【 日用品シリーズ-018 】



衝撃のアルベルト38歳、子持ちやもめ。

娘を当てるまで1度もゴムをつけた事は無かった。

当ててからも、無い。

つまり底抜けに命中率の低い男なのである。

その上何とも良い男、自慰なんてしなくても相手に不自由しない。

よって、未だ彼はコンドームにお世話になった事がない。

そんな彼だが、任務の都合上コンドームをつける事が出来ないと困る事になった。

話し始めるとなんだそれはという話なのだが、兎角誰も抱かないがコンドームの装着が出来ないといけない。

他には、何故かポーカー。

余りに不思議な要求だが、任務内容を聞けば頷ける。

そう言うわけで、アルベルトはネット通販でコンドームを購入。

通常販売している物では入らないという盟友からのアドバイスだ。

花街に一緒に繰り出している男は、乱交なんかでもゴムをつけている。

互いの物の大きさなんて分かりきっているし、自分の命中率の低さも知っている男だ。

と、言うわけで4日後。

ひと箱しか頼んでいないのに、届いたのは人一人入りそうな箱。

商品名がPC部品だからだろうか。

ついでにローターを買ったからか、いや、それでも大き過ぎるだろう。

取敢えず開封すると、コンドームと目があった。

何だこれはと首を傾げると、頬を染めてもじもじ。


「コンドームの、イワンです」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


取り敢えず、盟友に電話してみた。

真っ最中らしくあんあん甘ったるい喘ぎが聞こえるが、気にせず通話。

想像よりかなり大きいのだがと言うと、起たせて着けて扱けば大体いっぱいになるとのこと。

とっとと済ませておかないと、孔明にどやされるよなんて笑っている。

溜息をついて携帯を仕舞い、取り敢えずベッドでコンドームを開封。

白い身体は滑らかで、割と好感が持てる。

どうせコンドームなのだから女型にすれば良いものをと思ったが、こういうものなのかもしれない。

入れる孔を探すと、ピンクで綺麗に窄まり、変形は無し。

柔らかそうだが、見た目かなり小さい。

これで特大と言うのだから微妙だが、まあ大丈夫だろう。

開封時に既にローションでとろとろにされていたそこに、扱いて勃起させた男根を押しつける。

ぐいと腰を入れると、なんとも可哀想な押し殺した悲鳴。

必死に悲鳴を殺して手を突き、尻を突きだしている。

中々親切な設計だと感心し、根元まで差し入れた。

ちゃんと注文通りのサイズらしく、きつきつだがちゃんと収まった。

尻を叩いて全部入ったと言ってやると、がくがくしていた肘を崩して早い呼吸を繰り返す。

やはり特大サイズでも苦しいらしい。

膨張率もまだやや向上中だし、確かにかなり苦しいだろう。

必死に唾を飲んで耐えるコンドームを抱えて座り込み、脚をぐいと開かせた。

装着して扱けばいいのだから、と手を伸ばす。

自分のよりは矢張り小さいし、男のものなど触った事は無い。

扱いても自分の感覚は無いから何だか変な感じだが、気にせず強く扱いた。

自分好みに激しくきつく扱き、締まりの良さを求めて先を爪で弄る。

堪えていたコンドームも、この苦痛の色濃い責め苦には悲鳴をあげた。


「いっ、痛いっ、いた、やめてっ」

「煩い。この方が締まりが良い」

「あああ・・・・・っ!!」


左手で亀頭を強く握って孔を塞ぎ、幹を拷問のように擦りあげる。

激痛にコンドーム・・・・・イワンの後孔は激しく締まり、きつい孔が好みのアルベルトはご機嫌だ。


「ああっ、いやぁっ、痛い、痛いっ」

「っち・・・・・喧しい・・・・・」


イワンの口に緩めていたネクタイを突っ込んで黙らせ、乳首を千切り取らんばかりに捻り潰す。

もがき苦しむのに構わず、そのまま4発抜いた。

何だか酷く興奮したし、具合は格別、これは良い買い物をした。

小水を漏らして失神したのを床に転がし、機嫌良く葉巻をふかす。

使用人に始末を命じ、アルベルトは任務に向かった。





任務先で、アルベルトは浮つきながら件のコンドームの事を考えていた。

イワンと言う型式らしいが、気に入った。

帰ったらどうやって使おうか。

そればかり考え、任務のこなしは速やかに、遊び心さえ出さずに。

帰ったアルベルトは、信じられない言葉を聞いた。

捨てたというのだ、あれを。

使用人を怒鳴りつけたが、もう遅い。

使用済みのコンドームなんて誰が洗うだろうか。

落胆したが、切り替えて再注文。

が、帰ってきたのは意外な返事だった。


『お客様がご注文になった品物は、オーダーメイド品の受け取り期限切れの一品モノです。また、市販品と違って』


「心があるので、優しく扱ってください・・・・・だと?」


そんな迷惑なオプション要らない。

そう思って通常の物を注文したら、来たのは何とも簡素なゴム風船。

驚くほど詰まらないそれに、慌ててあれ・・・・・イワンを探し始める。

ゴミ処理場を片っ端から探したが、無い。

誰かが拾ったのかと探すと、この間自分が昇格試験をしたA級エージェントの部屋にあった。

偶然拾ったようだが、その男は不能、しかしサディスト。

イワンは悲しいくらい嬉しそうに笑いながら、吊るし上げられて徐々に三角コーンを飲みこまされていた。

入口は派手に裂け、もう少しでショック死するのは確実だ。

片方の乳首は安全ピンが刺さり、雄には表面の皮を掬うように螺旋や釘が刺されていた。

おまけにご丁寧に止血され、痛みだけを与え、長引かせるための拷問。

男のはらわたを引きずり出して詰問すれば、6日前に拾って遊び始めたという。

壊れたのは、昨日。

全ての記憶は暗い水に沈み、拷問の末に彼が覚えさせられたのは、脚を開いて誘う事だけ。

エージェントを殺して全て砕いて始末をし、イワンを抱えて帰った。

くすくす笑っているイワンの身体をそろそろと清めていき、手当てをしていく。

命に直接かかわるものは無かったので胸をなでおろしていると、イワンがじっと見つめていた。

とても可愛らしく笑って、手を伸ばしてくる。

思わず手を取って微笑んでしまうくらいに、愛らしい。

少しは落ち着いたかと思ったが、イワンは嬉しそうに抱きついてきた。


「して、して、もっといっぱいして、きもちいい、きもちいいからして、して」

「っ・・・・・・・・・・・・・・」

「もっと、もっと、もっと、もっと」


愛らしい笑みとは裏腹に、瞳には何も映っていなかった。

どれだけ苦しい思いをしたのだろう。

どれだけ苦痛を味わったのだろう。

飽きっぽい自分があんなにも、血眼に探し回った理由。

言い訳が面倒な、部下を始末する事を思わずやった理由。

この壊れた笑みが悲しくて仕方がない理由。

それでもなお生きていて嬉しく、手放せない理由。

全ては一つに帰結する。

奥歯を噛みしめ、イワンを強く抱いた。

頬を熱い滴が伝ったが、イワンは『もっと』と繰り返しているだけだった。





女遊びを一切やめ、任務以外の時間はすべてイワンと一緒にいた。

彼の望む・・・・・望まされているのに応えて使ってやり、痛々しい傷の残ってしまった初々しい雄をそっと扱く。

傷の癒えぬ後孔からは色濃い血臭がしていたが、相手をしないとイワンは極度に怯える。

何があったか想像に難くない。

その気にさせないと折檻されたのだ。

その気と言ってもあの男は不能だから、折檻する気にさせないと折檻されるのだ。

どちらに転んでも同じだが、それが分からぬほどに恐ろしかったのだろう。

初めてちゃんと読んだ説明書には、この純情な気質と無垢な身体が記載されていた。

可哀想に、自分に使われた時も相当苦痛だったはずだ。

やんわり愛撫し、暖めるように抱く。

だが、口づけると何故か泣く。

きっとオーダーした主人の事を思っているのだろう。

顔さえ知らねども、ある意味親だ。

可哀想で、でもその純情さが可愛らしくて。

優しく優しく、何度も愛した。





あれから3カ月。

アルベルトはいつものようにイワンを抱いていた。

イワンは今日、やけに大人しかった。

そう言えば、今朝は酷く泣いていた。

酷く嬉しそうに、激しく泣いていた。

また、崩壊が進んでしまったのだろうか。

幽鬼が、壊れ始めた心は崩壊が加速してもやむ事は殆ど無いと言っていたから。

これが壊れたら、自分も頭を飛ばして死のう。

コンドームの後追いなんて馬鹿にも程があるが、幾ら馬鹿にされたって構わない。

愛するイワンと共に居られれば良いし、もしかしたらこの身体という入れ物から解き放たれた時、初めてあった時のように。

愛らしく恥じらって、笑ってくれるかもしれないから。

余りに甘い自分の考えだが、それにでも縋らないと苦しい。

優しくイワンを愛撫し、ゆっくりと挿入する。

正常位のまま柔く扱いていると、イワンと目が合う。


「もっと・・・・・・」


愛らしい唇がいつもの言葉を紡ぎ、イワンの手が彼自身の雄を握る。

そこまでするのは見た事がなかったが、とめはしない。

だが、イワンが激しく自慰を始めるのに不審を抱く。

どう考えても痛みが大きいやり方で、まるで初めて自分が使った時と同じだ。

亀頭を握り締めて射精を阻み、幹をごしごし扱く。

薄く開いた口が開閉するのに気付き、耳を寄せた。


「すてないで・・・・・・」

「!」


涙の色が昨日と違うと気づいた。

思わず手を強く掴んだが、怯えさせてはと思い直し、冷静を心掛けてそっと問う。


「・・・・・・ワシが、分かるか」

「・・・・・あるべるとさま・・・・・・」


宛名にあったのはアルベルトという名前。

衝撃のとか、十傑衆が一人だなんて知らない。

ただ、初めて見た時から生涯一人と決めた御主人様『あるべるとさま』に。

縋るように、手を伸ばす。

切なくて、苦しくて、死んでしまいそうに嬉しくて。

壊れるくらい抱きしめたいのを堪え、そっとイワンを抱きしめる。


「・・・・・お前だけだ」


お前だけに、子種をくれてやる。

他の誰にもやらぬから、お前だけの特別だから。


「傍に、居てくれ・・・・・」





衝撃のアルベルト38歳、子持ちやもめ。

衝撃のコンドームデビューから3カ月で、病みつき。

コンドームに貞操を捧げ、可愛いコンドームはもじもじしながらも嬉しそう。

傍にいると精蜜の匂いと甘い雰囲気で咳き込みそうな二人ですが。

これだけ幸せそうだと、石を投げるのも馬鹿らしくなってしまうそうです。





***後書***

・・・・・って言うか、Dutch妻じゃないんですか?