【 日用品シリーズ-013 】



某ホームセンター。

園芸コーナー。

298円の鉢植え。

水耕栽培対応で、球根は別売り。

しかしまあ、何とも可愛い。

スーツの包みを剥ぎたくなる良い身体、むちぷりの尻。

ぴかぴかの禿頭に、魅力的な笑顔。

今も、園芸なんて興味無さそうな髭のおっさん二人に絡まれている。

ちょっと困ったようにしているが、セクハラに戸惑うのが可哀想だ。

失礼、と手刀切って割り込み、鉢植えを抱える。

軽く会釈したが、目を合わせないようにレジに直行。

買ってしまえば、こちらのものだ。

レジ横の球根と液化肥料を一緒に勘定して、とっとと家に帰ってしまう。

そこでようやく人心地ついた残月は、学帽を脱いで煙管を取りだした。


「・・・・・そう言えば名前を聞いていなかったな」


値札を見れば良かったがと言うと、植木鉢は首を振って、優しく笑ってくれた。


「商品名は植木鉢、大きさは3号です。型番は、私一人しかいないのですが、イワンとなっております」


丁寧な自己紹介に好感を持ち、残月は机の上のミント水をグラスに注いで勧めた。

庭に繁茂したミントと普通の水をピッチャーに入れっ放しにしただけだが、中々気に入っている。

他にも何かハーブでもと、久しぶりにホームセンターへと行ったのだ。

イワンはミント水を飲んで、残月を見つめた。


「美味しいです。・・・・あの、私は貴方様を何とお呼びすれば宜しいでしょうか」

「ああ・・・・・残月と呼んでくれるか」

「残月様ですね」


イワンは嬉しそうに頷き、残月の手元に目をやった。


「ヒヤシンスをお選びになったのですね」

「うん?ああ・・・・・」


実際は植木鉢に夢中で適当に掴んだだけだったが、確かにヒヤシンスの球根だ。

水耕栽培でよく授業に使うが、かなり強い香りの花。

イワンの包みを少し剥がし、説明書を取り出す。

一緒に、ヒヤシンスの説明書きも見てみた。


「ふむ・・・・水耕対応か。水耕栽培の肥料は液状肥料で・・・・鉢植えもそれには対応、と」


植え付け時期がそろそろ終わり、と書いてあったので、少し考えてイワンを見やる。


「室内なら年中大丈夫とは言え、矢張り季節ものとして楽しみたいのだが」


構わないか、と尋ねられ、イワンは嬉しそうに頷いた。


「はい、勿論です」


イワンの包みを全部剥がし、残月は球根を取りだした。

完全に枯れ落ちた表皮だけ軽く剥き、水耕で腐らないようにしておく。

買ってきた液化肥料と、ミント水が無くなったピッチャーにたっぷり水を汲んで置いておく。

ソファに座ると、心得た可愛い植木鉢が、横から残月の膝に腹を乗せて、腰を上げる。


「お願いします」

「ああ、痛かったら言ってくれ」


尻を割ると、ピンクの入口がひくひくしていた。

だが、3号鉢は結構小さい。

鉢としては一般的でも、植えるものが大きめのヒヤシンスである以上、ちょっと入口が小さい気がする。

心配だが、ヒヤシンスの水耕は3号鉢で十分らしい。

少し緊張しながら、指を這わせて差し入れる。


「ん・・・・・・」

「驚いた・・・・随分柔らかいな」

「はい・・・・・あ、んっ」


はんなり微笑んだイワンが、眉を寄せる。

そこをゆっくり攻めてやると、小さな孔は益々柔らかに開き、イワンの表情も堪らないものになる。

指で探るようにしつつ時折ぐっと突いてやると、イワンが腰をびくつかせた。


「は・・・・・・ぁっ・・・・・」

「そろそろ良いか?」

「ん・・・・・・」


頷いたイワンの頭を撫で、付属の漏斗で水を入れた。

イワンは少し苦しそうだったが、我慢してくれた。

そして、球根を押し当てる。

肥料でぬめらせて、可哀想だが根の出る太い方から。

尖った方から入れては、芽がでない。


「あ、あんっ、ああ、く、っ」

「少し我慢を・・・・ああ、通ったぞ」

「ふ・・・・・ぁ、あっ、あ」


窄まっていく形状の球根が勝手に入り込んできて、イワンが腰を捩る。

酷く気持ち良さそうにしながら、必死に呼吸を繰り返していた。

残月が植木鉢を撫でる。


「よく頑張ったな。花が咲くのが楽しみだ」





鉢植えを日当たりの良い窓際に置いてみた。

前転の後半の様な体勢で置いて欲しいと言われ、言うとおりにおいてみる。

苦しいのではないかと心配したが、身体の柔らかいイワンは全く苦しそうにはしなかった。

4日目に、芽が出た。

ピンクの窄みを押し広げて頭を出した小さな緑の芽。

それはどんどん育ち、太い幹は常にイワンの後孔を押し開いている。

水漏れしてしまうと言うから、受け皿も置いておいた。

とろとろの汁を零して頑張るイワンを、毎日愛でる。

そして、20日後。

見事な花を咲かせたヒヤシンス。

そして、見事に花開いてしまったイワンの身体。

育つヒヤシンスの太さが気持ち良くなり始めて、常にいきっぱなしだ。

お尻までピンクにして、気持ち良さそうに溜息。

目はとろっと蕩け、受け皿は溢れてしまっている。

可愛い鉢植えから球根を収穫すると言い訳し、ベッドへ。

花の盛りを過ぎたヒヤシンスを、ゆっくり引き抜く。


「あ、あは、あっ、あっく」

「少し力んでくれるか」

「は・・・・ぁ、ぁん」


ぬるぅ、と出てきた球根は、すっかり大きく育った上にいくつも新しいものが出来ていた。

でこぼこのそれを引き抜かれるのに悶絶しながら、また白い蜜を噴き零す。

花なんかよりよっぽど香り高い植木鉢に、頬が緩んで仕方がない。

長く入れっ放しにされていたものを突然奪われて、直ぐには閉まらなくなってしまった肉孔。

なのに物欲しさは絶頂で、唾すらうまく飲み込めないほどに震えてしまって。

もじもじする鉢植えに、残月が苦笑する。


「私の種も、植え付けたいのだが」

「あ・・・・・・ざんげつさま・・・・・」


力無い身体を仰向けに返してやると、イワンが泣きそうな顔で微笑んだ。

ぎこちなく脚を開く。


「残月様の種を、蒔いてください・・・・・」


可愛くも淫らなお誘いだが、鉢植えだから問題はない。

喜び勇んで圧し掛かるご主人様はそう言えば19歳だったはずと思い、イワンはちょっと心配でお願いした。


「あの、明日に響かないようにお願いしますね」

「ああ、分かっているよ」


自分の事を思いやってくれる可愛い鉢植え。

ぐぐっと押し込むと、柔らかくされてしまった孔がしゃぶりついた。

が、突如来るのは思いもかけないほどの締め付け。

あれほど開きっぱなしにしていたのに、かなり良い締まりだ。

少し甘いが、これなら普段の生活中なら、自分好みの痛いほどの締め付けだろう。

嬉しくなって、イワンの頬を撫でる。

息を弾ませて見つめてくる彼に優しく口づけ、隙を見て舌を差し入れた。


「っん、んんっ・・・・」

「ふ・・・・・・花の蜜より甘い鉢植えとは、聞いた事が無いな・・・・・」


舌に絡む甘い蜜に笑み、イワンの身体の柔らかさを利用する。

ゆっくりと脚を上げさせ、位置を調整し。

白い親指を、口に。

ちゅるっと吸い付くと、何とも良い具合に締まった。


「あ、あはっ、あ、だめ、ざんげつさまっ、だめっ」

「うん・・・・・?」

「あ、ああ、あっ、あんんんっ」


丸まる指を抉じ開けて、何度もしゃぶる。

いつの間にか踝を唾液が伝い落ちる程に濡れていたが、残月は白い滑らかな足に夢中だった。

爪を甘噛みして、軽く吸う。

指の間を執拗に舐めると、ぎゅうぎゅう締めて腰をもじつかせる。


「残月さまぁっ・・・・・」

「どうした、泣きそうな声で」


意地悪な青年に、イワンが半泣きで強請る。


「はやく、たねっ」

「っ・・・・・そう言う煽り文句を口にすると・・・・・」


後悔するぞ。

堪らない興奮に突き動かされて、イワンの身体を貪り食らう。

可愛い、愛しい、いじらしい、いやらしい。

息を弾ませ、何度も腰を突き上げる。

余りの激しさに空滑りして、締まる間の無い隙間からぢゅぽぢゅぽと音がする。

イワンは泣いて恥ずかしがったが、それに益々興奮した。

腰を掴んで引き寄せ、しっかり填め込む。

若い残月の勢いはかなり強く、射精自体が肉管を激しく刺激した。


「ひっ、ひんっ」

「ああ・・・・・癖になるな・・・・・」


糸を引かせて引き抜き、二戦目は後ろから。

すっかり砕けた腰を抱えて、力任せに突き上げる。

激しく打ち付けられる腰に鳴り響く乾いた音。

熱く痺れる尻の表面と、熱く疼く腹の奥。

知らず腰を揺らして貪っていると、残月が喉に手を這わせてくる。

顎を親指で上げさせられ、耳を噛まれた。


「いけない子だ・・・・・」

「あ、あんっ、ご、ごめんなさ、い」


ごりりと突かれて射精しながら、イワンが必死に謝ってくる。

中にたっぷり出してやると、イワンはそれはもう泣いていた。

ごめんなさいと口にする彼に、意地悪が過ぎたかと焦る。

が、断片的な謝罪をつなぎ合せて思わずにやけた。


「ざ、残月様の、たね、で、気持ち良くなってしまって、ごめんなさい。ちゃんと芽がでないのは、私が、わるくてっ・・・・」

「ああ、そう泣くな。芽がでなくとも構わないさ」


蒔く事に意義があるのだし、お前がいれば子も要らぬから。


「毎日、種を蒔かせてくれ・・・・・」





残月は週に1回、ホームセンターの園芸コーナーを覗いています。

可愛い植木鉢をお供に、あれこれと苗を買って、家の中はハーブでいっぱい。

植木鉢が上手に使ってお料理してくれるから、経済的だし楽しめます。

ですが、今のところ植木鉢自体は空っぽ。

植える予定は、特になし。

ただ、毎日毎日種は蒔いています。

でも、残月の芽が出る予定は、ありません。

それでも二人は、幸せそうです。





***後書***

大抵の人が格好いいポジションに置く残月を、うちほど残念に進化させた処はない。もしもシリーズでさえ、どこか薄ら寒い残月。