄られて、三点攻めに腰が揺れる。


「あ、あっ、あ」


イワンの手が、蜜を零す雄に触れる。

自身加え4点攻めを受けながら、イワンは夢中で呟いていた。


「あ、あっ、おちん、ちん、もっと扱いて、くちゅくちゅして・・・・・」

「やれやれ・・・・手がもう2本要るのう」


苦笑していたカワラザキの動きが、次の一言で止まった。


「はぁ、っあ、お、おしりに、みる、く、いっぱい・・・入れて・・・・・」


厭らしい事この上ない台詞だが、自分の快楽を思ってくれているとも知っている。

嬉しくなって、ぐっと腰を突き上げた。


「ぁはっ!」

「大声をあげてはいかんぞ。わしの他にこの姿を見せるのは惜しいからな」

「あ、あっっ、あ」


夢中で腰を振りたてる姿は厭らしくも愛らしい。

大好きな爺様とえっちな事をしていると思うと、堪らなく興奮してしまう。

可愛い孫に性行為を強いていると思うと、堪らなく興奮してしまう。

激しく突き上げて、肌が鳴る。

汗で手が滑り、息が弾む。

行為に没頭し、敏感とはいえ初めての身体がいけるまで堪える。

達した瞬間の締まりに噴き出したものは、余りに多量で濃いものだった。

中をどろどろにされ、イワンの身体が潮を噴きながらびくびく跳ねる。

結合を見せようと思ってついつい放置していた鏡は、潮と精液で汚れていた。


「零したものは、拭かんといかんぞ?」

「は・・・・ぁ・・・・っ」


息を整え、イワンは中に含んだまま、身体を前に倒した。

既に半勃ちのものが、角度を変えて刺激してくる。

唾を飲み、自分の精液と、初めて噴いた潮を舐めとる。

精液は生臭く変な味だったが、潮は味がきつい。

しょっぱさと甘さ、苦さは酷いもので、涙が出る。

が、腰を緩く揺らされて催促され、我慢して鏡をぺろぺろ。

全部綺麗にすると、膝に抱きあげられた。


「良い子じゃ」

「じいちゃ・・・・・」


刺し貫かれたままに、背後の爺様に擦り寄る。

大好きなじいちゃが、元気になってよかったと思いながら。





爺様が大好きなイワンさんは、女の子と遊びもせずにまっすぐ帰宅。

爺様の御飯を作って、一緒に食べて、おつまみを出して、お酒は燗をつけて。

御酌をして、晩酌をする爺様のお膝で、幸せそうに笑っています。

全部知っている癖にわざと弱っているふりをしていた爺様は、イワンが居るから元気なのだと言い張ります。

全くお迎えの気配もない爺様は、毎晩。

孫を膝に抱いて、酷く若返っています。





***後書***

某様が爺様×従者お好き。お話してると、盛り上がる。

うち以外に爺様見ないから、多分此処でハメてしまっ・・・・私ってば若い娘にハメた?!(「に」じゃなくて「を」でしょ)