【 日用品シリーズ-003 】



一昨日、冷蔵庫を購入した。

この前までのは、製氷が自動で段々中の管が気になってきたので、廃棄。

新しいのは、冷蔵庫としては小さいが、とても愛らしい。

一目で気に入り、展示品と言い張る一言も喋らない店員に喰い下がって買い取った。

最後は冷蔵庫に取りなしてもらうまでに白熱した戦いだった。

可愛い冷蔵庫は水面下で渡された靴下と言う賄賂を知らないのだ。

さて、新しい冷蔵庫が来たから中身のお買いもの。

冷蔵庫を処分するまでに1カ月かけて献立を組んで、冷凍庫から何から綺麗にしたのだ。

お陰で、残ったのは辛子のチューブと卵2個。

卵は今の季節なら常温で行けると出しっぱなしで、辛子は期限が3か月前に切れていたから捨てた。

色々買いこんで、うきうきしながら家に帰る。

コードレスな冷蔵庫が可愛い笑顔でお出迎えしてくれた。


「お帰りなさいませ、御主人様」


にこりと笑って頬を撫でてやると、嬉しそうにすり寄ってくる。

何でこんなに可愛いのか、買ってよかった!


「では、早速食材を保存したいのだが」

「あ、はい」


慌てて包みを脱ぎ始めるのがまた・・・・恥ずかしそうなのがぐっと来る。

微笑みの鉄面皮で隠し、エロ親父のように見つめる。

何とも艶めかしい裸体。

白い冷蔵庫。

表面はなめらかで、触り心地も抜群だ。

にやけそうになる顔を引き締め、買い物袋を開ける。


「では、先ずは冷凍物から」


アイスクリームは今日は買わなかったのだと言う残月の手には、ロックアイス。

かち割りだが滑らかな欠けの大粒だ。

冷蔵庫・・・・イワンが頬をピンクにして恥ずかしがる。


「あの、余り詰め込むと閉まらなくなります」

「ああ、わかった」


床に這おうとするのをテーブルに乗せ、大きく脚を開かせる。

這って膝を立てたままそんな事をしたら、ぴんくの入口が丸見えだ。

濡らす意味も込めて先ずは小さい欠片を押しあてる。


「あっ」

「やはり冷蔵庫は外が過熱するな。どんどん溶けている」

「あ・・・・あ、あ」


押し当てられた氷がすっかり溶け、脚を水が伝い落ちていく。

可愛い冷蔵庫は、入口をひくひくさせて震えていた。

もう一つ手に取り、ゆっくりと押し込んでみる。


「んく、ぅ・・・・・・」


ちゅる、と入り込んだ氷に、入口が激しく窄まる。

ひくひくと収縮して、いやらしいことこの上ない。

一個二個と詰めていくと、12個でイワンが音を上げた。

他のものが入らないから、と言う冷蔵庫に、首を傾げて見せる。


「それは気がつかなかった。では冷凍物も少し減らしておこう」

「あ・・・・だ、だめっ、あぁ・・・!」


ぬる、と舌が這わされ、唇が押しあてられる。

軽く吸いながら舌で穿り返されて、身体がしなった。


「あぁ、あぁ、だめ、そんな・・・・・」

「説明書の禁止事項にはなかったが?」


ぢゅっと吸って、小さくなっている氷を吸いだしてやる。

強制排泄、それも何の汚物もない氷を吸われると言うのは、性交であれば一種異様だ。

まあ、冷蔵庫だから何ら問題はないわけだが。


「あ・・・・・ふ・・・・・」

「そんなにキツかったかね?」


酷くしていないのに、とからかうと、冷蔵庫イワンは息も絶え絶えに答えた。


「私、は・・・・・入れたり出したりされるとすぐにへたってしまうのです・・・・・」


前は、デモ用のコーラでした。

社長たってのご希望で、でも、我慢できなくて。

お願いして、やめてもらいました。

最近までは、牛乳でした。

何とも魅惑的なデモだと思いつつ、冷蔵庫を撫で、次のもの。

取り敢えずないと始まらない、要冷蔵系の調味料。

マヨネーズと、ケチャップ。

早くもへたりかけの冷蔵庫を愛しく思いつつ、蓋をあける。

銀紙を剥いで、先のキャップを外す。

先ず、口を差し入れてみる。

少しきついが、冷蔵庫が頑張って緩めてくれた。

ゆっくり手で絞って中に流し入れる。

一本絞って、次はマヨネーズ。

同じようにしていると、半分ぐらいで冷蔵庫が泣きだした。


「やめて、も、無理、で、す・・・・・あんんっ!」

「悪く思うな。どうも私は冷蔵庫にモノを次々押し込むタイプらしい」

「ひぐっ・・・・・・あ、ぁああっ」


ぬぬぬ、と入ってくるマヨネーズ。

もう、ケチャップも一本入れられてしまっている。

そんなにぐちゃぐちゃに突っ込んだら、何を入れたか分からなくなって腐らせると言っても聞いてもらえない。


「は、はっ、は・・・・・・ひんっ!」

「おや、痛かったか」

「や、ぁ・・・・何、入れて・・・・・」

「うん?これで最後だ。今日の夕飯用の」


烏賊。

赤い斑点と白のヤリイカは、ぬらぬら光ってねじ込まれようとしていた。


「や・・・・っ、な、何か、ラップとか・・・・・」

「何、夕飯の準備までだ。構うまい」

「あ、あぁ、ああああっ」


ぐいぐい押しこまれ、先が入ってしまう。

器用な青年はイカを軽く抜き差ししたり震動させて、入口を緩めていった。


「あ、あ、いやぁ・・・・・・」

「そう言えば、製氷皿がついていたな」


管が嫌なので、今回は製氷皿。

でも、管がないわけではない。

特製の氷を作りたい場合は、入口をたっぷり刺激してやればいいのだ。

いっぱい物を詰め込んで、白い蜜を。

脚の間に置いてやり、イカを差し入れていく。

泣いて嫌がるので、足までは入れずに手を放す。

泣いているくせに製氷皿は蜜が溜まっていた。

身体に触れると、嫌々をする。

少しさびしく思って名を呼ぶと、冷蔵庫は赤くなった眦で悲しそうに見つめてきた。


「何でもかんでも突っ込んだら、早く駄目になってしまうのに」


貴方の傍にずっといたいのに、どうして許してくれないの。

冷蔵庫は拗ねていたのだ。

残月は眼を瞬かせ、次いで微笑んだ。

冷蔵庫に甘い甘いキスをして、囁く。


「では、リクエストを聞いておこう」


甘い声はとても優しかった。

イワンの様な冷蔵庫が初めてだったから加減が出来なかったと言って、謝ってくれた。

優しいご主人様に、一気に機嫌が直ってしまう。

頬を擦り寄せ、残月を見上げる。


「お野菜が、好きです」





自炊は基本的にしなかった男、残月。

冷凍庫は常にいっぱい、調味料の管理も適当。

そんな彼は新しい冷蔵庫を買ってから自炊に目覚めました。

冷蔵庫に入れたり出したりして、ご機嫌で料理。

得意なのは、烏賊入りの野菜炒めだそうです。





***後書***

冷蔵庫だから。食材突っ込んでも異物挿入じゃないんだ。