【 日用品シリーズ-020 】



伊達男ヒィッツカラルド。

彼は色々な事に興味を示す。

同僚の幻惑ほど何でもかんでもではないが、今回。

カクテルキットを買ってみた。

シェーカー、マドラー、ピック、リキュール3種とウォッカ、炭酸水の親切なセット。

少し値が張ったが、高給取りのヒィッツにしてみればかなり安い買い物だ。

宅配で届いたので箱を開ける。

中から顔を出したのは、白いシェーカー。

とても可愛らしい笑顔で、初めまして御主人様、と言ってくれた。

一目で気に入り、話してもっと気に入り。

抱え上げて、浴室で綺麗に洗う。

付属のマドラーがまた随分大きいのだが、大丈夫なのか。

洗った時に見た注ぎ口は、かなり小さそうだった。

少し心配しつつ、綺麗に拭きあげてベッドへ。

早速使う気満々の男に、イワンが心配そうにする。


「あの、昼間ですが・・・・・」

「うん?ああ・・・・今日は休みでね」


昼間っから酒をかっ食らう事に心配を示すのに苦笑する。

シェーカーに酒の心配をされるとは思わなかった。

シェーカーはちょっと照れながら困った顔をした。


「お酒は楽しいですが、過ぎると身体を壊しますから・・・・・」

「おや、私は大酒飲みに見えるかね?」

「いえ、どちらかと言うと・・・・軽めのものやワインをスマートに楽しんでおしまい、と言った風な感じがします」


考えながら言うシェーカーだが、概ね当たっている。

第一深酒の癖がつくと、一緒に楽しんだ女性を食べ損ねてしまう。

しかしよくよく考えれば、このシェーカーもかなり可愛いのだ。

男は興味無いが、これはシェーカー。

つまみ食いも良いかもしれない。

そう思い、何処となく色っぽい目で見つつリキュールを選び、たまに声をかける。

伊達男と言わず一般的な手段だが、このシェーカーは純情らしく酷く戸惑っていた。

まるで自分にそういった目が向けられるとは思っていなくて、今も信じられなくて、勘違いだと思いこもうとしている。

可愛い可愛い、純なシェーカー。

嬉しくなって抱き寄せると、やっぱりそうだったのだ、どうしよう、とうろたえ始める。

嫌悪と言うよりは、どう反応していいかすら分からないでおろおろしている。

くすりと笑って、手を放す。

黒い瞳を覗き込んで、白い目を細める。


「そう怯えるな、なにも怖い事はしないさ」

「は、はい・・・・・・」


こくっと唾を飲んで頷く彼は、矢張りまだ緊張している。

型式である『イワン』と名を呼んでみると、ちょっとほっとしたように微笑んでくれた。

はにかんだ様子がまた可愛い。


「あの、少し温めるのが得意です」

「おや、そうか」


酒は往々にして冷えているものだ。

日本酒は燗をつけたりもするが、ワインやカクテル類は基本的に冷たい。

クラッシュアイスを入れたり、直前まで冷やしているものもある。

だが、僅かに温めば酒の香りは格段に良いだろう。

試したいと強請ると、イワンは満面の笑みで頷いてくれた。


「頑張ります」


何とも可愛いではないか、頑張りますなんて久しぶりに聞いた。

お尻を上げて這ってくれたシェーカーに頬が緩む。

そっと割り開くと、ピンクの窄みがひくひくしている。

コアントローで濡らした漏斗を差し入れ、静かに同酒を注ぐ。


「んっ・・・・・は・・・・・」

「きついか」

「すこし、だけ・・・・」


酔いに頬を火照らせ、唾を飲んで必死に返事を返してくれる。

手早くウォッカとシロップを注ぎ、漏斗を抜いてマドラーを取る。

かなり太い、回転式。

商売の女性でも5分持たずに気絶しそうな振動。

大丈夫か不安が過るが、酔いが回って緩んでいるそこにゆっくり差し入れてみた。

シェーカーは力なくもがいているが、孔は柔らかく開いて飲みこんでいく。

弱のスイッチを入れると、振動と回転で孔が強く締まった。

3秒ほど回転が止まったが、モーターが焼き切れる前に中に変える。

かなり出力が強いものだから、流石に中には勝てない。

粘膜をぐりぐり掻き回され、激しい振動を加えられる。

シェーカーは既に泣いているが、雄からはシロップが垂れている。

ちゅっと先に口づけると、回転が止まりそうになるほどの締まり。

堪らず奥まで差し込んで強に変えると、イワンが掠れた声で絶叫した。


「あああ・・・あ・・・・!」


酒と粘膜が混ざるじゅるじゅるという音。

粘膜が薄くなった部分に染み込む酒は高濃度。

シェーカーでなければ急性アルコール中毒であの世逝きだ。

完全に酔っぱらっているシェーカーは、ごめんなさいとか許してとか繰り返している。

少し可哀想だと思ったが、聞こえた言葉に耳を疑う。


「ひぃっちゅかりゃるろさま・・・・・だっこして、ちゅうも、えっちなことも」

「イワン・・・・・?」


唾を飲んで、見つめてしまう。

期待してしまう。

自分だけがそうではないと、思ってしまう。


「イワン」

「すき、すきっ、ひいっちゅさまらけが、いわんのごしゅじんさまっ」

「っ・・・・・・・」


もう、にやけるなんてものでない。

デレデレに相好を崩した伊達男は、格好つけなくても十分に格好良い。

もしかしたらこちらの方がいいかもしれないと思うくらいに。

マドラーを抜き取って男根を差し入れると、イワンが身悶えて泣いてしまう。

必死で手を伸ばすから、彼の望むままに。

抱いて、接吻して。

手の込んだ事も忘れ『えっちなこと』を。

激しい腰使いに、肌が鳴って水音がする。

お互いの繋がった部分が酒と快楽で熱く痺れ、息が弾んだ。

途中一度引き抜くと、アルコールと激し過ぎる注挿に一時的に閉まらなくなっている孔からカクテルが零れ落ちた。

ぱちゃぱちゃと落ちるスクリュードライバーに目を細め、空になったシェーカーにもう一度差し入れる。

熱過ぎる中はとろとろに柔らかく、すっかり弛緩している。

弛緩しても快楽はある程度に締まるから、普段が楽しみだ。

ヂュッヂュッと突き上げると、イワンが泣きながら縋ってくる。

ひいっちゅさま、と舌っ足らずに呼ばれるのが心地よい。

思いきり脚を開かせて、奥まで嵌めて種付けした。

アルコールに爛れ始めた柔らかい粘膜に大量の精子をぶちまけられ、イワンは泣いて射精しながら気絶してしまった。

久しぶりに我を忘れ、獣のように貪ったと思う。

遊びとか、スマートにとか考えず、ただただ好きなように快楽を追い、そして深く激しい愛を叩きつけた。

乱れた髪を掻き上げ、自分自身に苦笑する。

明るい部屋には酒と男の匂いが籠もっていたが、何だか。

それらが、愛しかった。





伊達男ヒィッツカラルド。

彼は仕事が終わるとデートに出かけます。

しかし休日は絶対にデートの約束は入れず、部屋に籠もってカクテル三昧。

可愛いシェーカーとお酒を買いに行って、お昼ごはんを食べたら始めます。

シェーカーも最近では随分と慣れてきて、結構な回数頑張ってくれます。

でも、彼はヒィッツを愛するばかりで知りません。

彼の秘密と、小さな悩みを。

夕暮れの部屋の中、いつも彼は気を失うイワンの頬を撫でながら夕日を眺めます。


「・・・・・こんなに夢中になってしまうとは、思わなかったな」


伊達男を気取っていたのにまさかの一目惚れ。

深入りは粋じゃないなんて言っていられない。

もっともっと、深く深く。


「酔わせてくれ・・・・・・」





***後書***

スカ将軍じゃなくてもこういうプレイの場合があります、ご注意ください(←)