【 日用品シリーズ-007 】
100円ショップに行ったら。
寒天発見。
粉寒天で、湯に溶けば寒天が出来る。
3g×3包。
基本的に寒天にそう興味はない。
ゼリーとか、プリンの方が。
そう思ったが。
調理器具コーナーに山と積まれた色とりどりの心太突き。
筒の先が格子で、板つきの棒で押し出す式の簡単なもの。
面白いかも、しれない。
そう考えて手に取って眺めていると、袖を引かれた。
「落とされましたよ」
「ん?ああ、すまないな」
可愛い笑顔で、持っていた消しゴムを差し出してくれる。
キャンディを一緒に持っていたから取り落としたらしい。
有難うと微笑んで、頷き歩いていくのを目で追う。
なんとも愛らしい笑みだ。
そう思ったら、彼は。
陳列棚の一角の椅子に座ってしまった。
よくよく見れば、彼には300円商品の札がかかっている。
100均に100円以外のものを置く事については何回か世の中を賑わしたが、何だってこんな可愛いのが300円?
良く見てみれば、どうやら彼は自分が手に持っているのと同じ『心太突き』らしい。
皆興味を示しているが、彼が心太突きと知ると悩みつつ去っていく。
確かに、昨今は自分と同じく観点よりゼラチンやぷりんが、という人間が多い。
だが、この心太突きはあんまり可愛過ぎる。
まず、彼の傍に寄って、ぶら下げられた使い方を読む。
心太を入れて、突くだけ。
おまけに、突く方の棒は別売り。
対応は直径5センチまで、多少の融通可能、とある。
何ともよさげなものではないか!
御機嫌で彼を抱き上げて、レジへ。
キャンディと消しゴムを持たされた彼が自分は300円商品なのだと必死で言うのに、知っていると頷く。
すると、イワンは目をうるうるさせて抱きついてきた。
売れると思わなかった、心細かったと。
余りの可愛さにくらっときたが、我慢。
レジに行く寸前に寒天を5袋程掴んで、一緒に会計。
家に連れて帰って、綺麗に洗った。
可愛い顔でくすぐったがって、可愛い声で「ざんげつさま」と呼んでくれて。
彼は、イワンと言うらしい。
二人で泡まみれになって、子供の様にはしゃいで。
イワンは、初めて幸せだと思った。
出荷されてから、寒天が子供に余り好まれないと言うのもあって、売れなくて。
普通のならまだしも、自分は300円商品。
レジで返された事もある。
だから、躊躇なく買ってくれた残月が大好きだ。
それに、さっきは買った消しゴムのカバーの角を小さく切っていた。
ああいうタイプは、物を大事に使う人が多い。
嬉しくて、残月に擦り寄る。
残月はそれを受け止め、微笑んだ。
懐いてくる心太突きは、きっといろいろな事を考えてあそこにいた筈だ。
沢山傷ついただろう。
でも、こんなに素直だ。
可愛くて可愛くて、仕方が無い。
何だかとても、嬉しいと思った。
「イワン、心太が出来たんだが・・・・・どうした?」
ぽかんと自分を見詰めているイワンに首を傾げ、ああ、と頷く。
「仮面は、さっき濡れてしまったからな」
学帽と仮面を外した残月はかなりのイケメンだ。
王子様風の、甘いマスク。
イワンの頬がピンクに染まって、もじもじしながら俯いてしまった。
仕草はまるで恥ずかしがりのお姫様だ。
苦笑して隣に座れば、気になるらしくちらと見てくる。
首をかしげて見せると、恥ずかしがってまた俯く。
何て、愛らしい。
調子に乗って、顎を掬って上向かせる。
目を合わせ、ちょっと格好つけて微笑んでみた。
涙ぐんで恥ずかしがる心太突き。
嬉しくなって、キスを。
甘いキスを繰り返し、そろりと舌を差し入れる。
元々何かを入れられる事に対して柔軟なイワンは、抵抗なくそれを受け入れた。
ちゅくちゅくと舌を絡められても、少し苦しそうにしながらしがみついてきて。
もっと、と舌を差し出してくる。
堪らず押し倒し、奥まで舌を差し入れた。
上顎から歯列まで、口の中を舐めまわし、掻き混ぜる。
イワンは時折、身体をぴくんと震わせていた。
身体を撫でていると、やけに嫌がる。
どうしたのかと思っていると、偶然当たった。
思わず、笑んでしまう。
唇を離して垂れ落ちた銀糸を舐め、囁く。
「おかしい事ではないよ。寧ろ気持ち良くなってくれて嬉しいね」
「で、でも・・・・・・」
「ほら」
手を引き、自分の股間に押し当てる。
熱を持ったそこに、イワンが不思議そうに手を這わせた。
「残月様、も・・・・・?」
「ああ、勿論」
扱いてくれるかね。
問えば、心太突きはこくんと頷いた。
座り込んだイワンの前に膝立ちになり、取り出したものを突き付ける。
イワンの白い指が、赤黒い男根をそっと握った。
若々しいが使い込まれたそれを、優しく扱く。
何とも、良い。
きつく扱くのも良いが、割と残月は色々なやり方をそれなりに楽しめるタイプだ。
軽く腰を揺らしてイワンの手にこすりつけながら、熱を高める。
硬くなったものが蜜を滲ませ始め、部屋に男の匂いが篭り始める。
息も乱さない残月を伺い、イワンはもじりと頬を染めた。
「おや、興奮してしまったか」
「こ、これは、その・・・・・」
「分からんでもないさ。扱いているのだから興奮もするだろう」
残月の男根を扱きながら勃起してしまったのを恥じる可愛い心太突き。
柔らかい唇に吸いついて味わい、脚を上げさせる。
「少しほぐした方がよさそうだな」
「え・・・・・ぁ、や、な、なんでっ」
なんでおしりのあな、舐めるの。
嫌がるイワンを押さえつけ、興奮しながら舌で弄る。
泣き出したイワンから顔を上げたのは、すっかり解れてピンクの入口がヒクヒクし始めてからだった。
バットに置いていた心太を取る。
3センチ四方にカットした、固めのだ。
孔を指で押し広げて差し入れれば、ずるるっと飲み込んでいく。
20センチ程飲み込ませて、男根をあてがう。
心太は『突く』時が一番面白い。
「あ、あ、あんんっ!」
「っは・・・・・!」
ずずずずっと犯されて、イワンが身悶える。
中に硬い寒天が入って、砕けていく。
変な感覚に腰を捻るが、固定されて突きあげられて。
腰骨が溶けたようで、力が入らない。
おちんちんのさきが、あつい。
そう言って泣いてしまったら、残月は綺麗に笑って抱き締めてくれて。
奥の奥に、突き込まれた。
中に出される、熱い汁。
それと同時に、雄の先から押し出される様に白い蜜が飛び散った。
心太突きを買ってから、残月は毎日の様に寒天を作っています。
ですが、よくよく考えるとところてんを食べていない気も。
砕けてしまったのを掻き出しても、自分の白蜜ではちょっと食べる気もしない。
半泣きの心太突きに食べさせて、見ています。
心太突きは、そんな御主人様に小さな秘密を持っています。
あの時掛っていた説明の札は、赤いマフラーの青年が悪戯して取り替えてしまったもの。
本当は、寒天を貰ったら自分が一から作って、カットして。
本当に別売りなのは、100円の心太突き。
彼は『心太突き』が無いとお仕事が出来ない心太突きなのでした。
でも、毎日御主人様がところてんさせてくれるから。
黙っています。
***後書***
オチの文の酷さがピカイチ。ところてんさせてくれるとか(涙)